蕎麦
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この項目では、食品について説明しています。この食品に実が使われる植物については「ソバ」をご覧ください。
蕎麦の提供例蕎麦(乾麺)のアミノ酸スコア[1][2]

蕎麦(そば)とは、穀物ソバの実を原料とする蕎麦粉を用いて加工した、日本、および、それを用いた料理である。中華そばとの対比で「日本蕎麦(にほんそば)」、「和蕎麦(わそば)」という表現が用いられるほか、沖縄そばとの対比では「ヤマトそば」と呼ばれることもある。

(なお、「中華そば」「沖縄そば」など蕎麦粉を用いない麺類についても「そば」と呼称することもあるがこれについては「蕎麦#麺類の総称としての「そば」」で詳述する。)

本来、ソバの実/蕎麦粉には様々な食し方があるが、麺にした蕎麦、すなわち蕎麦切り(そばきり)が普及してからは、単に蕎麦と言うと蕎麦切りを意味する。

歴史は古く、寿司天ぷらと並ぶ代表的な日本料理である。この蕎麦の調味として作られる「つゆ(蕎麦汁)」は、地域によって色・濃さ・味などに明らかな違いがあり、その成分も各地によって好みが分かれる。蕎麦を供する場合には(竹簾が敷かれている専用の蕎麦皿など)やざる(ざるそば用)、蕎麦蒸籠などが用いられる。蕎麦つゆを供する場合には徳利(蕎麦徳利)と猪口(蕎麦猪口)が用いられることが多い。また汁を張ったに蕎麦を入れて供するものもある。蕎麦は専門店のみならず、外食チェーンなどのメニューにも載っており、小売店などでも麺が乾麺、生、または茹で麺の状態で販売され、カップ麺としても販売されている。

日本では年中食べられている料理であるが、縁起担ぎのために大晦日年越し蕎麦を食べる事が風物詩となっている。

アレルギー原因物質の1つであり、毎日蕎麦を食べることでそばアレルギーを発症する可能性がある[3]。そばアレルギーになると、少量の摂取であっても命の危険がある[4]
材料・製法
材料板状に延ばした蕎麦。上の状態から「小間板」(駒板)を当て、蕎麦切り包丁で切り揃える。

蕎麦粉、つなぎ、水を用いて作られる。デンプンの少ない蕎麦粉は細く伸ばすと千切れやすいため、大抵はデンプンを多く含む小麦粉をつなぎ(結着剤)として混ぜる。小麦粉に対する蕎麦粉の配合割合によって名称が変わる。また小麦粉を用いない、いわゆる「十割蕎麦」も存在する。小麦粉以外にもつなぎとして鶏卵(卵切り蕎麦と称する)、長芋山芋布海苔へぎそばと称する)、こんにゃくオヤマボクチなどが使用されることがあり、独特の食感やコシが発生する。詳細は「#蕎麦粉割合による分類」を参照

また、風味付けの薬味を練り込むこともあり、胡麻切り蕎麦(黒ゴマを使用)、海苔切り蕎麦(海苔を使用)、茶蕎麦(抹茶を使用)などが知られる。店によってはモロヘイヤ山椒タケノコふきのとうアシタバ大葉柚子若布などの季節の植物を練り込んで出す店もある。
生蕎麦の製法

日本では人力による手打ち、製麺機による製造にかかわらず、次の工程により蕎麦が作られる。
「水回し」ないし「ミキシング」 - 蕎麦粉とつなぎを混ぜ、加水しながら撹拌して丸い蕎麦玉にする。手打ちの場合は「こね鉢」と呼ばれる木製の
を用いる。

「木鉢(きばち)」ないし「プレス」 - 蕎麦玉を繰り返し押しつぶすことで練り、粘着性を高める。

「延し」ないし「ロール」 - 生地が張りつかないよう打ち粉した上で、薄く圧延し、平たい長方形型にする。手打ちの場合は木製の麺台に載せ、「麺棒」と呼ばれる木の棒を用いて圧延する。

「切り」ないし「カット」 - 圧延した生地を幅1 - 2mm程度の線状に切断して麺の形とする。手打ちの場合はまな板に載せ、何層かに折り畳んだ後、「小間板」(駒板)と呼ばれる定規を当てながら蕎麦切り包丁で切断する。

切り出された状態の麺を生蕎麦(生麺)と称する。生蕎麦は酸化により傷みやすいため保存・流通に向かないが、乾燥させた乾蕎麦(乾麺)や凍結させた冷凍蕎麦(冷凍麺)が流通することもある。いずれの製品も茹でなければ食することができない。
茹で蕎麦の製法持ち帰ってすぐ食べられる蕎麦

生蕎麦は茹でられて食される。蕎麦粉は溶出しやすいため、中華麺うどんよりも多くの湯で湯がかれる。茹で上がった麺を取り出す場合には金属製あるいは竹製のザル状になったそば揚げが用いられることも多い。蕎麦を茹でた湯はごく薄い粥のようになる。これを蕎麦湯(そばゆ)という(詳しくは後述)。

茹で上がった麺の表面に付着した溶けた蕎麦粉(ぬめり)を洗い落とした後、冷やして固くすると茹で蕎麦(茹で麺)が完成する。茹で蕎麦は多くの場合1食ごとにポリ袋や食器を兼ねた容器に入れて売られる。すぐに食べられる状態のため、つゆ・薬味とともにスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの弁当惣菜や麺類の売り場で並べられる製品もある。
食べ方

茹で蕎麦は日本では一般的には以下のように食べられる。
もり蕎麦・ざる蕎麦
木製か竹製の
四角形の器の底にすのこを敷いた蒸篭(せいろ)や(ざる)に茹で蕎麦を盛り付ける。「蕎麦猪口」と呼ばれる別の小型の器につゆを入れ、箸で一口分を取ってつゆにつけながら食べる。かけ蕎麦より古い食べ方である。多くの蕎麦店において、もりそばとざるそばの2つがメニューにある場合、ざるそばは盛り付け容器がざるであるばかりでなく、刻み海苔などの薬味が一緒に盛り付けられて供される場合が多い。つゆの薬味として、摺り下ろしたわさびと小口切りにした長ネギが最も用いられる。いずれも、つゆとは別にされ、好みに応じた量がとれるようになっている。わさびはつゆに溶いたり、風味を損なわないように蕎麦に乗せたりする。
かけ蕎麦
茹で蕎麦を熱湯で温め直してから丼に入った熱いつゆの中に入れる。薬味として、小口切りにした長ネギと七味唐辛子がよく用いられる。細かく刻んだ柑橘類の皮や山椒の果皮を入れると、風味が立つ。
ぶっかけ蕎麦
丼型か、より広口の器(深皿のような浅い器の場合もある。)器に茹で蕎麦を入れ、食べる際に別の器に入ったつゆをかけて、つゆに浸した状態で食べる。また、出石そば出雲そばのように小型のに分けられていることもある。主となる具を、蕎麦の上に綺麗に盛り付ける。盛り付け方は冷やし中華に近い。薬味は比較的用いられない。

もり蕎麦、ざる蕎麦、ぶっかけ蕎麦は冷たいつゆを用い、かけ蕎麦は温かいつゆを用いる。冷たいつゆは辛汁(からじる)[5]、温かいつゆは甘汁(あまじる)[6] と呼ぶ。

新蕎麦の時期に見られる珍しい食べ方として、蕎麦の香り・歯触り・喉越しを楽しむためとして、つゆをつけずに、水やをつける方法がある。蕎麦の味だけでなく香りを存分に味わうためで、空気を一緒に啜り込み鼻孔から抜くようにして食べることによって、香りを存分に賞味できるとされる[7]。元々は作法にこだわらずに香りや喉越しを楽しめる食品であり、音を立てることがマナー上広く許されている点で、うどんや中華麺などと並んで世界的に稀有な料理である。

蕎麦好きな人の中には、蕎麦とは香りと歯触りを賞味すべきものであるとして、「蕎麦はもり(そば)に限る」というこだわりを持つ人もいる。食通で有名な文豪池波正太郎書生を務め、自らも蕎麦好きを自認するルポライターの佐藤隆介は、著書の中で「めんつゆに卵を入れようとしたところ、卵など入れてはいけないと池波にたしなめられた」というエピソードや、ざる蕎麦すら供さない名店のような例を挙げ、蕎麦切り本来の滋味を味わうにはもりが一番であると述べている。佐藤は、海苔がのっていては蕎麦の香りが損なわれるからだろうと書いている[8]。「さらに細分化された蕎麦料理については蕎麦料理の種類」も参照
栄養・成分

実際の栄養価は、作物としてのソバが栽培された土壌、収穫時期、品種など様々な要因で変動する。蕎麦(乾麺)の栄養価の代表値

干しそば 乾[9]100 gあたりの栄養価
エネルギー1,439 kJ (344 kcal)

炭水化物66.7 g
デンプン 正確性注意(72.4) g
食物繊維3.7 g

脂肪2.3 g
飽和脂肪酸(0.49) g
一価不飽和(0.50) g
多価不飽和(0.97) g


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