この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
製造物責任法
日本の法令
通称・略称PL法
法令番号平成6年法律第85号
種類民法(不法行為法)・消費者法
効力現行法
成立1994年6月22日
公布1994年7月1日
施行1995年7月1日
所管消費者庁
主な内容製造物の欠陥による損害賠償責任
関連法令民法
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製造物責任法(せいぞうぶつせきにんほう、平成6年法律第85号)は、製造物の欠陥により損害が生じた場合の製造業者等の損害賠償責任について定めた法規のことをいうが、形式的意義においては、上述の損害賠償責任について規定した日本の法律のことをいう。1995年7月1日施行。製造物責任という用語に相当する英語の(product liability)から、PL法と呼ばれることがある。 損害賠償責任を追及する場合、民法の不法行為法における一般原則によれば、要件の一つとして加害者に故意・過失があったことにつき被害者側が証明責任を負う。つまり民法で損害賠償を請求する際には、被告の過失を原告が立証する必要がある。しかし多くは、過失の証明が困難であるために損害賠償を得ることが不可能になる場合があるとの問題意識から、同法で製造業者の過失(主観的要件)を要件とせず、製造物に欠陥(客観的要件)があったことを要件とすることにより、損害賠償責任を追及しやすくした。このことに製造物責任の意義がある。 無過失責任としての製造物責任に関する扱いとしては、まず、1960年代初めのアメリカで、fault(過失)を要件としない strict liability
製造物責任の意義
日本では、本法が制定される前は、民法が過失責任の原則を前提に、過失の高度化(製造業者に高度の注意義務を課す)、抽象化(注意義務の内容を抽象化)、客観化(企業の過失を問う)により不法行為責任を認めることにより被害者の救済を図ってきた。昭和50年の私法学会における要綱試案(我妻試案)、数次にわたる国民生活審議会の報告(昭和51年、56年)、消費者運動の高まりにより、製造物責任の導入を求める声が次第に強くなったものの、米国のような訴訟社会につながるものとして、産業界に反対が強かった。しかし、EC指令を受けて、欧州諸国をはじめ世界各国に立法が広がり、米国においてもいわゆるリステートメントの形で、判例法理が成熟し、我が国にも紹介される中で、立法の気運が高まり、国民生活審議会、産業構造審議会、法制審議会など関係省庁の検討が進んだことから、本法が1994年に制定された。 製造業者等は、引き渡した「製造物」の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害賠償をする責めに任ずる。ただし、欠陥の存在、欠陥と損害との間の因果関係については、被害者側に証明責任があるものとされており、加害者側である製造者等に証明責任を転換する立法はされていないことに注意が必要である。 立法の直前には、「欠陥があることが証明できれば過失を認定できる」のが通常であることや、欠陥の有無に関する判断基準は「過失の有無に関する判断基準」と重なることが多いとして、過失と欠陥がどれだけ質的に異なるかにつき、疑問を呈する見解も示された。立法の意義に関する疑問を呈した形となったが、そのことが逆に産業界の抵抗を弱め、立法につながった。 なお、損害が当該製造物についてのみ生じた場合(生命、身体又は財産のいわゆる拡大損害がない場合)は本法の対象にはならず、民法の適用(瑕疵担保や債務不履行責任)にゆだねる。 製造物責任法は、製造物の欠陥に起因する損害賠償請求に関して、民法の不法行為責任の要件を一部修正したものである。責任要件を「過失」から「欠陥」に修正しているが、損害賠償の他の要件は変更していない(6条 本法にいう製造物は、「製造又は加工された動産」と定義される(2条
構成
第1条(目的)
第2条(定義)
第3条(製造物責任)
第4条(免責事由)
第5条(期間の制限)
第6条(民法の適用)
責任の概要
民法との関係
因果関係 民法416条
過失相殺 被害者に過失があれば過失相殺されることがある(民法722条2項)。
共同不法行為責任 複数の責任主体が存在する場合には、相互に連帯債務を負う(民法719条)。
慰謝料 精神的損害に対しては慰謝料が発生する(民法710条)。
金銭賠償 損害賠償の方法は金銭賠償を原則とする(民法722条1項・417条)。
製造物
したがって、サービス、不動産、未加工の動産は定義上含まれない(もっとも、「加工」概念は広く解釈される必要があると解されている。)ので、これらに欠陥があっても本法の対象にはならない。無体物も動産ではないためコンピュータ・プログラムそれ自体は本法の対象にはならないが、欠陥があるプログラムを組み込んだハードウェアの使用により損害を被った場合は、動産たるハードウェアに欠陥があるものとして本法の対象になるため、他社製ソフトウェアのプレインストールを行う場合はソフトウェアベンダーとのサービス水準合意の締結を行い、リスクの一部を移転するなどのリスクマネジメントが必要となる。