蟻地獄
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ウスバカゲロウ
Distoleon tetragrammicus
分類

:動物界 Animalia
:節足動物門 Arthropoda
:昆虫綱 Insecta
上目:内翅上目 Endopterygota
:アミメカゲロウ目 Neuroptera
上科:ウスバカゲロウ上科 Myrmeleontoidea
:ウスバカゲロウ科 Myrmeleontidae

学名
Myrmeleontidae Latreille1802

本文参照
アリジゴク
ウスバカゲロウの幼虫 アリジゴクの巣

ウスバカゲロウ(薄翅蜉蝣)はアミメカゲロウ目(脈翅目)ウスバカゲロウ科 Myrmeleontidae の昆虫の総称、またはその一種ウスバカゲロウ Hagenomyia micans MacLachlan を指す。
目次

1 ウスバカゲロウ科

1.1 アリジゴク

1.2 下位分類


2 ウスバカゲロウ

3 脚注

4 関連項目

ウスバカゲロウ科

ウスバカゲロウ科は「カゲロウ」という名が付けられているがカゲロウ目とは縁遠い昆虫である。ただし、一般的に区別はあまり気にされていない。いわゆる「アリジゴク」の成虫の名として有名であるが、本科全ての種の幼虫がアリジゴクを経ているわけではない。幼虫成虫という完全変態をする昆虫である。

外見はトンボによく似ていて、細長い体、丸い頭と細長いを持っている。ただし、止まるときは翅を背中に伏せてたたむこと、頭は小さくて複眼がさほど巨大ではないこと、触角が短いながらも太いことなどで区別できる。また、「カゲロウ」というだけあってその飛び方はひらひらと舞うようであり、トンボのように上手ではない。触角が短いのでツノトンボと区別できる。

地方によっては極楽トンボ、神様トンボなど様々な俗称がある。
アリジゴク

このグループの一部の幼虫はアリジゴク(蟻地獄)と呼ばれ、軒下等の風雨を避けられるさらさらした砂地にすり鉢のようなくぼみを作り、その底に住み、迷い落ちてきた地表歩行性節足動物大顎を使って砂を浴びせかけ、すり鉢の中心部に滑り落として捕らえることで有名である。捕らえた獲物には消化液を注入し、体組織を分解した上で口器より吸汁する。この吐き戻し液は獲物に対して毒性を示し、しかも獲物は昆虫病原菌に感染したかのように黒変して致死する。その毒物質は、アリジゴクと共生関係にあるエンテロバクター・アエロゲネスなどに由来する。生きているアリジゴクのそ嚢に多数の昆虫病原菌が共生しており、殺虫活性はフグ毒のテトロドトキシンの130倍といわれている。 

吸汁後に残る外骨格は、再び大顎を使ってすり鉢の外に放り投げる。アリジゴクは飢餓と渇きに強く、1ヶ月以上飲まず食わずで体が小さく縮まっても生存している。

アリジゴクは、後ろにしか進めないが、初齢幼虫の頃は前進して自ら餌を捉える。また、アリジゴクは肛門を閉ざしてをせず、成虫になる羽化時に幼虫の間に溜まった糞をする。幼虫は蛹になるとき土中に丸い繭をつくる。羽化後は幼虫時と同様に肉食の食性を示す[1]。かつてはウスバカゲロウ類の成虫は水だけを摂取して生きるという説が存在したが、オオウスバカゲロウなど一部の種では肉食の食性が判明している[2]。成虫も幼虫時と同じく、消化液の注入により体組織を分解する能力を備えている。ウスバカゲロウの成虫はカゲロウの成虫ほど短命ではなく、羽化後2 - 3週間は生きる。

一般にはアリジゴクは、羽化時まで糞だけでなく尿も排泄しないということが通説化していたが、2010年にこれが覆されたと報道された[3][4]。報道によれば、千葉県袖ヶ浦市在住の小学校4年生がアリジゴクの尻から黄色い液体が出ることを発見し、日本昆虫協会に報告した。1998年には研究者が「糞は排泄しないが尿はする」ことを調べ、尿の成分に関する論文も発表していたが[5]、多くの人が長年確かめようとしなかった昆虫の生理生態を小学生が自力で発見したことが評価され、この研究に対して協会より「夏休み昆虫研究大賞」が授与された。
下位分類

コウスバカゲロウ属 Myrmeleon

コウスバカゲロウ

クロコウスバカゲロウ

ハマベウスバカゲロウ

ミナミハマベウスバカゲロウ


ウスバカゲロウ属 Hagenomyia

ウスバカゲロウ Hagenomyia micans MacLachlan, 1875


モイワウスバカゲロウ属 Epacanthaclisis

モイワウスバカゲロウ E. moiwana Okamoto, 1905


オオウスバカゲロウ属 Heoclisis

オオウスバカゲロウ


マダラウスバカゲロウ属 Dendroleon

コマダラウスバカゲロウ


カスリウスバカゲロウ属 Distoleon

カスリウスバカゲロウ

コカスリウスバカゲロウ

リュウキュウカスリウスバカゲロウ

ヤエヤマウスバカゲロウ

オガサワラカスリウスバカゲロウ


ホシウスバカゲロウ属 Glenuroides

ホシウスバカゲロウ G. japonicus MacLachlan, 1867

リュウキュウホシウスバカゲロウ G. okinawensis Okamoto, 1910


ヒメウスバカゲロウ属 Pseudoformicaleo

ヒメウスバカゲロウ P. jacobsoni van der Weele, 1909


ウスバカゲロウ

ウスバカゲロウ(Hagenomyia micans MacLachlan)は、ウスバカゲロウ属の1種である。前翅の長さは4cm前後で、頭部は光沢のある黒色、胸部の背側は黒で腹側は黄色、隆起した後頭中央接合部は陥没して黄色である。触角は黒色である。翅は透明で薄くやや幅広く、縁紋は黄白色。


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