シアノバクテリア門
生息年代: Paleoproterozoic?現世[1] Had'nArcheanProterozoicPha.
1. (上) 糸状藍藻の1種、(下) クロオコックス属
分類
藍藻(ラン藻、らんそう、英: blue-green algae)またはシアノバクテリア[注 4] (藍色細菌、らんしょくさいきん、英: cyanobacteria)は、酸素発生を伴う光合成(酸素発生型光合成)を行う細菌の一群である。
藍藻は系統的には細菌ドメイン(真正細菌)に属する原核生物であるが、歴史的には「植物」に分類されていた(植物#リンネ以降参照)。藻類に分類されていたことから、国際細菌命名規約ではなく国際藻類・菌類・植物命名規約に基づき命名されてきた。藍藻は現在でも藻類の一員として扱われることが多いが、原核生物である点で他の藻類や陸上植物(どちらも真核生物)とは系統的に大きく異なる。しかし、陸上植物のものも含めて全ての葉緑体は細胞内共生において取り込まれた藍藻に由来すると考えられており、藍藻は植物の起源を考える上で重要な存在である。
単細胞、群体、または糸状体であり(図1)、原核生物としては極めて複雑な体をもつものもいる(→#体制)。光合成色素としてふつう青いフィコシアニンを多くもつため、クロロフィルの緑色と合わせて青緑色(藍色)をしていることが多く、学名や英名の「cyano-」はギリシア語で「青色」を意味する κυαν?? (kyanos) に由来する(→#光合成)。藍藻のフィコシアニンは、青い天然色素として広く利用されている(アイスキャンディーなど)。藍藻は海から淡水、陸上に広く生育し、生産者や窒素固定者として生態系において重要な役割を担っている(→#生態)。またアオコや健康食品などの形で人間生活とも密接に関わっている(→#人間との関わり)。
藍藻は、地球上に初めて現れた酸素発生型光合成生物であったと考えられている(およそ25?30億年前)。藍藻の光合成によって、地球上に初めて酸素と有機物が安定的に供給されるようになり、現在へとつながる生態系の基礎が築かれた[9]。酸素発生型光合成というシステムは、細胞内共生(一次共生)を経て葉緑体の形で真核生物に受け継がれ、多様な真核藻類(および陸上植物)のもとともなった(→#進化)。細菌の中には、他にも光合成を行うグループが存在するが(光合成細菌と総称される)、酸素発生を伴う光合成を行うのは藍藻のみであり、他の光合成細菌は非酸素発生型[10][注 5]の光合成 (anoxygenic photosynthesis) を行う。
分類学的には、シアノバクテリア門(藍色細菌門、学名: Cyanobacteria)に分類される。2019年現在、メタゲノム研究(水などのサンプルから直接抽出したDNAに基づくゲノム研究であり、培養できない生物の性質を推定できる)から、藍藻に近縁であるが光合成能をもたない細菌群がいくつか見つかっている(メライナバクテリアなど)。これらの細菌群も光合成を行う藍藻とともにシアノバクテリア門に分類されることがあるが、以下では主に光合成を行う藍藻についてのみ概説する。 藍藻の中には、単細胞性、群体性、糸状性の種がいる[3][5][12][13][14][15](下図2)。藍藻の多くは肉眼では判別できない微細藻であるが、群体性や糸状性の藍藻の中には、肉眼で見えるほどの大きさになるものもいる(下図6a)。2. 藍藻におけるおける体制の多様性: a, b Chroococcus
体制
単細胞性 (unicellular)体が1個の細胞からなる (下図3)。細胞の形は球状や桿状のものが多く(例: Synechococcus, Synechocystis)、また異極性(heteropolarity; 基端と先端で形態が異なる)を示す種もいる(例: Chamaesiphon; 下図16a)[14]。
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群体性 (colonial)体が複数の細胞からなるが、細胞が密接していない、細胞の分化が見られないなど多細胞とは呼び難いもの(多分に伝統的な区分であり、明確な定義は難しい)(下図4)。群体全体の形態は多様である(不定形、球形、多面体、シート状、ひも状など)[14]。また群体様式としては、多数の細胞が共通の粘液質に包まれたパルメラ状群体(palmelloid colony; 例:Aphanocapsa)が多いが、他にも細胞が密着して塊状になるサルシナ状群体(sarcinoid colony; 例:Cyanosarcina)や、分岐する粘液質の柄の先端にそれぞれ細胞が位置する樹状群体(dendroid colony)などがある[14]。
4a. 群体性 (Merismopedia)4b. 群体性 (Gomphosphaeria)4c. 群体性 (Aphanothece)