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ヒシ
水面を覆うヒシ
分類
ヒシ(菱 、学名:Trapa japonica)はミソハギ科(クロンキスト体系ではヒシ科)の一年草の水草。池沼に生え、葉が水面に浮く浮葉植物。種子は食用にされる。
目次
1 特徴
2 分布
3 近縁種
4 利用
4.1 食用
4.2 兵法
4.3 薬効
5 文学
6 脚注
7 参考文献
8 関連項目
9 外部リンク
特徴[ソースを編集]
春、前年に水底に沈んだ種子から発芽し、根をおろし茎が水中で長く伸びはじめ、水面に向かって伸びる[1]。よく枝分かれして、茎からは節ごとに水中根を出し、水面に葉を叢生する[1]。
葉は互生で、茎の先端に集まってつき、三角状の菱形で水面に放射状に広がり、一見すると輪生状に広がるように見える[1]。上部の葉縁に三角状のぎざぎざがある[1]。葉柄の中央部はふくらみがあって、内部がスポンジ状の浮きとなる[1]。その点でホテイアオイに似るが、水面から葉を持ち上げることはない。また、完全な浮き草ではなく、長い茎が池の底に続いている。
花は両性花で、夏から秋の7 - 10月にかけて、葉のわきから伸びた花柄が水面に顔を出して、花径約1cmの白い花が咲く[1]。萼(がく)、花弁、雄蕊は各4個で子房は半下位。
花が終わると、胚珠は2個あるが一方だけが発育し大きな種子となる。胚乳はなく、子葉の一方だけが大きくなってデンプンを蓄積し食用になる。果実を横から見ると、菱形で両端に逆向きの2本の鋭い刺(とげ。がくに由来)がある[1]。秋に熟した果実は水底に沈んで冬を越す。
菱形とはヒシにちなむ名だが[2]、葉によるのか実によるのか両説ありはっきりしない。
分布[ソースを編集]
平地のため池、沼などに多く、水面を埋め尽くす。日本では北海道、本州、四国、九州の全国各地のほか、朝鮮半島、中国、台湾、ロシアのウスリー川沿岸地域などにも分布する[1]。
近縁種[ソースを編集]
近縁種として日本にはオニビシとヒメビシがある。ヒシの果実にあるとげが2本であるのに対し、ヒメビシとオニビシの果実には4本のとげがある。実用性は乏しいと思われるが、忍者が追手の追撃をかわすために撒くまきびし(撒菱)には、これらが用いられる[3]。
利用[ソースを編集] ヒシの実 日本の農業百科事典のトラパ・ジャポニカ(1804)
食用[ソースを編集]
ヒシの種子にはでん粉 (Hizukuri et al.) が約52%程含まれており[4]、ゆでるか蒸して食べるとクリのような味がする。
日本では、霊亀3年(717年)10月に武蔵国策覃郡(埼玉郡)から菱子が納められたことを記した木簡が平城京の長屋王邸跡で見つかっている[5]。
アイヌ民族はヒシの実を「ペカンペ」と呼び、湖畔のコタンの住民にとっては重要な食糧または薬とされていた。