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この項目では、野菜のうち主に「長ネギ」と呼ばれるものについて説明しています。

同じく野菜である「玉ねぎ」については「タマネギ」をご覧ください。

神職については「禰宜」をご覧ください。

ネギ(APG植物分類体系
ネギ
分類

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 Angiosperm
階級なし:単子葉類 Monocots
:キジカクシ目 Asparagales
:ヒガンバナ科 Amaryllidaceae
:ネギ属 Allium
:ネギ A. fistulosum

学名
標準: Allium fistulosum L. (1753)[1]

狭義: Allium fistulosum L. var. giganteum Makino (1910)[2]
シノニム


Allium fistulosum L. var. bouddhae Prokh. (1973)[3]

Allium bouddhae Debeaux (1878)[4]

和名
ネギ
英名
Welsh onion[5]
Leek[5]

ネギ(葱、学名: Allium fistulosum)は、原産地を中国西部中央アジアとする植物である。東アジアでは食用に栽培されており、日本では野菜の一つとして扱われている[6]。分蘖して主に緑の葉の部分を食べる「葉ネギ」と、細長くのびて主に白い葉鞘の部分を食べる「長ネギ」(根深ネギ)と呼ばれる系統がある。

クロンキスト体系ではユリ科とされていたが[7]APG植物分類体系ではヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属に分類される。
名称

和名ネギの由来は、古名「き」によるとされる。別名は「一文字(ひともじ)」「比止毛之」。「あさつき」「浅葱色(あさぎいろ)」「分葱(わけぎ)」などにその影響が残っている。現在の「ネギ」は「根葱」からきていると言われ、茎のように見える葉鞘の基部の白い部分を、根に見立てたからとする説がある[8]。日本の古名では「冬葱」「祢木」とされ、「き(紀)」ともいう。枝分れした形が「人」の字に似ているからともいう。

学名の種小名 fistulosum はラテン語で「中空の」という意味をもつ。ネギの標準学名は、Allium fistulosum L. であり[1]、狭義のネギでは、Allium fistulosum L. var. giganteum Makino [2]を学名としている。

英語ではリーク(Leek)[9]、またはウェルシュ・オニオン(Welsh onion)[10]仏名はチブーラ(ciboule)、シヴァ(cive)など[11]と呼ばれ、中国植物名で葱(そう)[7]という。英名の "Welsh" はドイツ語の "welsch に由来し「外国の」という意味である[12]擬宝珠(京都・五条大橋)

日本では収穫されたネギのことを、収穫時期によって「夏ネギ」と「冬ネギ」に呼び分けており、また白い部分が多いネギは「根深ネギ」、緑の部分が多いネギを「葉ネギ」と呼んでいる[13]東日本では単に「ネギ」というと、成長とともに土を盛上げて陽に当てないようにして作った風味が強く太い根深ネギ(長葱・白ネギ)を指し、他は「ワケギ」「アサツキ」「万能ネギ」「九条葱」などの固有名で呼んで区別をする。西日本では陽に当てて作った細い葉ネギを「青ネギ」と言い、根深ネギは「白ネギ」「ネブカ」などと呼ぶ場合もある。こうした地域差は薄らぐ傾向にある[6]

なお、アサツキは植物種(学名:Allium schoenoprasum var. foliosum)であるが、青果市場では葉ネギを若採りしたものを「あさつき」と呼ぶこともある[14]

ネギにまつわる言葉も多い[8]。ネギの花は坊主頭を連想させるため「葱坊主」(ねぎぼうず)とよぶ。橋の欄干につくネギ坊主に似た飾りを「擬宝珠」(ぎぼし)[注釈 1]というが、「擬宝」とはネギ坊主のことを表した言葉である[8]萌葱色は葱の若芽のような黄色を帯びた緑色、浅葱色は薄い葱の葉にちなんだ明るい青緑色のことである。
特徴

で栽培される多年草[7][15]分蘖しにくい1本ネギの品種と、分蘖しやすい品種がある[5]。また、地方ごとに多数の在来品種がある[5]

ネギの葉は白い葉鞘(ようしょう)の部分と、緑色の葉身部からなって重なり、一見するとのように見えことから偽茎とよんでいる[13][16]。葉身部は管状で太く、先端は尖り、白っぽい粉が吹いた緑色で、粘液を含んでいる[13]。冬の低温に感応して花芽ができ、春に薹(とう)立ちして花序がつき開花する[16]。ネギの花序は、葉の間から伸びた円柱状の花茎の先端につき、俗に「ネギ坊主」と呼ばれる。ネギ坊主は薄い膜質の総苞に包まれて、中に多数の小花があり、白緑色の花を密集して咲かせる[17]

ネギの花(ネギ坊主)

Allium fistulosum

成形図説

歴史

中国西部やシベリア中央アジアアルタイ地方あたりの乾燥地帯が原産といわれ[18][10][8]、古代中国の代に書かれた『礼記』などの記録から、紀元前200年ごろには既に中国で栽培されていたことが分かっている[8]

日本には奈良時代に渡来し、古くから親しまれてきた野菜である[9]。そのため、各地で在来種もつくられている[19]。『日本書紀』(720年成立)の仁賢天皇6年(493年)9月に「秋葱」の名で登場するのが日本最古の記録といわれている[8]ヨーロッパへは16世紀になって伝わったが、あまり普及はしなかった[8]
分類

大別すると、主に白い部分を食用にする根深ネギ(青ネギ)と、緑色の部分を食べる葉ネギがある[8]。ふつう関東地方では下仁田ねぎに代表される根深ネギ系が、関西では九条ねぎに代表される葉ネギ系が好まれる傾向がある[20]。いくつか品種群があり、下仁田ねぎなどの加賀群が寒地に分布し、千住ねぎ群が関東地方を中心に根深ねぎとして栽培され、九条ねぎ群は西日本で多く栽培されている[8]。このほか、茨城県の一部で栽培される千住群の赤ねぎなどがある[8]

根深ねぎで商業的に多く栽培されるほとんどのものはF1種(雑種第一代)であるが、日本各地で栽培される長ネギは固定種(在来種)も多く栽培されている[18]。在来種には、太ネギや曲がりネギ、赤ネギなど、さまざまな形態をもつネギが見られる[19]
変種

Allium fistulosum
L. var. giganteum Makino ? 狭義のネギ。

Allium fistulosum L. var. viviparum Makino ? ヤグラネギ。

根深ねぎ

別名「長ネギ」「白ネギ」、あるいは「太ネギ」ともよばれる関東地方で多く出回っている系統(加賀系・千住系)で、主に白い部分(葉鞘)を食用する[21]。葉鞘が伸びるにつれて、土寄せし、葉鞘を軟白栽培したもので、大抵はネギの中では丈は長い[22]。また、葉ネギとくらべて、茎の根元から分蘖しにくい品種がある[21]

宮城県仙台市福島県栃木県などでは「曲がりねぎ」という栽培法があり、土を盛上げながらある程度育てたら、新たに土を盛ったり一度抜いたりして横向きに植え直すことにより、植物の光に向かって伸びる性質によってネギが曲る。これは、土の層が薄かったり地下水位が高かったりする土地でネギをつくる方法だと言われる。このような栽培は手間がかかるため、作付面積が少ない。下仁田ねぎ

深谷ねぎ - 埼玉県深谷市の銘柄。薬味鍋物煮物料理などに向いている[23]

妻沼ねぎ - 埼玉県熊谷市の銘柄。


下仁田ネギ - 群馬県下仁田町の名産で、別名「殿様ねぎ」とも呼ばれている。株が分かれない1本ネギで、太くて短いのが特徴[23]。肉質はやわらかで、生では辛味があるが、加熱調理すると濃厚な甘みが出る[19][20]

上州ネギ - 下仁田ネギと長ネギをかけた、太めの1本ネギ。葉鞘部分が長くて白く、煮込むと甘みが出る[23]

千住葱東京都千住

越谷ねぎ - 埼玉県越谷市の銘柄。白身がしっかりと締まり、料理に使っても煮崩れぜず、辛味と甘みが絶妙なのが特徴。その品質の高さから高級食材として名高く、都内の有名料亭、高級料理店や蕎麦屋などでも使われている[24]

矢切ねぎ(千葉県松戸市

株ネギ (神奈川県相模原市

西谷ねぎ - 神奈川県横浜市保土ケ谷区に伝わる伝統野菜の一つ。分けつする根深ねぎであり、株分けを経て1年半かけて栽培される[25]

赤ねぎ - アントシアニンを色素に持つため、赤紫の皮があるのが特徴。皮をむくと中は白い。加熱すると独特な甘みが出る[20]

赤ヒゲネギ - 茨城県水戸地方在来の選抜改良種で、5 - 10本くらいに分蘖する赤ネギの種[19]。明治時代に西洋赤ネギとの交配からできた「圷(あくつ)ネギ」をもとに、改良されたうちの一品種[26]。葉・葉鞘ともに軟らかく、甘みがある[23]


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