血便
概要
診療科消化器学, 一般外科学
分類および外部参照情報
ICD-9-CM ⇒578.1
DiseasesDB ⇒19317
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血便(けつべん、hematochezia)とは、自己の血液の付着や混入した便で、肉眼的に出血が確認されない検便にて指摘される「便潜血」や、便表面に付着する程度から便全体に血液が混ざっているもの、便に血が混じっている全ての状態を指す。血液の比率が高く液状の場合は下血(げけつ)または血性下痢(けっせいげり)と表現される。 一般的には血便とは赤色から赤褐色の便であるが、その原因のほとんどは下部消化管出血による。裂肛などの肛門周囲病変での出血は、便の表面に血液が付着するもので、便と血液が混じり合っていないことで判断される[1]。 血便をきたす疾患は重大なものが多く、後述、「警戒すべき状態」にある症候を示した際は早急な医療機関への受診が必要[2][3]、トイレットペーパーに血が付着するだけの状態であれば、1-2日の診察遅れは問題にならないとされる[2]。 上部消化管、下部消化管の口側よりで出血し、消化(化学的修飾)された血液は黒色を呈し、黒色便(メレナ: melena)[1]、粘液を伴えば粘血便(ねんけつべん)[1]、膿と粘液を伴えば膿粘血便(のうねんけつべん)と呼ばれる。症例の画像(閲覧に関しては右端の[表示]をクリック)。医療目的等以外で閲覧する場合、不快感を催す恐れがあるので注意すること。血便の事例 血便および下血症状と前後して、失神、低血圧、蒼白、発汗、心拍数の増加(毎分100回を超える)、250 mlを超える出血[2]を生じた場合、循環血液量減少または出血性ショックが示唆される[4]。
解説
警戒すべき状態
血便をきたす主な疾患
消化器系
大腸癌
絞扼性イレウス
腸重積症 - 乳幼児の血便をきたす代表的な疾患の一つ。激しい腹痛で泣き叫ぶ乳幼児に浣腸をして「イチゴジャム状の粘血便」が出た場合、この病気を疑う必要性がある。緊急性の高い疾患である。
腸捻転症
潰瘍性大腸炎
クローン病
薬剤性腸炎(出血性大腸炎)
虚血性大腸炎
憩室出血
中毒性巨大結腸症 - 緊急性の高い疾患である。
血液系
血小板減少性紫斑病
白血病
再生不良性貧血
播種性血管内凝固症候群(DIC)
循環系
上腸間膜動脈血栓症 - 緊急性の高い疾患である。
結節性多発動脈炎
感染症
腸管感染症
細菌性胃腸炎 - サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオなど
細菌性赤痢(赤痢菌による出血性大腸炎) - 疾患の名称は「赤い下痢」に由来する。血便が出るのは赤痢菌が産出するベロ毒素(志賀毒素)が大腸の血管壁を破壊するため。
腸チフス・パラチフス
腸管出血性大腸菌O157感染症(出血性大腸炎) - 典型的な症例では「糞便成分がほとんどなく、血液のみ」というような状態になる。腸管出血性大腸菌は赤痢菌と同様にベロ毒素を産出する。
腸結核(結核菌による腸の炎症)
偽膜性大腸炎(クロストリジウム・ディフィシル腸炎)
アメーバ赤痢 - 臨床医学の教科書ではしばしば「イチゴゼリー状の粘血便」と形容される。
全身感染症
レプトスピラ症(ワイル病)
ウイルス性出血熱
エボラ出血熱(エボラウイルス病)
マールブルグ病
ラッサ熱
南米出血熱