この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
製造所固有記号(せいぞうしょこゆうきごう)は、日本の食品表示法第4条第1項に基づきその下位法令である食品表示基準で定められた、加工食品及び添加物の各製造所(工場)の所在を表すアラビア数字、ローマ字、かなによる記号である。 商品を製造する食品メーカー(製造者)、あるいは販売する商社や小売チェーンの本社(販売者)が各工場ごとに固有記号を自由に制定して、消費者庁の食品表示課(2009年8月までは厚生労働省であった)に届け出る。 規定では「アラビア数字・ローマ字・平仮名・片仮名またはこれらの組合わせによるもの。『―』、『・』などの記号等は使用不可」とされているほか、10文字以内とすることとなっており[3]、記号自体の付番については、完全に製造者あるいは販売者に任されている。 各製品の製造工場は、食品表示の製造者名あるいは販売者名に添えられるほか、商品パッケージの表面に製造所固有記号として賞味期限と並列記載されている場合が多い。 1959年(昭和34年)12月28日 厚生省令第37号「食品衛生法施行規則の一部を改正する省令」(第22次改正)により制定された。当時の雑誌『食品衛生研究』に以下のとおり解説されている。(用語、仮名遣いは原文のまま) 製造所所在地および製造者の名称について略する方法は、従来認められていた自社の第1工場、第2工場などの場合は従来通りのアラビア数字、ローマ字、平仮名、及びこれらの組み合わせによる記号を製造所所在地(この場合は工場所在地)を管轄する都道府県知事を経て厚生大臣に届け出れば、その記号を用いることができる。この方法は従来より一々厚生大臣の承認をうけないですむだけ簡単になつたわけで上記方法による記号を使う場合は届出だけですむことになつた。 また、販売会社が自社の名称と所在地を記載して製造所の名称所在地を略したい場合は、販売者である旨の標示をして上記記号を使つて記載する場合に限り、厚生大臣に届出すればよいことになつた。(中略) また、2015年3月31日の省令の公布[5]及び翌2015年4月1日の食品表示法(及び下位法令の食品表示基準)の施行により、従来加工食品と添加物の製造所固有記号について一括して定めていた食品衛生法施行規則第21条第10項は第21条ごと削除された。 これに伴い、食品表示基準においてはそれぞれの製品の製造所固有記号について定める条文が、下記の通りに分割された。 なお、製造所固有記号に関する食品表示基準の規定については、附則第1条ただし書きにより2016年4月1日から施行され、2021年4月1日に猶予期間が終了した。 食品表示法の施行により、製造所固有記号の使用は複数の工場で同一製品を製造する場合に限られ、一つの工場でのみ製造している製品は製造所固有記号は使えなくなり、製造者名と製造工場の名称・住所の表示が必要になった。また、同一製品が複数工場で製造されているために製造所固有記号を表示する場合は、記号の問い合わせ先やURLの記載が必要になった(生鮮食品で1年6か月、加工食品で5年の猶予期間があった)[6][7]。 東京都○○区△△1-2-3に本社のある「A食品株式会社」が、本社と本社工場と異なる4箇所に自社工場(北海道工場、関東工場、関西工場、九州工場)を持っているとした場合、「A食品」は次のような形で自社工場の固有記号を消費者庁の食品表示課に届け出る。 これにより、食品の表示について、製造者 東京都○○区△△1-2-3 A食品株式会社 製造所固有記号は賞味期限右側に記載 XX年XX月/+KS(自社関西工場の意味) 又は 東京都○○区△△1-2-3 A食品株式会社 製造所固有記号は賞味期限右側に記載 XX年XX月/+KS のような表示が可能になる。 上記の場合は、A食品の工場(関西工場)で生産されているが、生産を子会社や関連会社、協力企業などの他社に委託している場合(一部を除くプライベートブランドなど)では、製造者の代わりに販売者として表示される。(次項) 大阪市□□区××3-2-1に本社のある商社「B商事株式会社」があるとする。「B商事」も、自社工場及び販売者として同様に製造先の企業・工場の固有記号を消費者庁の食品表示課に届ける。
法の施行前の2015年4月1日以前においては食品衛生法第19条[1]に基づき食品衛生法施行規則第21条第10項で定められていた[2]。
概要
消費者庁移管後においても、各地域の保健所へ制度等について問い合わせることは可能(届出はできない)。
制定
この改正によつてみやげ物やカン詰などは、製造者の名称所在地は記号を標示すればよいことになるわけで販売上は便利となつてきたわけである(中略)。
これは消費者に対しては窓口となる者の名称所在地を一つ、販売者でも製造者でもよいからその食品などの責任を持つ者を明記させ、一方取締上は製造者の名称所在地を行政庁において把握しておく必要があるわけで、まるつきり製造所の名称所在地を標示しなくてもよいというわけではない。 ? 『食品衛生研究』[4]
食品表示法の施行に伴う変更同じ製品(山崎製パン 黒糖コッペパン)が、製造所固有記号の異なる複数の工場で製造された例。上がYSE=仙台工場製。下がYMK=松戸第一工場製。
加工食品(第2章)
一般加工食品(第1節第1款):第3条第1項及び第8条第6号
業務用加工食品(第1節第2款):第10条第2項及び第13条第3号
食品添加物(第4章):第32条第1項、第4項及び第35条第5号
例
その1
北海道工場…HK
関東工場…KT
関西工場…KS
九州工場…QS
その2
Size:20 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef