この項目では、植物について説明しています。その他の用法については「なのはな」をご覧ください。
菜の花(セイヨウアブラナ)
菜の花(なのはな)は、アブラナ科アブラナ属の花の総称[1]。特にアブラナまたはセイヨウアブラナの別名としても用いられる。また、菜花(なばな)は、ナタネ、カブ、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、カラシナ、ザーサイなどアブラナ科アブラナ属で主として花や葉茎を食するものをいう[1]。菜の花の「菜」とは食用の意味であり、菜の花とは食用の花の意味である。コマツナ、ハクサイ、チンゲンサイなどは葉を若どりして食べるもので、そのまま育てて薹(とう)立ちさせると、黄色い花が咲いて花蕾を食べることができる[2]。
なお、アブラナ属以外のアブラナ科の植物には白や紫の花を咲かせるものがあるが、これを指して「白い菜の花」「ダイコンの菜の花」ということもある。紫の花を咲かせるオオアラセイトウは別名で「紫色の菜の花」を意味するムラサキハナナの名でも呼ばれている。 中国では、菜の花は菜種油の原料、食用、集成材の原料として用いられる[3]。羅平県のカルスト地形に並ぶ菜の花畑は観光資源にもなっている[3]。菜花は、春の訪れを告げる、ビタミン豊富な花野菜で知られる。アブラナは菜種油の原料となる[3]。 和種なばな 花らい・茎 生[4]100 gあたりの栄養価
利用
菜花
エネルギー138 kJ (33 kcal)
炭水化物5.8 g
食物繊維4.2 g
脂肪0.2 g
飽和脂肪酸(0.02) g
多価不飽和(0.08) g
タンパク質4.4 g
ビタミン
ビタミンA相当量β-カロテン(23%) 180 μg(20%)2200 μg
チアミン (B1)(14%) 0.16 mg
リボフラビン (B2)(23%) 0.28 mg
ナイアシン (B3)(9%) 1.3 mg
パントテン酸 (B5)(15%) 0.73 mg
ビタミンB6(20%) 0.26 mg
葉酸 (B9)(85%) 340 μg
ビタミンC(157%) 130 mg
ビタミンE(19%) 2.9 mg
ビタミンK(238%) 250 μg
ミネラル
ナトリウム(1%) 16 mg
カリウム(8%) 390 mg
カルシウム(16%) 160 mg
マグネシウム(8%) 29 mg
リン(12%) 86 mg
鉄分(22%) 2.9 mg
亜鉛(7%) 0.7 mg
銅(5%) 0.09 mg
セレン(1%) 1 μg
他の成分
水分88.4 g
水溶性食物繊維0.7 g
不溶性食物繊維3.5 g
ビオチン (B7)12.2 μg
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[5]。別名:なのはな、しんつみな、かぶれな
単位
μg = マイクログラム (英語版)
IU = 国際単位
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI
菜花は早春の季節感を楽しめる野菜の一つで、旬は1 - 3月とされ、花蕾とやわらかい葉と茎が食べられる[6]。ふつう、漬け菜のアブラナ群のうち、春先に花茎と蕾を食用にする種類が「菜花」、または「花菜」の名称で市場に流通する[7]。お浸し、和え物、煮浸しなどの和風料理の他、中華料理風の炒め物、洋風のパスタソースなどにも使われる[6]。お浸しや和え物で下茹でするときは、ややかたい茎の部分と、蕾をつけている葉を切り分けて、少量の塩を入れた熱湯で、それぞれを加減を見てさっと茹で、ざるに上げるのが基本である[8]。
菜花は緑黄色野菜で、特有のほろ苦さと瑞々しい食感が特徴で、栄養価が高い[6]。特筆すべきはβ-カロテンとビタミンCが群を抜いて豊富なことで、抗酸化作用が高いといわれるβ-カロテンはピーマンの約5倍、ビタミンCはホウレンソウの約3倍ほど含まれている[6][2][9]。ビタミンB2、鉄、カルシウム、カリウム、食物繊維などもバランスよく多く含まれており[6]、カルシウムはコマツナ並み、カリウムはモロヘイヤ並みに含まれている[9]。灰汁(アク)の元となるシュウ酸はホウレンソウの20分の1以下と少ない方なので、調理にあたっては下茹でせずに使うこともでき、水溶性のビタミンCをなるべく流失させないような調理もできる[8]。β-カロテンは、食用油と一緒に調理することで体への摂取効率が高まるので、炒め物のほかにもオリーブオイルや胡麻油を足して食べることも勧められている[8]。
花蕾が密集していて、まだ花が開いていないもの、茎が太くて切り口が円形に近いものが市場価値の高い良品である[2]。収穫した菜花は、日を追ってすぐに花が開いて、茎も筋が硬くなり食べにくくなるので、収穫後から時間をかけずに食べきるのがよいといわれる[8]。やむをえず使い切れないなどで保存するときは、濡らしたペーパータオルなどで包んでからビニール袋に入れる乾燥防止対策をして、花の部分を上に向けて冷蔵する[6]。3 - 4日ほどの長期保存する方法としては、さっと下茹でして水気を絞った菜花を、ラップなどに包んで冷凍する[8][2]。 一般に、食用として出回る「菜花」とよばれるものは、切り花の菜の花を品種改良して苦味を抑えたアブラナ科の野菜のほとんどであるため、その種類は多い[8]。葉が柔らかく花茎と蕾と葉を利用する在来種と、葉が厚く主に花茎と葉を利用する西洋種がある[1]。
市販の菜の花(頭頂部)
市販の菜の花(脇芽)
菜の花の胡麻和え
菜の花のお浸し
菜花の種類