行列
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「行列」のその他の用法については「行列 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

数学線型代数学周辺分野における行列(ぎょうれつ、: matrix)は、数や記号や式などを縦と横に矩形状に配列したものである。
概要
行・列

横に並んだ一筋を行(row)、縦に並んだ一筋を列(column)と呼ぶ。

例えば、下記のような行列

[ 1 9 − 13 20 5 − 6 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}1&9&-13\\20&5&-6\end{bmatrix}}}

は2つの行と3つの列によって構成されているため、(2,3)型または2×3型の行列と呼ばれる。
成分

書き並べられた要素は行列の成分と呼ばれ、行列の第 i 行目、j 列目の成分を特に行列の (i, j) 成分と言う。行列の (i, j) 成分はふつう ai j のように二つの添字を単に横並びに書くが、誤解を避けるために添字の間にコンマを入れることもある。また略式的に、行列 A の (i, j) 成分を指定するのに Ai j という記法を用いることもある。
和・積

行列の和は、行の数と列の数が同じ行列において、成分ごとの計算によって与えられる。

行列の積の計算はもっと複雑で、2つの行列がかけ合わせられるためには、積の左因子の列の数と右因子の行の数が一致していなければならない。
行列の応用
一次変換

行列の応用として代表的なものは一次変換の表現で、これは f (x) = 4x のような一次関数を一般化したものである。例えば、三次元空間におけるベクトル回転は一次変換にあたり、R が回転行列で v が空間の点の位置を表す列ベクトル(1 列しかない行列)であるとき、それらの積 Rv は回転後の点の位置を表す列ベクトルを表現している。また 2つの行列の積は、2つの一次変換の合成を表現するものとなる。
線型方程式系

また、その他の応用としては、線型方程式系の解法が挙げられる。行列が正方行列であるとき、そのいくつかの性質は、行列式を計算することによって知ることができる。例えば、正方行列において、行列式の値が非零となることは、それが正則であるための必要十分条件である。固有値と固有ベクトルは一次変換の幾何学に対する洞察を与える。
科学

行列の応用は科学的な分野の大半に及ぶ。

特に物理学において行列は、古典力学光学電磁気学量子力学などにおける様々な物理現象のモデル化と研究に利用される。

運動学ロボット工学では座標変換姿勢制御などに行列が使われる。特に同次座標(英語版)変換のため、2次元の座標変換では3×3行列が、3次元の座標変換では4×4行列が使われることが多い。コンピュータグラフィックスにも応用されている(後述)。

確率論統計学確率行列において行列は確率の組を表現するのに用いられ、例えば、これはGoogle検索におけるページランクアルゴリズムで使われている。

行列の微積分(英語版)は、古典的な解析学における微分指数関数の概念を高次元へ一般化するものである。

経済学では経済上の関係のシステムを説明するのに行列が用いられる。
アルゴリズム

行列計算の効率的なアルゴリズムの研究は数値解析における主要な分野であり、これは何世紀にもわたるもので、今日でも研究領域が広がっている。

行列の分解は、理論的にも実用的にも計算を簡単化するもので、そのアルゴリズムは正方行列対角行列などといった行列の特定の構造に合わせて仕立てられており、有限要素法やそのほかの計算を効率的に処理させる。

惑星運動論や原子論では無限次行列が現れる。

無限次行列の簡単な例としては、関数のテイラー級数に対して作用する微分作用素を表す行列がある。
素朴な定義
記法

行列は数または数を表わす文字から成る要素 (英: element) を矩形状に書き並べて、大きな丸括弧(あるいは角括弧)で括った形に書かれる。ここで文字送りの方向(横)の並びを行 (英: row) といい、行送りの方向(縦)の並びを列 (英: column) と呼ぶ[1]。例えば [ a 11 a 12 a 13 a 21 a 22 a 23 ] ,   ( a 11 a 12 a 13 a 21 a 22 a 23 ) ,   [ 3 − 4 6 0 1 − 2 ] ,   ( 3 − 4 6 0 1 − 2 ) {\displaystyle {\begin{bmatrix}a_{11}&a_{12}&a_{13}\\a_{21}&a_{22}&a_{23}\end{bmatrix}},\ {\begin{pmatrix}a_{11}&a_{12}&a_{13}\\a_{21}&a_{22}&a_{23}\end{pmatrix}},\ {\begin{bmatrix}3&-4&6\\0&1&-2\end{bmatrix}},\ {\begin{pmatrix}3&-4&6\\0&1&-2\end{pmatrix}}}

は 2 つの行と 3 つの列を持つ行列である。行列自身は、ふつうはアルファベットの大文字イタリック(しばしば太字[注釈 1])で表し、その要素は対応する小文字に二つの添字を付けたもので表す(略式的に行列を表す大文字に添字を付けたものを用いることもあるが、その場合小行列の記号と紛らわしい)。つまり一般の m 行 n 列の行列を A = A = [ a 11 a 12 ⋯ a 1 n a 21 a 22 ⋯ a 2 n ⋮ ⋮ ⋱ ⋮ a m 1 a m 2 ⋯ a m n ] = ( a 11 a 12 ⋯ a 1 n a 21 a 22 ⋯ a 2 n ⋮ ⋮ ⋱ ⋮ a m 1 a m 2 ⋯ a m n ) = [ a i j ] m × n , ( 1 ≤ i ≤ m   , 1 ≤ j ≤ n ) = ( a i j ) m × n , ( 1 ≤ i ≤ m   , 1 ≤ j ≤ n ) {\displaystyle A=\mathbf {A} ={\begin{bmatrix}a_{11}&a_{12}&\cdots &a_{1n}\\a_{21}&a_{22}&\cdots &a_{2n}\\\vdots &\vdots &\ddots &\vdots \\a_{m1}&a_{m2}&\cdots &a_{mn}\end{bmatrix}}={\begin{pmatrix}a_{11}&a_{12}&\cdots &a_{1n}\\a_{21}&a_{22}&\cdots &a_{2n}\\\vdots &\vdots &\ddots &\vdots \\a_{m1}&a_{m2}&\cdots &a_{mn}\end{pmatrix}}=[\mathbf {a} _{ij}]_{m\times n,(1\leq i\leq m\ ,1\leq j\leq n)}=(\mathbf {a} _{ij})_{m\times n,(1\leq i\leq m\ ,1\leq j\leq n)}}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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