ドメイン:真核生物 Eukaryota
階級なし:オピストコンタ Opisthokonta
界:動物界 Animalia
上門:冠輪動物上門 Lophotrochozoa
門:二胚動物門 Dicyemida
学名
Dicyemida
van Beneden, 1876
シノニム
Rhombozoa
van Beneden, 1882
下位分類群
(ニハイチュウ目 Dicyemida)
ニハイチュウ科 Dicyemidae
カンタレラ科 Kantharellidae
ヘテロキエマ目(異胚虫目) Heterocyemida
コノキエマ科 Conocyemidae
二胚動物(にはいどうぶつ, Phylum Dicyemida)、または菱形動物(りょうけいどうぶつ、Rhombozoa)[1][註 1]は底生の頭足類の腎嚢に寄生(片利共生[2])する小さな動物であり、独立した動物門(二胚動物門)として扱われる[3][4][5]。生活史に2種類の幼生(胚)があることから[6]、総称してニハイチュウ(二胚虫、英: dicyemids)と呼ばれる[註 2]。
体の大きさは数 mm(ミリメートル)で[7]、体を構成する細胞は多細胞動物の中で最少である[4]。従来、二胚動物は直泳動物門と共に中生動物門に分類されてきたが[8]、分子系統学によって螺旋卵割動物(冠輪動物)に含まれることが明らかとなった[8][9]。これまで全世界の頭足類約25属から3科8属約140種の二胚動物が確認されている[7]。最大級の種はオオニハイチュウ Dicyemnnea megalosomum Furuya, 2018で、全長15.2 mmであり、体皮細胞数が47個のツノモチダコニハイチュウ Dicyemennea moritakii Furuya, 2018は発見されている中で最も細胞数の多い種である[10]。
研究史
発見と中生動物エルンスト・ヘッケル(1910)によるスケッチ。Fig. 6.はDicyema macrocephalum、Fig. 7.はConocyema polymorpha
最初の記録は1787年、イタリアのFilippo Cavoliniがタコの体内からウナギのような姿をした動物とともに球状のインフゾリアを観察したというものである[11][12][13][8]。1839年、ドイツのAugust Krohn[14]はその存在を詳細に記録した[6]。1849年、スイスのアルベルト・フォン・ケリカーは生活史に2種類の幼生があることから、δι = 2, χυημα = 胚 (embryo)という意味のDicyemaと名付けた[6]。その後1876年、ベルギーの研究者 Edouard van Beneden[6]は、Dicyemaを含む数属を新たな目 Dicyemides van Beneden, 1876 に含め[6]、ニハイチュウを系統進化上、原生動物と後生動物の中間に位置すると考え、中生動物を設立した[3][4][8][12]。古屋(2004b)によると、これはニハイチュウが示す簡単な体制から、後生動物の起源的動物をイメージしたと考えられている[8]。1882年、van Benedenは中生動物門にチョクエイチュウ(直泳虫、またはチョクユウチュウ、直游虫)を含め、ニハイチュウ類をRhombozoa、チョクエイチュウ類をOrthonectidaとして2目をこの門に置いた[8][15]。 van Benedenがニハイチュウを原始的な多細胞動物とした(原始的多細胞動物説)のに対し、1922年にLameere 1960年代には核酸研究が進展し、核酸の塩基総量に対するグアニンとシトシンの合計量(GC含量)は同種の生物では一定で、近縁の生物ではよく似ていることが知られるようになった[13]。1974年にLapanとMorowitz
寄生退化説と反論
系統解析