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蛇腹楽器(じゃばらがっき、bellows driven instrument)は、蛇腹操作による気流でフリー・リードを鳴らす鍵盤楽器の総称。「アコーディオン属」(アコーディオン族)と「コンサーティーナ属」(コンサーティーナ族)から構成される。 蛇腹楽器は、手で「ふいご」状の蛇腹を動かすことで楽器の中に空気を出し入れしてフリー・リードを鳴らす気鳴楽器の総称である。英語では bellows driven instrument、英語の俗語では squeezebox (直訳すると「圧搾箱」)、ドイツ語でHandzuginstrument、中国語で“手?琴”(手風琴)[注釈 1]と総称される一群の楽器を指す。具体的には、アコーディオン族とコンサーティーナ族(バンドネオンやコンサーティーナなど)が含まれる。 蛇腹楽器の種類は多い。以下に主な種類のみを示す。 左右非相称左右相称 蛇腹楽器のサイズや形状は多種多様であるが、基本形は同じである。 ふいご状の蛇腹の左右に「筐体」(この場合は器械を内蔵した箱のこと)がついている。楽器は、両手で抱えるように持つ。右と左の筐体にはそれぞれ鍵盤やボタンが並んでおり、それぞれの空気穴を指で開閉することにより、フリー・リードの音を鳴らす[注釈 2]。 左右の筐体の形が違えばアコーディオン、左右の筐体の形が同じならコンサーティーナかバンドネオンである(バンドネオンは、コンサーティーナから分岐した楽器である)。 アコーディオンは、「背(せ)バンド」(アコーディオン・ストラップ)を使って右手側の筐体を演奏者の体に固定する。小型の押し引き異音式アコーディオンでは、背バンドを使わないこともある。 コンサーティーナとバンドネオンは、筐体を演奏者の体に固定しないため、背バンドを使わず、手の甲をくぐらせる「手バンド」を使う(イングリッシュ・コンサーティーナは、親指だけをくぐらせる「親指バンド」を使う)。 蛇腹楽器の多くは、狭いスペースにたくさんの「鍵」(けん)を詰め込むのに便利なボタン式鍵盤を備えている。 コンサーティーナやバンドネオンはすべてボタン式鍵盤である。 アコーディオンは、左手側の筐体はボタン式鍵盤であるが、右手側の筐体についてはボタン式鍵盤を備えたタイプと、ピアノ式鍵盤を備えたタイプがある。日本国内ではピアノ式鍵盤のアコーディオンが主流だが、欧米では演奏性に優れたボタン式鍵盤のアコーディオンも普及している。 ピアノ式鍵盤は、ピアノやオルガンなど他の鍵盤楽器と共通で汎用性に優れる反面、個々の鍵が細長い板状であるため、ボタン式鍵盤より広い面積を必要とし、楽器の小型軽量化には不利である。また、そもそも押し引き異音式蛇腹楽器には、ピアノ式鍵盤は使えない。結果として、おもちゃ楽器を除く実用的なピアノ・アコーディオンは、中型以上の押し引き同音式の蛇腹楽器の一部に限られる。 蛇腹楽器は近代のヨーロッパで誕生した一群の楽器で、その技術的特徴は「蛇腹、鍵盤、金属製のフリーリード」である。 蛇腹と鍵盤については、ヨーロッパでは中世から超小型のパイプオルガン「ポルタティフ」があった。 金属製のフリーリードについては、18世紀ごろに中国の「笙」がヨーロッパに持ち込まれ、その発音原理が西欧の学者たちでも知られるようになった。 1820年代、産業革命期における工業技術の進歩や、特許制度の確立、新興の市民階層が手軽に楽しめる新しい楽器に対する需要などが要因となり、ドイツ、イギリス、オーストリアで、新しい「蛇腹楽器」が発明された。具体的には、
概要
主な蛇腹楽器
押引異音式ダイアトニック・ボタン・アコーディオンアングロ・コンサーティーナ
ジャーマン・コンサーティーナ
ケムニッツァ・コンサーティーナ
バンドネオン
押引同音式クロマティック・ボタン・アコーディオン
ピアノ・アコーディオンイングリッシュ・コンサーティーナ
デュエット・コンサーティーナ
クロマティック・バンドネオン
アコーディオン
1822年にドイツのフリードリッヒ・ブッシュマンが原型を発明した、あるいは、1829年にオーストリアのシリル・デミアンが発明したとされる。当初はダイアトニック式のみだったが、後にクロマティック式も開発された。
コンサーティーナ
アコーディオンとは別個に、同時期のイギリスで発明された。当初はクロマティック式だったが、後にダイアトニック式の機種も開発された。
バンドネオン
本来は重厚低音化した大型のコンサーティーナであったが、後に独立した楽器とみなされるようになった。
楽器の形状主な蛇腹楽器(東京・谷口楽器の店頭で撮影)
ピアノ・アコーディオン:1,2,13
ダイアトニック・アコーディオン:3
バンドネオン:4
コンサーティーナ:5-10
クロマティック・アコーディオン:11,12,14
電子アコーディオン:11-14
左右相称か否か
バンドの有無
初期の押し引き異式アコーディオン。小型軽量なので、バンド(ストラップ)は使わない。
押し引き異式アコーディオン。右肩は背バンド、左手は手バンド。
ピアノ・アコーディオン。左右の両肩に背バンド、左手は手バンド。
コンサーティーナ。左右とも手バンドのみ。
バンドネオン。左右とも手バンドのみ。
ボタン式鍵盤とピアノ式鍵盤
歴史
前史
発明
1822年、ドイツのフリードリッヒ・ブッシュマン(Friedrich Buschmann, 1805年-1864年)が最初の蛇腹楽器「ハンド・エオリーネ」 (Hand-Aeoline)[注釈 3] を発明した。なお、ブッシュマンのハンド・エリオーネは現存しない[1]。
1825年、オーストリアのシリル・デミアン(Cyrill Demian, 1772年-1849年)が、おそらく当時何らかの方法でウィーンに渡ってきたブッシュマンのハンド・エオリーネをヒントに、1つのキー(鍵盤の鍵)を押すだけで和音を鳴らせる画期的な蛇腹楽器を作る[2]。
1829年5月23日、シリル・デミアンが「アコーディオン」(「和音の器」の意)の特許を取得した。ウィーンの王室特許局に納められたデミアンの1号機は現存していないが、数か月後の作品は今もウィーンの工業博物館に保管されている[3]。
1829年12月19日、イギリスのチャールズ・ホイートストン(Charles Wheatstone, 1802年-1875年)が「コンサーティーナ」のアイディアを含む改良楽器の特許を取得した[4]。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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