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エッフェル塔への落雷(1902年)エンゲルベルト・ケンペルによる方広寺大仏(京の大仏)のスケッチ[1]。かつて大仏として日本一の高さを誇っていたが、1798年に落雷による火災で焼失した。
落雷(らくらい)とは、帯電した積乱雲などと、主に地上物の間に発生する放電で、自然現象又は自然災害である雷の代表的な形態である。 落雷とは、地面や水面など、もしくは空中にある物体に雷の放電を被ることである。結果、被害が発生した場合、一般には災害(天災)と認識される。時にこれは深刻、甚大なものとなり、死亡あるいは建物火災等の原因となる。 落雷時の電圧は200万 - 10億ボルト、電流は1千 - 20万、時に50万アンペアにも達する。この高電圧と大電流が人を死傷させ、この大電流によってもたらされる、プラズマが発生するほどの熱(ジュール熱)が建物などに被害を発生させる主因である。また、この大電流そのもの、もしくはこの大電流により発生する強烈な電磁界、蓄積された電荷による電気・機械・通信設備や装置などの損傷、さらにこれらの損傷により生じた二次的な被害等も落雷による被害とされる。 なお落雷の電力を電源として利用することは現在の技術では可能とはなっていない。過去に北朝鮮などで試みられているが全て失敗している。エネルギーは大きいものの、それがあまりに短時間に集中するため、二次電池やコンデンサに蓄電させることができないためである。 ただし、雷を利用せずに大気中の静電エネルギーを回収することは可能である。詳細は「大気電流発電」を参照 地球上では毎秒約100回、毎日約860万回もの落雷が起こっていると推定されている。わかっている範囲で、日本では年平均約20人、世界では約千人が落雷による直接被害に遭い、世界平均で被害者の約30%が死亡している[2][3]。 落雷という物理現象は、雲の中の水滴や氷の粒が性質の違いによって正と負に分かれて帯電、溜まった電荷により生じた強い電位差を解消するために、地面・水面や地上の物体などに対して電荷の放出=放電を生じるものである。なお雲の中や他の雲との間で放電が生じるものは「雲放電」や「雲中放電」「雲間放電」と呼ばれる[4][5][6]。 雷雲は積雲が発達した積乱雲の近傍で発生する。天候としては寒冷前線や温暖前線の発達した雲の通過時や、大気が不安定な状況の局地的雷雨が典型的。 特に黒く見える雲は、その密度と厚さが大きく、かつ活発であることが多いため、落雷の危険性を予見できる。諺「青天(晴天)の霹靂」の霹靂とは落雷のことであるが、こういった予見が出来るからこそ、逆に前触れの無い突拍子も無い事の例えになったと言える。 落雷時、稲妻は少し進んでは暫し停止、それから再び少し進むことを繰り返す。つまり「ステップを踏む」ように進むことから稲妻は複雑な曲線を描く。マンガ表現に限らず「雷文」と呼ばれる文様(モチーフ)でも、雷の表現として直線と急激に折れ曲がった角が連続したギザギザの、いわゆる「稲妻型」が見られるが、このような形の稲妻は実際には存在しない。なお稲妻が1回に進む距離をステップ長といい、約20 - 50メートル(m)ほどである。 そして稲妻が地面や木などに落雷する直前の停止位置に達すると、落雷場所の地面や木などから、上昇リーダーと呼ばれる迎え放電が発生、これが結合して落雷となる。稲妻の最終ステップ長と、上昇リーダー長の和を雷撃距離と呼ぶ。雷撃距離はおよそ20 - 200 mである。 よく雷は「周囲で最も高いものに落ちる」といわれるが、実際には落雷直前の稲妻停止位置を中心とし、雷撃距離を半径とする球内にある最も近いところに落ちる。高いものに落ちる確率が高いのは、稲妻の最終停止位置と高いものとの距離が、雷撃距離以内になる確率が高いためである。 これは落雷電流が最も導電しやすい経路に集中することに関係する。 このことから、高いものの近傍に落雷する確率は低くなる。しかし実際の雷雲の電荷蓄積範囲は広く、その防護範囲、すなわち落雷の起きない範囲はさほどには大きくならない。また電荷蓄積範囲は雷雲の広がりよりも広くなるため、落雷は雷雲下のみならず、雷雲の周辺までも含め、広範囲に不規則に発生する性質がある。 雷活動の様相を統計的に見ると、ひとつの落雷地点から次の落雷地点への移動距離はおよそ4キロメートル(km)を最頻値として多くは10 km以内に分布する。一方で、低頻度だが10 kmを超える例も見られることは無視できない。
概要
落雷の生じ方詳細は「雷」を参照CNタワーへの落雷(2008年)樹木への落雷直撃。樹冠内部に赤熱がみられる。