この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
国会弾劾裁判所が1998年から2011年まで発行した機関誌『弾劾裁判所報
裁判官弾劾裁判所(さいばんかんだんがいさいばんしょ)は、裁判官訴追委員会の訴追を受け、裁判官を罷免するか否かの弾劾裁判を執り行う、日本国憲法第64条に基づき設置された日本の国家機関である[1]。弾劾裁判により罷免された裁判官は法曹資格を喪失するが、弾劾裁判所は罷免の裁判を受けた者の法曹資格回復についての裁判も行う。裁判員の数は、衆議院議員7名、参議院議員7名の合計14名。
日本国憲法において裁判官の独立を保障する観点からその身分は手厚く保障されており、免官される場合は以下の3点に限定されている。 上記のうち「公の弾劾」を行う機関として国会に設置されているものが、裁判官弾劾裁判所である。制度趣旨は、公正な判断を確保するために司法裁判所による同輩裁判を避ける必要があること、国民による公務員の選定罷免権を保障するためにその代表である国会議員に任せるべきこと等があるとされている。 弾劾裁判に関する詳細な事項は、国会法第125条
裁判官弾劾裁判制度と裁判官弾劾裁判所
公の弾劾によるとき
心身の故障のために職務を執ることができないと裁判されたとき
国民審査において、投票者の多数が罷免を可とするとき(最高裁判所裁判官のみ)
裁判官弾劾裁判所による裁判官の罷免事由は下記の2つに限定される。
職務上の義務に著しく違反し、または、職務を甚だしく怠ったとき
裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき
なお、罷免事由に至らない非行は、懲戒処分の対象となり得る。懲戒処分は、裁判官分限法に基づき、最高裁判所の大法廷又は高等裁判所において裁判により行われる。
沿革.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキソースに判事懲戒法 (明治23年法律第68号)の原文があります。ウィキソースに弾劾裁判所規則の原文があります。
戦前の控訴院及び大審院には判事懲戒法に基づき懲戒裁判所が設けられており、検事長または検事総長の申立てに基づき懲戒裁判を行った。訴追対象の行為は、裁判官の職務上の義務への違背または職務懈怠、また、官職上の威厳または信用を失わせる行為とされ、懲罰は、けん責、減俸、転所(異動)、免職の4種類であった。
大日本帝国憲法 には「裁判官は刑法の宣告又は懲戒の処分に由るの外その職を免ぜらるることなし」 (大日本国憲法第58条第2項) との規定があったため、議会等が関わる弾劾裁判所は設置されなかった。
懲戒裁判所は戦後には裁判官分限法の制度の形に変わり、また新たに、信任・不信任2択のみの最高裁判所裁判官国民審査が設けられた。
弾劾裁判所も日本国憲法下の1947年11月20日、裁判官弾劾法に基づき設置された。がこれも罷免の要否のみを審査する制度である。
1948年9月6日、細則として弾劾裁判所規則が制定された。この規則は翌年1949年8月10日に全部改正が行われ、裁判官弾劾裁判所規則と改められた。 裁判官弾劾裁判所は、14人の裁判員によって構成される。裁判員は衆議院及び参議院の各議院からそれぞれ7人の国会議員が選任される。裁判長は、裁判員が互選する。 裁判官弾劾裁判所は国会が設置するが、それ自体は国会から独立して職務を行う独立の常設機関である。そのため、国会閉会中でも活動できる。 なお、この機関の名称は、憲法と国会法では単に「弾劾裁判所」としているが、裁判官弾劾法は「裁判官弾劾裁判所」としており、公にはこの名称が使われている。 裁判官弾劾裁判所の下には、事務局が置かれている。事務局の職員の定数や任命については、裁判官弾劾裁判所の裁判長が衆参両議院の議院運営委員会の承認を得て行う(裁判官弾劾法第18条)。裁判官弾劾裁判所参事は、主に参議院事務局と最高裁判所からの出向者である。 裁判官弾劾裁判所は小規模な機関であるため、法廷等の施設は参議院の施設に附属して設けられている。現在の所在地は、東京都千代田区永田町一丁目11-16 参議院第二別館内南棟9階。なお、裁判官訴追委員会は衆議院の施設である衆議院第二議員会館内(永田町二丁目1-2)に設けられている。また1948?70年の間は赤坂離宮(現・迎賓館赤坂離宮)に設けられていた。 裁判官弾劾裁判所への訴追(罷免すべきと考えられる裁判官を訴えること)は、裁判官弾劾裁判所と同様に国会に置かれ国会議員によって構成される裁判官訴追委員会が行う。 国民が裁判官弾劾裁判所へ直接訴追する(訴える)ことは認められておらず、訴追の請求は裁判官訴追委員会を通して行わなければならない(裁判官訴追委員会の項目も参照のこと)。 裁判官訴追委員会は、裁判官について、国民や最高裁判所から訴追の請求があったとき、または、罷免事由があるかもしれないと自ら判断したときは、その事由を調査しなければならない。訴追の請求は、裁判官に罷免事由があるかもしれないと判断した場合は、何人でも(国民でなくとも)できる。また、最高裁判所はそのような場合は必ず請求しなければならない。 調査のあと、裁判官訴追委員会は非公開の議事を行い、訴追、不訴追、訴追猶予のいずれかを決定する。議決は、出席委員の過半数で決するが、訴追と訴追猶予の決定をするには、出席委員の3分の2以上の多数決が必要である。この裁判官訴追委員会の決定に対しては、司法裁判所の裁判権は及ばない。 裁判官訴追委員会が訴追の決定をした場合は、裁判官弾劾裁判所に対し、書面(訴追状)によって罷免の訴追をする。 弾劾裁判の審理は、公開の口頭弁論手続によって行われる(裁判官弾劾法第23条)。罷免の訴追を受けた裁判官は、弁護人を選任できる(裁判官弾劾法第22条)。裁判官訴追委員会の委員長(または委員長が指定した委員)は審理に立ち会う(裁判官弾劾法第24条)。 証拠調べを経て裁判が行われる(裁判官弾劾法第29条)。裁判は、審理に関与した裁判員の過半数で決するが、罷免の裁判をするには3分の2以上の裁判員の賛成が必要である(裁判官弾劾法第31条第2項)。理由を記した裁判書の作成が必須だが(裁判官弾劾法第34条第1項)、それとは関係なく、罷免の裁判の宣告によって直ちに罷免の効果が生ずる(裁判官弾劾法第37条)。刑事裁判と異なり上訴の制度がないので、即時に裁判が確定するのである。この裁判に対しては、司法裁判所の裁判権は及ばない。 弾劾裁判所は、相当と認めるときはいつでも罷免の訴追を受けた裁判官の職務を停止することができる(裁判官弾劾法第39条)。 弾劾裁判所は、同一の事由について刑事訴訟が係属する間は、手続を中止することができる(裁判官弾劾法第40条)。 これまでに罷免の訴追がされた事件訴追日初公判日判決日開廷数氏名判決時の役職主な訴追事由結果資格回復日
組織
裁判官弾劾裁判の手続
訴追
弾劾裁判
これまでに裁判官訴追委員会から罷免の訴追がされた事件
1948年7月1日
(昭和23年)1948年9月6日
(昭和23年)1948年11月27日
(昭和23年)10回天野儁一
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