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出典検索?: "ヘビ"
ドメイン:真核生物 Eukaryota
界:動物界 Animalia
門:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
綱:爬虫綱 Reptilia
目:有鱗目 Squamata
階級なし:有毒有鱗類 Toxicofera
亜目:ヘビ亜目 Serpentes
学名
Serpentes
Linnaeus, 1758[1]
和名
ヘビ亜目[1]
下目[2]
真蛇下目 Alethinophidia
メクラヘビ下目 Scolecophidia
ヘビの解剖図file info
食道
気管
気管肺
退化した左肺
右肺
心臓
肝臓
胃
気嚢
胆嚢
膵臓
脾臓
腸
睾丸
腎臓
ヘビ(蛇、英: snake[3][4])は、爬虫綱有鱗目ヘビ亜目(Serpentes)に分類される爬虫類の総称[5]。トカゲとは類縁関係にあり共に有鱗目を構成している[6]。体が細長く、四肢は退化しているのが特徴[7]。ただし、同様の形の動物は他群にも存在。
分布分布図。濃色:陸生、淡色:水生
適応放散により地上から地中、樹上、海洋に至るまで生活圏を広げており[8]、南極大陸・極地を除く全大陸に分布する[5][6](右の図)。毒蛇は熱帯・亜熱帯に多い[9]。 大きさも最大10mといわれるアミメニシキヘビやオオアナコンダから、10cm程のメクラヘビ類まで、様々な種類がある。なお世界最大の毒蛇は、全長5m以上になるキングコブラとされる。 胴と尾の区別は、一般に総排出口から先が尾とされる。骨格を見れば胴体と尾の境界はある。すなわち、胴体には肋骨があるが、尾にはない。 俗に顎を外して獲物を飲み込むとされるが、実際には方形骨を介した顎の関節が2つあり、開口角度を大きく取ることができる。さらに下顎は左右2つの独立した骨で形成され、靭帯で繋がっている。上顎骨や翼状骨も頭骨に固定されておらず、必要に応じて前後に動かすことができる。歯も喉奥に向かって反り返り、これらにより獲物を咥えながら顎を動かすことにより獲物を少しずつ奥に呑みこむことができる[10](後述のように歯の他に牙を持つものもいる)。 鱗には厚さ数ナノメートルの剥がれない脂質が潤滑油として分泌されており、これは2015年12月9日付の「Journal of the Royal Society Interface」誌で発表された研究論文によって明らかになっている[11]。 穴を掘ることができるヘビは、変形した頭や尻尾、荒い鱗など、形態が特殊な形状となっていることが多い[12]。 視力は人間などに比べると弱い。それは、目全体を1枚の透明な鱗で覆っているためで、そのためにまばたきの必要もなく[13]、脱皮の際には目の部位も脱皮する[14]。現存する種にも目が退化したものは多い。ただし、立体的な活動を行う樹上棲種についてはこの限りではなく、視覚が発達し大型の眼を持っている種もいる。 また口内にはヤコブソン器官という嗅覚をつかさどる感覚器を持つ(ヘビ固有の器官ではない)。本科の構成種が舌を頻繁に出し入れするのはこの器官に舌が付着させた匂いの粒子を送っているためである。また一部の種では赤外線(動物の体温)を感じ取る赤外線感知器官(ピット器官)を唇にある鱗(上唇板、下唇鱗)や目と鼻孔の間に持つ。耳孔や鼓膜は退化しているため、地面の振動を下顎で感知する。 ヘビの進化的起源には不明な点が多いが、有鱗目のうち、トカゲ亜目の一部から進化したと考えられている[15][16]。1億4500万年前から1億年前の白亜紀前期に派生したと推測されている[10]。Parviraptor ヘビの祖先がどのような生活をしていたかについては、水生だったとする説と陸生・地中生だったとする説が対立しており[10][15][16][20]、決着は着いていない。水生説では、ヘビがモササウルス科[20] やドリコサウルス科 水生説に対して、ヘビが中耳と鼓膜を失っていることや、進化過程で一度網膜が退化したとみられること、脳頭蓋が骨で保護されること、瞼が無く眼が透明な鱗で覆われていることなどは、ヘビの祖先が地中生活をしていたことを強く示唆する[15]。ただし、固い地面を掘り進んでいたとすれば生じたはずの頭蓋骨の強化(ミミズトカゲ類には生じている)はヘビには見られず、地中起源だとしたら軟らかい土壌に住んでいたか[15]、既にある穴や割れ目を利用する半地中生だったと考えられる[16]。化石では、後肢と椎骨を残すナジャシュ、四肢を完全に失ったヘビの中では最古であるディニリシア
形態
感覚器
進化
2015年には四肢を残す初期のヘビ類としてテトラポドフィス(英語版)が記載された[22]。しかしながらこの化石は分類が不確実であり、いくつかの研究はこの標本は実際にはドリコサウルス科の一種である可能性が示された[23][24]。化石はブラジルからドイツに不法に輸出されたものとみられており、他の研究者は実際の標本が研究できないことがその分類の混乱を引き起こした[25](当該化石は2024年にブラジル国立博物館に寄贈された)[26]。
体形に合わせて内臓も細長くなっており、2つの肺のうち左肺は退化している。原始的なヘビほど左肺が大きい傾向にある。
一部のヘビには、総排出腔の両脇に後ろ足の名残として蹴爪が見られる。
ヘビの足ヘビの蛇行の痕跡
四肢を失う進化(退化)自体はそれほど珍しいものではなく、両生類の無足類もまさに同様の進化を経た分類群である。現生のトカゲ類においてもアシナシトカゲやヒレアシトカゲのように四肢が無いかほとんど無いいくつかの群がある。鳥類ではモアが前肢(翼)を失い、哺乳類ではクジラやイルカの後肢が退化している[27]。
四肢に関しては、生まれる前の胚の段階で、2本の脚の原基(肢芽)が確認されており、ソニック・ヘッジホッグ遺伝子の制御を行う遺伝子スイッチ「エンハンサー」の3因子に変異が起きて足を形成せず破壊してしまっている[28][29]。メクラヘビやニシキヘビ科など一部の原始的なヘビに腰帯の痕跡器官を持つ種類がある。一部のニシキヘビには大腿骨も残っている[28]。なお、肩帯のある種類は現存しない。
初期のヘビ類であるパキラキスやEupodophis、Haasiophisやナジャシュなどは後肢を残していた。
移動するための四肢を失ったとはいえ、ヘビはその細長い体によって地上や樹上、水中での移動を可能にし、高い適応性を示している[16]。地上での移動方法にはいくつかの種類があり、代表的なのは以下のものである。
蛇行 (行動)(英語版)
直進(腹筋を動かして直進する)
横這い(上半身を移動する方向へ持ち上げた後、下半身を引き寄せる。「サイドワインダー」の語源)
2本の足を持つEupodophis descouensi
胚の状態のマウス(左)とヘビ(右)
直進移動(パフアダー)
横這い移動
毒日本における毒蛇の代表格ニホンマムシ詳細は「ヘビ毒」を参照「毒蛇」も参照
ヘビといえば「長い体」の次に「毒」が連想され、実際、有毒な爬虫類の99%以上はヘビが占めている(ヘビ以外にはドクトカゲ科2種のみとされてきた)。全世界に3000種類ほどいるヘビのうち、毒を持つものは25%に上る。威嚇もなく咬みつく攻撃的で危険な毒蛇もおり、不用意に近づくのは危険である。
毒蛇は上顎にある2本の毒牙の根もとに毒腺があり、毒液を分泌する。クサリヘビ科の種では牙の中は注射器のように管状で毒牙の先に毒液を出す穴がある。コブラ科では牙が管状ではなくその表面に毒液が毛細管現象で流れる溝がある種が多いが、毒牙がほぼ管状になっている種もある。従って、この二者を明確に分けるのは毒牙が管状か否かではなく、毒牙が折り畳み式か否かであり、前者を「管牙類」、後者を「前牙類」と呼ぶ。なかには口を開けて毒牙から毒液を噴射するクロクビコブラやリンカルスのような種類もいる(両者の毒牙は牙前方中ほどに毒腺の穴があいており、2mほど先の標的に正確に毒液を命中させることができる)。クサリヘビ科でもマンシャンハブ(英語版)のように毒液を噴射するものがいる。日本にも分布するヤマカガシの仲間はアオダイショウなどと同じナミヘビ科だが、上あごの奥の牙と首筋の皮膚の2ヶ所から毒を分泌する。これらの仲間は無毒とされてきたが最近になって毒ヘビとして認識されるようになった。実際に日本で人が死亡した例もある。