この項目では、植物について説明しています。「ガマ」のその他の用法については「ガマ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ガマ
ガマ
分類
ガマ(蒲、香蒲、学名:Typha latifolia L.)は、ガマ科ガマ属の多年草の抽水植物である。別名、ミズクサともいい、古くはカマとも呼ばれていた[2]。円柱状の穂は蒲の穂と呼ばれる。花粉は蒲黄(ほおう)とよばれ、薬用にされる。 和名のガマは、葉を編んでむしろや敷物を作ったことから、朝鮮語のカム(材料)に由来するとする説がある[3]。ガマは漢字で「蒲」と書き、水辺に生える草という意味がある[4]。「甫」は田んぼに草が生えている様子を表し、さんずいをつけた「浦」は水辺を表していて、これに草かんむりをつけている[4]。別名で、ミズクサ・ミスクサ・ミスグサ[3](御簾草)や、キツネノロウソク(狐の蝋燭)とも言われる[4]。 北半球の温帯から熱帯の温暖な地域や[5]、オーストラリアの広範囲に分布。日本では北海道・本州・四国・九州に分布する[6]。池や沼、川の岸辺などの浅い水辺に自生する[2][7]。 浅い水底の泥の中の根茎から茎が直立する多年草[3]。横に走る地下茎によって群生する[8]。 草丈は高さ1 - 2 メートル (m) で[3]、水中の泥の中に地下茎をのばす[7]。葉は線形で厚く、下部は鞘状に茎を抱く[7][9]。葉の断面は三日月形で、内部はスポンジ状である[5]。 花期は夏の6 - 8月[9]。葉よりも高く茎を伸ばし、頂に円柱形の花穂をつけ、上部は黄色い花粉をまき散らす雄花穂、下部の緑色部は雌花穂であり、雌雄花穂はつながってつく[2][7]。穂の上半分の雄花群は細く、長さ7 - 12センチメートル (cm) [5]、開花時には黄色い葯が一面に出る風媒花である。花穂の下部の雌花群は、長さ10 - 12 cm、直径は約6ミリメートル (mm) である[5]。雄花も雌花も花びらなどはなく、ごく単純な構造になっている。 花が終わると、雄花は散って軸だけが穂の上に立ち、雌花穂は茶褐色になって太さも1.5 - 2 cmと太くなり[5]、ソーセージに形が似たいわゆる「ガマの穂」になる[7][3]。雌花は結実後は、綿クズのような冠毛を持つ微小な果実になる[7]。この果実は、長い果柄の基部に穂綿となる白い毛がつき、先端の花柱が色づく[10]。晩秋になると、ガマの穂がほぐれて風によって飛散し[10]、水面に落ちると速やかに種子が実から放出されて水底に沈み、そこで発芽する。また、強い衝撃によって、種が飛び散ることもある。 メイガ科(あるいはツトガ科)のニカメイガ 昔から、若葉を食用、花粉を傷薬、葉や茎はむしろや簾の材料として使われてきた[3]。雌花の熟したものは綿状(毛の密生した棒様のブラシ状)になり、これを穂綿と呼ぶ。火打ち石で火を付けていた時代には、穂綿に硝石をまぜてほくちとして用いることがあった[12]。蒲の穂を乾燥させて、蚊取り線香の代用として使われる事もある。 茎、葉は、樽作りで、樽材の隙間に噛ませ、気密性の向上に利用される事もある。かつてアイヌは茎を編んでゴザにした[13]。 ガマの雄化穂から出る花粉は、同属のコガマ
名称
分布・生育地
特徴
利用方法
薬用
黄色い花粉には、フラボノイド配糖体のイソラムネチン、脂肪油、α-ティファステローム、β-シトステロール、ブドウ糖などの成分が含まれる[2][6]。このフラボノイド配糖体には、細胞組織を引き締める収斂(しゅうれん)作用があり、血管を収縮させて出血を止める作用があると考えられている[2]。また、脂肪油が外傷の皮膚面を覆うことにより、外部からの空気に触れないように保護し、自然治癒力を助けていると考えられている[2]。