褐藻類
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褐藻綱
オオウキモ(コンブ目)の藻場
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
階級なし:ディアフォレティケス Diaphoretickes
階級なし:SARスーパーグループ
SAR supergroup
階級なし:ストラメノパイル Stramenopiles
階級なし:Gyrista
:オクロ植物門 Ochrophyta
階級なし:Chrysista
:褐藻綱 Phaeophyceae

学名
Phaeophyceae Kjellman, 1891[1]
シノニム


Melanophyceae Rabenhorst, 1863[2]

Fucophyceae Warming, 1884[3]

英名
brown algae, phaeophyceans
下位分類
本文参照

褐藻(かっそう、英語: brown algae[注 1])はワカメコンブヒジキモズクなどを含む藻類の一群、またはこれに属する藻類のことである。分類学的には、オクロ植物門(不等毛植物門)の褐藻綱(学名: Phaeophyceae)にまとめられる。

全ての原形質連絡をもつ多細胞性の体をもち、比較的複雑な組織器官分化を示すものや、長さ数十メートルに達するものもいる(右図)。陸上植物などとは独立に多細胞化を遂げたグループであるが、原生生物の中では最も複雑な多細胞体をもつ。細胞壁セルロースアルギン酸フコイダンなどを含む。珪藻など他の不等毛藻と同様、二次共生した紅藻に由来する葉緑体をもつ。藻体はふつう褐色をしており、葉緑体光合成色素としてクロロフィルa、クロロフィルc、フコキサンチンなどを含む。多くは単相配偶体複相胞子体の間で世代交代を行うが、複相の世代のみをもつものもいる。ほとんどの種は沿岸域に生育する海藻であり、特にコンブ目やヒバマタ目の大型種は藻場を形成し、沿岸域の生態系の重要な構成要素となっている(右図)。上記のように食用として身近な海藻が含まれ、また細胞壁成分であるアルギン酸食品添加物などに広く利用されている。
特徴
体制

褐藻は、原形質連絡を伴う多細胞性の体をもつ[4][5]。大きさはさまざまであり、数ミリメートル程度のものから長さ50メートルを超えるもの(オオウキモ)までいる[4][6]。体のつくりは単純な単列糸状のもの(下図1e)から、糸状体が寄り集まって接着した偽柔組織体を形成するもの、三次元的な細胞分裂によって柔組織体を形成するもの(下図1h)まである[1][6][7][8]。偽柔組織や柔組織体を形成するものでは、ふつう皮層と髄層のような単純な組織分化を示し、また陸上植物師管に似た通道組織をもつものもいる[6](下図1h)。藻体全体の形は糸状、樹状、膜状、殻状(かさぶた状)などさまざまであり(下図1a?g)、中にはホンダワラ属のようにに似た器官分化を示すものや気胞のような特別な器官をもつものもいる[4][6][7][8](下図1d, i)。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}1a. シオミドロ(シオミドロ目)1b. ハバモドキ(シオミドロ目)1c. ウラボシヤハズ(アミジグサ目)1d. ホンダワラ属(ヒバマタ目)1e. 単列糸状のシオミドロ属(染色試料)1f. Padina pavonica(アミジグサ目)は石灰化した扇状の体をもつ1g. シワノカワ(シオミドロ目)1h. コンブ類(コンブ目)の縦断面: 師管様の通道組織が見られる1i. オオウキモ(コンブ目)の気胞
成長様式

褐藻の成長様式は多様であり、特定の分裂細胞をもたないものから、分裂組織をもつものまでいる[4][6][7][8]。分散成長(diffuse growth)特定の分裂細胞をもたず、基本的に全ての細胞が分裂する。シオミドロ目などに見られる。介生成長(節間成長、intercalary growth)分裂する細胞が藻体の中間部に局在する。コンブ目などに見られる。頂端成長(先端成長、apical growth)分裂する細胞が藻体の先端に局在する。分裂細胞が1個の場合と、複数の分裂細胞が存在する場合がある。藻体が扇形でその縁辺に分裂細胞が配置している場合は縁辺成長(marginal growth)ともよばれる。アミジグサ目やヒバマタ目に見られる。また分裂細胞より先端側に毛が存在するものは頂毛成長(trichothallic growth)とよばれ、ムチモ目やケヤリモ目に見られる。
細胞1j. アルギン酸

褐藻の細胞は、細胞壁に囲まれている。細胞壁は繊維性多糖(細胞壁の基本骨格となる多糖)であるセルロースを含むがその含量は少なく(藻体乾燥重量の1?10%)、マトリックス多糖(繊維性多糖を包埋する基質となる多糖)であるアルギン酸が多く(藻体乾燥重量の35%に達することもある; 右図1j)、またフコイダン(フカン)などの硫酸多糖を含む[1][4][7][8][5]。アミジグサ目の中には、細胞壁に炭酸カルシウムが沈着して石灰化するものもいる[6](上図1f)。

隣接する細胞の原形質は原形質連絡によってつながっており、これを通して光合成産物や無機栄養塩、シグナル分子が輸送される[1][4][7]


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