とくに1976年のものについては「英語版:Copyright Act of 1976
」をご覧ください。この記事は特に記述がない限り、アメリカ合衆国の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
アメリカ合衆国著作権局が2004年から使用しているロゴ
アメリカ合衆国の著作権法 (アメリカがっしゅうこくのちょさくけんほう、英語: Copyright law of the United States、以下「米国著作権法」) は、文芸・映像(静止画・動画像)・音楽・美術・ソフトウェアなどの著作物と、その著作者などの権利を保護するアメリカ合衆国 (以下、米国) の法律である。米国民の創作した著作物だけでなく、米国内に流通する外国著作物や、世界のインターネット上に広く流通するデジタル著作物にも米国著作権法は適用されうる[1]。
1970年代以降、特にメディア・エンターテインメントやIT(情報技術)といった著作物に関わる米国の主力産業が世界的に興隆しており[注 1]、2017年時点での狭義の米国著作権市場[注 2]は1兆3000億米ドルに達し、米国GDP全体の6.85%を占める巨大産業を形成している[注 3]。このような社会的・技術的な変化を受け、米国著作権法は頻繁に改正されているものの[注 4]、十分に追いついていない。また世界的に見ても米国著作権法は主流から外れ、他の先進国よりも著作権保護の水準が低い状況が長らく続いており、国内外から批判の声が上がっている[7][8][9][10][注 5]。
さらに、米国内では著作権侵害を巡る訴訟も多く発生していて、2008年からの10年間に毎年3000件前後が新たに提訴されている[12][13][14][注 6]。これら訴訟の原告側には米国外の企業や個人も含まれていることから、国際政治上の問題としても注視され[注 7]、著作権に関する国際条約を通じて、米国と他国の著作権法の足並みを揃えることも長年の課題となっている。
このような文脈も踏まえながら、合衆国法典第17編 (17 U.S.C.) に1947年から収録[18]されている連邦法としての著作権法を中心に、本項では解説する。著作権法改正の歴史や、著作権に関連する個別の訴訟についても概観するが、詳細については「米国著作権法の歴史」と「米国著作権法の判例一覧」にそれぞれ解説を譲る。
米国著作権法の国際比較.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この項目には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字(著作権マーク(1文字の(C)))が含まれています(詳細)。この項目では色を扱っています。閲覧環境によっては、色が適切に表示されていない場合があります。世界の法体系: 米国など桃色が英米法系、水色が大陸法系、緑色がイスラム法系、黄色が慣習法系の国。
広義の著作権の内訳大陸法の国米国
他の先進国との権利保護範囲の違い著作者本人の権利 (狭義の著作権)
000著作財産権
000(著作者の財布を守る権利)
000著作者人格権
000(著作者の心を守る権利)限定的[注 8]
著作隣接権者の権利[注 8]
凡例:可能/:不可能(以下の表も同様)
「大陸法と英米法の違い」も参照
米国著作権法が国際的な主流と異なる理由は、そのルーツにある。1887年発効のベルヌ条約が、今なお基本条約として世界的に機能しているが、条約の原加盟国であるフランスやドイツなどの各国は「大陸法」系であることから、ベルヌ条約の内容も大陸法をベースにしている。一方の米国は「英米法」系であり、根本的な発想が異なる[注 9]。一般的に大陸法は、著作権を "author's right" (著作者の権利) と捉えて著作者の人格を含めた幅広い保護を保障するのに対し、英米法では "copyright (独占的に複製する権利) と表現される通り、著作物を使った経済利益の保護を主眼に置いている違いがある[25][26]。