西ガーツ山脈(にしガーツさんみゃく、英語: Western Gh?ts)は、インド亜大陸の西海岸沿いにあり、標高1,000?2,690mの山々が全長1,600kmにも渡って連なる山脈である。ヒマラヤ山脈よりも古く、インド全域の気候に大きな影響を与えており、多くの川の水源となっている。数々の国立公園、自然保護区域などがあり、世界で最も多様な生物が見られる8つの「ホットスポット」の一つである。2012年、UNESCOの世界遺産に登録された。 デカン高原の西縁に沿い、海岸線をわずかに残して高原地帯とアラビア海の境界をなす。グジャラート州とマハラシュトラ州の州境に近いタプティ川の左岸(南側)がこの山脈の北端であり、マハラシュトラ州、ゴア州、カルナータカ州、ケーララ州、タミル・ナードゥ州を南下してインド半島の最南端に達する。その広さは120,000km2に及び、総延長は約1,600kmである。ただし、北緯11度線付近には幅30kmの深い峡谷・パラッカド峡谷 ガーツとはヒンディー語で階段を意味する言葉でデカン高原の東西両縁の山地が、海岸平野から階段状にせり上がるところから、東ガーツおよび西ガーツと呼ばれる。 インドでは紅茶の栽培より、コーヒーのほうが歴史は古く、インドで初めてコーヒーが栽培されたのは、17世紀頃のカルナータカ州にある西ガーツ山脈にあるチクマガルールの山地である。この西ガーツ山脈周辺は、標高が1000m以上あることや、モンスーンの影響で雨季乾季がハッキリ分かれていることもあり、今でもコーヒー栽培がとても盛んで約70か国に輸出されている。西ガーツ山脈南部のニルギリ山地は、その名から紅茶のブルーマウンテンと呼ばれる良質のニルギリ紅茶の産地である。また、カルダモン、ムラサキフトモモ マラヤ山(カルダモン丘陵
概要
地理
生物多様性(英語版))と熱帯常緑樹林(ニクズク属の生える沼地)の生態系を有しており[1]、地球上における代表的なモンスーン気候帯の特徴を有している。特に夏の終わりに南西側から吹いてくる湿気を含んだモンスーンを遮断するため、デカン高原の気候にも大きな影響を与える[1]。インド半島は約1億8000万年前にはゴンドワナ大陸の一部としてアフリカと地続きであったが、約1億3000万年前から約5000万年前までは孤立した島となり、その後、ユーラシア大陸に衝突して現在の形となった。このような地史を反映して、アフリカ由来とアジア由来の生物が混在し、さらに独特の進化が見られるような進化の移行帯となっている。西ガーツ山脈一帯は種の多様性に富むとともに、大陸にもかかわらず固有種が多い。特に山脈に生息しているハンミョウ科の甲虫類のうち、80%が固有種である。セイロン島を含む一帯の顕著な生物多様性と固有種の多さにより、西ガーツ山脈は地球上で8つの「最もホットな生物多様性ホットスポット」の1つとして知られており、世界的に絶滅が危惧されている植物相、動物相、鳥類、両生類、爬虫類、魚類が少なくとも325種生息している[1]。固有種または保護対象種として、Rhododendron arboreum(英語版)、Actinodaphne malabarica、インドガンボジ(英語版)、Phyllanthus neilgherrensis、ゴラカ、Litsea bourdillonii、Magnolia nilagirica(英語版)、Mahonia leschenaultii(英語版)、Cinnamomum sulphuratum(スウェーデン語版)などの植物およびトラ、アジアゾウ、ガウル、シシオザル、アクシスジカ、サンバー、イノシシ、ホエジカ(英語版)、ニルギリタール、ニルギリラングールなどの動物が挙げられる[1][3]。
生物圏保護区(英語版)は、ナガルホーレ国立公園(英語版)、バンディプール国立公園(英語版)、ムドゥマライ国立公園(英語版)、ムクルティ国立公園(英語版)、サイレント渓谷国立公園(英語版)の5カ所の国立公園と、ワヤナード野生動物保護区(英語版)、アララム野生動物保護区(英語版)、カリンプジャ野生動物保護区(英語版)とサトヤマンガラム・トラ保護区(英語版)の4カ所の自然保護区を含むインド最大の生物圏保護区であり、生態系の保全が進められてる[3]。また、南端部のシェンドゥルニー野生動物保護区(英語版)、ペッパラ野生動物保護区(英語版)、ネイヤル野生動物保護区(英語版)とカラッカド・ムンダントゥライ・トラ保護区(英語版)の4カ所の自然保護区を含むアガストヤマラ生物圏保護区(英語版)もユネスコの生物圏保護区である[4]。
名称
農園
牛頭山
インド地形図
西ガーツ山脈の衛星写真
ニルギリ生物圏保護区(英語版)の地図
アナムディ山(英語版)
ジョグ滝(英語版)
カアス高原(英語版)
チクマガルール(英語版)の山
ニルギリ山地