落語研究会(らくごけんきゅうかい)は、落語の興行の名の一つである。1905年から現在まで継続している。純粋な商業目的でなく、理念を追求する運動体としての一面を持つ。
その理念の高邁さから、落語家たちにとって、出演することがステータスの一つになっている。通常、寄席や余興(営業)では、落語のほかにいくつか色物が添えられることが多いが、第2次以降の落語研究会ではそのようなことはなく、落語家1人1人の出演時間もたっぷりととっている。客にとっては、落語をじっくり聞くことができる恰好の場となっている。 1905年 - 1923年
第1次
発起人
初代三遊亭圓左
4代目橘家圓喬
3代目柳家小さん
4代目橘家圓蔵
初代三遊亭圓右
2代目三遊亭小圓朝
小さん以外全員三遊派。
顧問(入会審査資格あり)
今村次郎
岡鬼太郎[2]
参加者は厳格な選抜方式を採用した。上記8人の全員賛成でない限り、落語家の新規入会は認められなかった。たとえそれが発起人の子孫であってもである。初代圓右は息子を入れようとしたが反対された。
準幹部
2代目柳家つばめ
初代柳家小せん
4代目古今亭志ん生
3代目蝶花楼馬楽
8代目桂文治
2代目三遊亭金馬
3代目三遊亭圓馬
顧問(上記以外)
森暁紅
1928年3月11日 - 1944年3月
全179回開催
旗揚げ
1928年3月11日、茅場町・宮松亭
会場
日本橋茅場町・宮松亭(第1回)
神田須田町、立花亭(第2回 - )
東宝小劇場(中断からの再開(1935年9月 - ))
日本橋浜町・日本橋倶楽部(1938年12月 - )
活動停止は太平洋戦争による
発起人
5代目三遊亭圓生
6代目林家正蔵
8代目桂文治
4代目柳家小さん
8代目桂文楽
6代目春風亭柳橋
6代目三遊亭圓生
顧問
今村次郎[1]
岡鬼太郎[2]
森暁紅
1946年2月3日 - 1946年8月 1968年 - 別名 TBS落語研究会 地上波のTBSテレビ、BS-TBS、CS・TBSチャンネル1・2で放送されている。地上波・BS:1席 - 2席(1時間版)、CS:2席 - 4席(2時間版)と、それぞれの内容および構成は若干異なる。また、U-NEXTでも2時間版が配信されている(アーカイブは1年程度残る)。
旗揚げ
1946年2月3日 社団法人生命保険協会講堂
会長 久保田万太郎
顧問
渋沢秀雄[8]
遠藤為春[9]
参与
正岡容
安藤鶴夫
発起人
8代目桂文治
4代目柳家小さん
8代目桂文楽 第二次発起人
2代目三遊亭円歌
3代目三遊亭金馬
初代柳家権太楼
2代目桂小文治
5代目柳亭左楽
5代目春風亭柳好
幹事
林家彦六
5代目古今亭今輔
「第三次落語研究会は、第一次や第二次の時のように、一部有志の集合でなく、全落語家の結束であります」(第一回プログラム)
幹部落語家(=一部有志?)の合議による選抜を廃止した。
第4次[10]七階講堂
会場
千代田生命ビル
神田須田町 立花 (1954年廃業)
東京ヴィデオ・ホール(1954年12月 - )[11]
最終興行
1958年4月19日
発起人
林家彦六
6代目春風亭柳橋
8代目桂文楽
5代目古今亭志ん生
3代目三遊亭金馬
2代目三遊亭円歌
6代目三遊亭圓生
賛助会員
7代目林家正蔵
5代目柳亭左楽
8代目桂文治
2代目桂小文治
6代目三升家小勝
3代目桂三木助
初代柳家権太楼
5代目古今亭今輔
3代目三遊亭小圓朝
8代目三笑亭可楽
5代目春風亭柳好
8代目春風亭柳枝
主事
今村信雄
解散の理由
発起人の中に、ギャラが安すぎるという理由で出演拒否する者が現れ、金銭関係で内部で衝突がおこったため。
第5次
旗揚げ
1968年3月14日
現在も継続。2018年6月に600回を迎えた。
会場
よみうり大手町ホール
国立劇場建て替えのため2023年11月から中央区立日本橋公会堂
主催
TBSテレビ
第四次までと異なり、落語家は運営に一切タッチしない。純粋に出演者としての参加である。
運営
前の落語研究会と違い、番組(下記)を収録するためのイベントである。客は有料入場であるが、万が一不入りでもただちに存続にかかわるようなことはない。
東宝演芸場の「落語勉強会」(1959年 - )とは別もの。
通常寄席では、落語家はあらかじめネタを決めない。その日の客の雰囲気によってその場で決める。反面、放送の収録(やレコードの吹き込み)は放送局(レコード会社)がネタを決定し、出演交渉の際にそれを通告する。TBS落語研究会もそれを踏襲している。局側としては、高いハードルを設定することで落語家を育てることもできる。桂歌丸が、本来レパートリーになかった三遊亭圓朝噺の第一人者になったのは、このようにして鍛えられたからである。
勃興期
レギュラーメンバーを特に固定しないが、当然、TBSの専属落語家(8代目文楽、6代目圓生、彦六、4代目圓遊、5代目小さん)が出演の主力になる。この落語家たちはそのまま昭和の古典落語のベストメンバーといってよい。開局時に専属落語家を選定した出口一雄の功績である。
8代目桂文楽の、伝説となった最後の高座は、この会の第42回である。
その後
文楽亡きあとは、6代目圓生、5代目小さんがほぼ全回、それも主任を務め、古典落語の孤塁を守った。また若手(3代目古今亭志ん朝、7代目立川談志、5代目三遊亭圓楽、8代目柳家小三治ら)がフル稼働し、落語界の流れを決定づけた。
現在も、その成り立ちや放映番組の格式高さから、「ホール落語」の中では一目置かれるものとなっている。
コロナ禍による感染予防のため、2020年3月・6月・7月・8月の公演は無観客収録となり、4月・5月は収録(開催)中止となった[12]。
長井好弘によるパンフレットの文章「当世噺家気質(とうせいはなしかかたぎ)」は2003年3月から掲載されている[12]。
チケット
御定連席券(年間指定席、年一回発売)
当日券(当日17:30から発売)
第470回と第471回の前売り券が、ヤフーオークションに流出した。TBSテレビは事態を重く見て、絶対にこのような事態が起こらないように、2007年10月(第472回)より「しばらくは」(何時までかは不明)前売り券の発売を完全に停止する。当日券は行列を作って入手する。枚数は少なく、早い時間帯で購入希望者が殺到する。
DVD
『落語研究会 古今亭志ん朝 全集 上』 ソニー・ミュージックダイレクト MHBL-53?60
『落語研究会 古今亭志ん朝 全集 下』 ソニー・ミュージックダイレクト MHBL-99?106(2008年10月1日発売)
『落語研究会 柳家小三治全集』 小学館 ISBN 978-4-09-480304-4 ⇒本人によるビデオメッセージ
『落語研究会 八代目 桂文楽全集』 竹書房 TSDS-75523
『落語研究会 六代目 三遊亭圓生 全集 上』 ソニー・ミュージックダイレクト(2009年9月2日発売予定)
『落語研究会 六代目 三遊亭圓生 全集 下』 ソニー・ミュージックダイレクト(2010年3月発売予定)
著書
『とことん楽しむ落語のすべて』 ISBN 978-4537019841(1999年、日本文芸社)
放送
落語研究会
東京落語界の第一線にある落語家が出演(年に数回、上方の落語家も出演)する国立劇場での収録映像と、解説部分で構成される。
解説は京須偕充、聞き手は赤荻歩(TBSアナウンサー)。