複製権
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著作権(ちょさくけん、英語: copyright、コピーライト)は、知的財産権(知的所有権)の一種であり、美術、音楽、文芸、学術など作者の思想や感情が表現された著作物を対象とした権利である。このうち著作者の権利は、財産的権利(著作物を活用して収益や名声などを得ることができる著作財産権)と、人格的権利(著作物の内容と著作者を紐づけることで、著作者の人間性を正確に表現する著作者人格権)に分類され[1][2]、とりわけ著作財産権は狭義の著作権と同義とされる[3]。また、著作物を伝達する者(実演家、レコード製作者、放送事業者など)に付与される権利(著作隣接権[4]も最広義の著作権の概念に含まれる[3]

知的財産権には著作権のほか、特許権商標権などの産業財産権があるが[5][6]、保護の対象や権利の強さに違いがある。産業財産権は産業の発達を目的とする技術的思想(アイデア)を保護の対象とし、権利者に強い独占性を与える性質のため、所管官庁による厳しい審査を経て登録されなければ権利が発生しない[註釈 1]。一方の著作権は、創造的な文化の発展を目的とする表現を保護の対象としていることから、産業財産権と比べて独占性は低く、日本を含む多くの国・地域では登録しなくても創作した時点で権利が発生する[5][6][註釈 2]

著作物の定義・範囲、著作物の保護期間、著作物の管理手続や著作侵害の罰則規定などは、時代や国・地域によって異なるものの、国際条約を通じて著作権の基本的な考え方は共通化する方向にある。しかし、著作物のデジタル化やインターネットの社会普及に伴い、著作権侵害フェアユース (無断利用が著作権侵害に当たらないケース) を巡る事案が複雑化している時代趨勢もある。
目次

1 構成

1.1 著作財産権

1.1.1 意義

1.1.2 法的特徴


1.2 著作者人格権

1.3 著作隣接権


2 著作権の歴史

3 著作権の対象と要件

3.1 保護の対象

3.1.1 著作権の対象

3.1.2 著作権が生じないもの


3.2 保護の要件

3.2.1 方式主義と無方式主義

3.2.2 著作権マーク

3.2.3 有形物への固定の要否


3.3 著作権の侵害


4 著作権の法的保護

4.1 条約上の保護

4.1.1 ベルヌ条約

4.1.2 万国著作権条約


4.2 日本(著作権法)

4.2.1 歴史

4.2.2 権利の内容と譲渡可能性

4.2.3 支分権

4.2.4 権利行使

4.2.5 著作権の対象とならないもの

4.2.6 著作権の制限

4.2.7 著作権と所有権


4.3 著作権の保護期間


5 著作物の利用契約

5.1 著作物利用許諾契約

5.2 出版権設定契約(出版権)


6 註釈

7 出典

8 参考文献

9 関連文献

10 関連項目

11 外部リンク

構成

著作権は人権財産権)の一種である[8]。「著作権」という語は、人権としての著作権の他に、権利としての著作権(さらに細かくは国際法上の著作権や、憲法上の著作権等)という側面もある[9]

著作権は狭義には著作財産権のみを指し、広義には著作財産権と著作者人格権、最広義には著作者の有する実定法上の権利(著作財産権、著作者人格権著作隣接権)の総体をいう[3]。広義の著作権概念は概して大陸法の諸国で用いられる著作権概念である[3]。一方、狭義の著作権概念は英米法の諸国で用いられる著作権概念である[3]。日本の著作権法は「著作者の権利」のもとに「著作権」と「著作者人格権」をおく二元的構成をとっている[3]
著作財産権
意義

著作権は狭義には著作財産権のことをいう[3]著作者に対して付与される財産権であり[2]著作物を独占的・排他的に利用する権利である[3]。著者は、著作権(財産権)を、他人に干渉されることなく、利用する権利を持つ[10]。例えば、小説の著作者(作者)は、他人に干渉されることなく出版、映画化、翻訳する事ができる。

従って、著作権(財産権)のシステムが正しく機能している場合は、出版社などが得た収益を、後進の育成と採用への投資(育成費)に充当できる。これにより、アマチュアからプロへと進む際のハードルも低くなる。また、各分野での世代交代が活発化する。

しかし、著作者の合意(許諾)を得ていない他人が、その著作物を広く世間に発表(公表)すると、著作者は、生活するために必要な収入を失い、「執筆」「作曲」「映画製作」などの仕事(創作事業)も継続できなくなる。この、他人による著作者の財産を盗み取る行為が、著作権の侵害である。
法的特徴

著作者が著作権を財産として扱える範囲を明確に限定するために、支分権を用いて細目を列挙しており、著作者以外の者にとっては、細目の把握が困難である。これにより「著作者の権利の束」[註釈 3]と表示し、細目の全てを含めた「全ての権利(財産権)」を保持していると、包括して記す場合もある[11]。あるいは、支分権による細目の分類を用いて、著作権(財産権)の一部を、人(自然人法人)に引き渡すことも可能である[12]。このような販売形態を「譲渡」という[12]。例えば、小説の(著作者)が、契約により著作権の「出版権」のみを他人(自然人もしくは法人)に譲渡し、それ以外の著作権(財産権)を、著作者が自ら保持するといった事も、法的には可能である。

一方で、著作物を収めた記録媒体(CDやDVD、ブルーレイや書籍などの有体物)を第三者に販売した場合でも、著作権が消滅することはない。このような販売形態を(権利の)「貸与」と言う[要出典]。他にも、「譲渡」や「貸与」以外に、著作者ではない人(自然人や法人)と「許諾の契約」を結び、著作者ではない人(自然人や法人)が自由に利用できるようにする方法もある[13]。このような契約を「利用許諾の締結」といい、殊に音楽制作では「買い取り」という。


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