著作権法
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この項目では、日本の主に現行の著作権法について説明しています。その他の国や地域については「著作権法 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

著作権法

日本の法令
法令番号昭和45年5月6日法律第48号
種類知的財産法
効力現行法
成立1970年4月28日
公布1970年5月6日
施行1971年1月1日
所管(内務省→)
文部省→)
文化庁
警保局→調査局→文化局→文化部→長官官房→著作権課]
主な内容著作権の内容、発生、効力
関連法令知的財産基本法
ベルヌ条約
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著作権法(ちょさくけんほう、昭和45年5月6日法律第48号)は、知的財産権の一つである著作権の範囲と内容について定める日本法律である。

文部科学省外局の文化庁著作権課が所管し、総務省情報流通行政局情報通信作品振興課をはじめ他省庁と連携して執行にあたる。
概要

著作権法は文化の発展を目的とし、それに必要な、作品公正利用と作者保護を両立させる法制度を定めている[1]

これを実現するため、著作権法は「著作物」を定義し、「条件を満たした著作物」の「条件を満たした利用」に関する独占的な「権利」を「著作者」へ付与する(#著作物#権利対象外の著作物#著作権の制限#著作権の内容#著作者)。

より具体的には、著作物の創作者である著作者著作権(著作財産権)や著作者人格権という権利を付与することにより、その利益を保護している。一般的に、著作物を他人が無断で無制限に利用できないように法的に保護する必要がある。著作物を創造した人物は、その著作物を他人が無断で利用しても、自己の利用を妨げられることはない。しかし、他人が無制限に著作物を利用できると、著作物の創造者はその知的財産から利益を得ることが困難となる。著作物の創造には費用・時間がかかるため、無断利用を許すと、知的財産の創造意欲を後退させ、その創造活動が活発に行われないようになるといった結果を招くためである[2]

著作権法は、著作物に密接に関与している実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者に対して著作隣接権等を付与し、これらの者の利益も保護している。同法に定められる内容は、総則(1条?9条の2)、著作者の権利(10条?78条の2)、出版権(79条?88条)、著作隣接権(89条?104条)、私的録音録画補償金(104条の2?104条の10)、紛争処理(105条?111条)、権利侵害(112条?118条)、罰則(119条?124条)に分類される。

著作権法は権利の侵害に対する罰則を定めており、刑事罰を含んだ親告罪となっている(#権利侵害)。

日本の著作権制度の萌芽は近代以前の版元の権利にあり、国際条約への加盟を契機として本格的に整備され、現在では知的財産権の重要な一角として様々な法改正がおこなわれている(#沿革)。
沿革「版権#法令における版権」も参照

日本では、近代以前においては版木の所有者である版元が出版物に関する権利者と考えられ、著作権に相当する概念が存在しなかったとされている。明治初期に福沢諭吉らの紹介と政府への働きかけにより、「版権」として著作権の一部が保護を受けることになった。

19世紀末に日本がベルヌ条約への加盟をするにあたり、国内法の整備の一環として初めて著作権法が制定された。この著作権法は「旧著作権法」とも呼ばれるもので、1970年に旧法を全部改正して制定された新著作権法とは通常区別される。その後新法も時代に合わせた改訂を重ねている。

1886年 - ベルヌ条約締結。

1887年 - 版権條令制定[3]

1893年 - 版権法制定[3]

1899年 - 日本がベルヌ条約に加盟[4]

1899年 - 旧著作権法制定[3](版権法等関連旧法は廃止)。

1931年 - プラーゲが音楽著作権の使用料を要求(プラーゲ旋風)。

1939年 - 仲介業務法施行[5]

1951年 - サンフランシスコ平和条約第15条C項により戦時加算

1970年 - 新著作権法制定[6]

1985年 - 昭和60年6月14日法律第62号により著作権法(昭和45年法律第48号)の一部が改正され、「プログラムの著作物」が著作権法で明示的に保護対象になった。1986年(昭和61年)1月1日から施行された。

1999年 - 平成11年6月23日法律第77号により著作権法(昭和45年法律第48号)の一部が改正され、私的使用のための複製の場合は技術的保護手段を回避するような複製ができなくなった。1999年(平成11年)10月1日から施行された。

2000年 - 著作権等管理事業法施行にともない、仲介業務法廃止。

20世紀半ば以降、企業により著作物が製作されるようになると、便宜的に架空の人物を著作者とした事例が出てくるようになった(八手三郎アラン・スミシーなど)。
旧・著作権法制定前

日本で最初に著作権の保護が規定されたのは、1869年出版条例である。出版条例では、出版者に対して図書の「専売ノ利」を与えていたが、その内容はむしろ出版の取締りに重点が置かれていた。1887年、出版条例から版権の保護に関する規定が独立し、版権条例が制定された。版権条例は版権を著作者に認め、登録を要件としてその保護を規定していた。同時に、脚本楽譜条例(明治20年勅令第78号)及び写真版権条例(明治20年勅令第79号)も制定され、図書以外の著作物に対する著作者の権利が保護されるようになった。1893年、版権条例が改正され、版権法(明治26年法律第16号)が1893年4月14日公布された。
旧・著作権法の成立と改正

1899年文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(ベルヌ条約)加盟にあわせ、水野錬太郎が起草した著作権法(明治32年3月4日法律第39号)が3月4日公布、7月15日施行され、版権法、脚本楽譜条例及び写真版権条例は廃止された。これは現在の日本では一般に「旧著作権法」と呼ばれる。起草者の水野錬太郎は著書「著作権法要義」[7]で旧著作権法の逐条解説を行った。

現行の著作権法は、1970年に旧著作権法の全部を改正して制定され、1971年1月1日に施行された。[8]
著作物と著作者
著作物

著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」のことを指す。著作者の内心に留まっている思想・感情そのものは著作物ではなく、著作物になるためには、それが表現されなければならない。一方で、表現された物であっても、それが思想・感情を表現したものでなければ著作物ではない。

「創作的」とは、著作者の個性が表れていればよく、必ずしも芸術性は必要でない。例えば、幼稚園児が描いた絵であっても、そこに個性が表れていれば著作物となる。詳細は「著作物」および「映画の著作物」を参照
著作者

著作者とは、「著作物を創作する者」を指す[9]。企画発案者や資金提供者は著作者とはならない。著作物を創作するのは自然人であるため、原則として著作者は自然人であるが、一定の要件を満たせば法人が著作者となることもある[10]映画の著作物の著作者については、特に「制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者」とする規定がある[11]

なお、著作物の原作品に直接に氏名または周知の変名が著作者名として表示された者、または、著作物の公衆への提供・提示の際に氏名または周知の変名が著作者名として表示された者は、その著作物の著作者と推定される[12]。例としては、絵画のサイン・書画の落款・テレビ番組のテロップ等である。反証がない限り、「著作者名として氏名等が表示された者」が著作者として取り扱われることになる(挙証責任の転換)。

日本の著作権法では、無方式主義が採用されているため、著作者は著作物を創作した時点で自動的に著作権者となる(著作権取得のための手続は必要とされない)。ただし、著作権(著作財産権)は譲渡可能であるため、著作者と著作権者が異なることはある。「著作者」も参照
著作権の内容

著作権法(日本)においても、著作権は支分権の総体として理解される。以下は著作権法における支分権の一覧である[13]

支分権名対象著作物対象行為条項
複製権全て複製(形ある物への再製)[14]第21条
上演権・演奏権全て公に上演・演奏(直接見せる)第22条
上映権全て公に上映(表示器に映し出す)第22の2条
公衆送信権全て公に送信・送信可能化[15]第23条
公の伝達権全て公に伝達(受信装置による伝達)第23条の2
口述権言語公に口述第24条
展示権[16]美術・写真の原作品公に展示(写真は未発行に限定)[17]第25条
譲渡権映画以外の原作品又は複製物譲渡により公に提供[17]第26条の2
貸与権映画以外の複製物貸与により公に提供[18]第26条の3
頒布権映画複製によって頒布[18]第26条
二次的著作物の創作権全て二次的著作物の創作(翻訳・翻案)[19]第27条
二次的著作物の利用権全て二次的著作物の利用第28条
著作物の種類などについては「著作物」を参照

著作権者は、自己が著作権を有する著作物を自分で利用するだけでなく、他人に対し、その利用を許諾することができる[20]。なお、著作権法には「使用権」というものは規定されておらず、「使用権」を他者に「許諾」するということも著作権法上の権利に関しては特に意味を持たない[21]

以下は各支分権の詳細である。
複製権

複製権は著作物を無断で複製されない権利である[22][23]。全ての著作物を対象とする最も基本的な支分権である。「複製」とは、手書き、複写、写真撮影、印刷、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積その他、どのような方法であれ著作物を形のある物に再製すること(有形的再製)を指す[24]。したがって、複製の結果出来上がった複製物は物に固定されている必要があるが、複製の対象となる著作物の方は必ずしも物に固定されている必要はない。例えば、演劇用の脚本の複製といった場合、脚本を直接コピー機を使って複写した場合だけでなく、その脚本に基づいて上演されたり放送されたりした演劇(無形的再製)をCDやDVDに録音、録画する行為も脚本の複写にあたり、複製権が及ぶことになる[25]。また、建築の著作物については、その設計図に従って同じ建築物を建てれば、建築の著作物の複製となる[26]

さらに、映画(映像)の作品の中で音楽や美術作品が使われている場合、その映画の著作権とは別に音楽や美術作品の著作権が独立して成立しているので、その映画を複製しようとする場合には、映画の著作権者だけでなく、その映画の中で使用されている音楽や美術作品の著作権者(複製権者)の許諾も必要となる(同じことは、二次的著作物や、著作物性を有する素材からなる編集著作物やデータベースについてもいえる)。

複製権侵害の要件としては、判例は原著作物と複製物との同一性・類似性の他に原著作物に「依拠したこと」も求めている。従って、原著作物の存在を知らずに創作し、結果的にたまたま同一の著作物が出来上がったにすぎない場合は、そもそもアクセスしていないため、複製に該当せず、複製権侵害にもならない。

また、著作権法第30条から47条の7に規定されている著作権の制限規定に該当する場合、基本的には複製権者に無断で複製しても例外的に複製権の侵害とはならないが、法が許容する目的以外でその複製物を利用すると、その行為は複製とみなされる[27]

なお複製権者は、その複製権の目的たる著作物について出版権を設定することができるが、その複製権を目的とする質権が設定されているときには、当該質権者の承諾を得なければならない[28]

また、著作権法第30条の4では情報解析についての規定があり、この条文では「非営利」に限定していない。早稲田大学上野達弘は、このため、営利企業が他人の著作物を使って機械学習を行ったり、学習済みモデルを販売しても、著作権侵害には当たらないとする。諸外国の著作権法にも同様の規定はあるが、大抵は「非営利」に限定されており、営利での利用が可能であることは、日本の著作権法の特徴となっているという[29]

しかし、知的財産法を専門とする筑波大学の潮海久雄はフェアユース法理が採用されている米国と日本の知的財産法の権利制限規定を比較しつつ、人工知能による情報解析目的でのデータ利用について、ベルヌ条約との整合性を前提とした場合に著作権法30条4項の適用範囲が極めて狭いことを指摘している[30]


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