菌糸
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2017年10月)
アオカビの菌糸
糸状の構造が菌糸。アオカビの菌糸には隔壁が存在する(クリックして拡大すると確認可能)

菌糸(きんし)とは、菌類の体を構成する、糸状の構造のことである。一般にいうカビキノコなどは、主に菌糸が寄り集まったもので構成される。単細胞状態の菌類である酵母に対して、このように菌糸を形成した多細胞状態の菌類を糸状菌と総称することがある。また偽菌類放線菌など、菌類以外の微生物にも菌糸を形成するものがある。
概説

菌糸(きんし hypha pl. hyphae)というのは、多くの菌類が形成する糸状の構造であり、それらの菌類の栄養体を構成する単位として機能する。栄養体が菌糸から構成されている菌類を糸状菌と呼び、菌糸からなる菌類の体を菌糸体(mycelium pl. mycelia)という。

たとえばシイタケが樹木の幹から生えているのを見たとき、一般の人は樹皮上に出ているものをシイタケと見るが、これは子実体という繁殖のための構造に過ぎず、その本体はむしろ幹の中に広がる菌糸である。種菌として植え付けられたシイタケは、材木の中に菌糸をのばし、菌糸から酵素を出して周囲の材を分解し、それを吸収して成長し、やがて子実体を作ることで表面から見えるようになる。また、子実体そのものも菌糸から構成されている。カビの場合も同様で、たとえば餅の表面に出てくるアオカビは、粉の集まりのように見えるのは胞子の固まりであり、実際にはその下の餅の中に広がっている菌糸が本体なのである。糸状菌においては菌糸が本体であり、菌糸として成長し、菌糸からの分化によって様々な構造が作られ、そこで生殖も行われる。

一般には菌糸はそれぞれ単独で生命維持ができる単位であり、菌糸が分断されても、その一部から再び成長を続けることができる。しかし、生殖などの活動には、ある程度以上の大きさに発達した菌糸体であることが必要である。また、菌糸はそれぞれが遊離して栄養源である基質表面、あるいはその内部に侵入し、それぞれに栄養を分解吸収して成長するが、時にまとまって一定の構造を作る場合がある。菌類に於いては、1列に細胞が並んだ菌糸以上の複雑な組織は存在せず、子実体のような大型の構造も、すべて菌糸が集まって形成される。
一般的構造

一般に菌糸と呼ばれるものは、状で、分枝しながら先端成長によって伸長し、その表面で周囲にある基質を分解吸収して自らの栄養とする構造である。多くの菌類は、胞子から発芽するとこのような構造となり、成長や分枝を続け、多数の菌糸の集まりによる体を発達させる。菌糸は細胞からなり、その表面は丈夫な細胞壁で覆われる。
大きさ

菌糸は先端で伸びるものであるから、原理的には無限に成長すると考えられ、長さについてはあまり考えても仕方がない。しかし実際にはその大きさは様々であり、これには環境条件などが大いに関わっているであろう。さらに、純粋培養の元でも大きくなるもの、あまり大きくならないものの差はあり、場合によってはその群の特徴となる。逆に、まず長くならないものもある。例えばハエカビ目のものは、ほとんど肉眼で確認できない程度の長さにしか伸びない。これを分節菌糸体と呼んでいる。

太さは0.5-100μmまでの幅があり、菌群によって大きく異なる。ごく細いものは後述のツボカビ類の仮根状菌糸や、接合菌類のトリモチカビ目に見られる。これらでは2μm程度の菌糸が普通で、部分的にはさらに細くなっている。特に太いのは菌類ではないが卵菌類のミズカビ類で、20-40μmは普通で、ミズカビやワタカビでは時には100μmを越えることもある。フハイカビで4-6μm、これは一般の子嚢菌、担子菌程度である(椿他,1978:各種の記述から)。
細胞性

菌糸は基本的には多細胞的なものであるが、菌糸を細胞に区切る隔壁があるものとないものがある。隔壁が全くないか、所々にのみ形成される場合、菌糸の内容は仕切りがなくて多数の核を含む原形質からなる多核体の構造となる。ツボカビ門のサヤミドロモドキ目や接合菌門ケカビ目などにそのようなものが見られる。子嚢菌類や担子菌類では菌糸には規則的に隔壁があって、菌糸は細胞に分かれているが、実際にはその間に連絡があり、多核体的な面が強い。
細胞壁

菌糸の細胞壁の主要な構成成分は多糖類である[1]。ほとんどの菌類に於いては、その大部分はキチンである。他にキトサンやβ-グルカンを同時に含んでいるものが多い。それらは繊維状となり、層をなしているのが普通である。
隔壁

菌糸を仕切っている板を隔壁(septum)という[1]。接合菌綱のケカビ目などでは菌糸には原則的には隔壁がなく、古くなると作られたり、生殖器官の下に形成される程度であるが、接合菌綱でもキクセラ目などでは規則的な隔壁が形成される。ただし、キクセラ目のものでは、隔壁の中央に、両側の細胞に突き出た特有の管がある。

子嚢菌類、担子菌類(および不完全菌類)の菌糸には、規則的に隔壁があり、それによって菌糸は細胞に分断されている。このような隔壁は核の分裂に連動して形成される。しかしながら、これらの菌類では、生殖部分を仕切る場合には完全な隔壁が形成されるが、通常の隔壁には、実はその中央に孔があって、細胞間で行き来ができるようになっている。子のう菌類の場合、隔壁は菌糸の軸に垂直な単なる細胞壁の板であるが、その中央部には1つの穴が開いている。この孔によって両隣の細胞質は連続しており、それを通じて、ミトコンドリアなどの細胞器官やまでも行き来が可能である。事実、子嚢菌に於いて、菌糸体の中を核が時速1?4cmの速度で移動することが確認されている。また、不完全菌に於いて、他の菌糸との接触によって異質の核が導入され、それらが孔を通って移動して核が融合したりするような過程で有性生殖と同等の効果が生じる疑似有性生殖が行われる例もある。

担子菌類では隔壁の構造はさらに複雑で、中央の孔の周辺はたる型に肥厚し、その両側を小胞体が帽子状になった孔帽と呼ばれる構造が覆っている。このような構造を持つ隔壁をドリポア隔壁(dolipore septum)という。この部分の詳細な構造は、下位の分類群によっても異なっている。

なお、核分裂と連動して形成される規則的な隔壁を一次隔壁(primary septum)、不規則的に形成されるものを不定隔壁(adventitionus septum)と言うこともある。
二核菌糸シイタケの子実体の菌糸
中央にかすがい連結が見える

菌類においては、栄養体の核相は単相である例が多い。したがって、菌糸には単相の核のみを含む。それらは有性生殖時に何らかの形で接合すると、融合した核はほぼその場で減数分裂を行い、単相に戻る。

しかし、子嚢菌と担子菌では細胞の融合後に核が融合せず、一つの細胞に2つの核を含んだ状態を維持しながら菌糸が成長する。これを二核菌糸、あるいは二次菌糸と言う。これは子嚢菌では子実体の中でごくわずかに見られるが、担子菌ではむしろこの状態が普通であり、キノコを構成する菌糸はすべてこれである。これらの菌糸では、隔壁の部分に特殊なかすがい連結(clamp connection)と言う構造が出来る(出来ない場合もある)。
細胞の構造

古い菌糸の部分は、先端からの距離に応じて活動やその成分が異なっていることが知られている。細胞壁の内側には細胞質があるが、ほとんどは細胞壁に面する部分に集まり、中央には液胞がある。菌糸が古くなるにつれて液胞は大きくなり、最終的には細胞は空胞化する。
菌糸の成長

菌糸はその先端部で新たな細胞壁が作られて、先へ伸びることで成長する[1]。菌糸の成長部分より後方では、細胞質内に液胞があって、それが次第に拡大成長するので、これが原形質を前方へ押し出す力になっているとの説もある。菌糸先端部のすぐ後方では、小胞体で細胞壁の成分が合成され、この成分は小胞の形で前方へ押し出され、新しい細胞壁の形成に使われる。それらの後方にはミトコンドリアが多数見られ、その活動が菌糸の成長に結びついているとされる。特に規則的な隔壁を持つ菌糸の場合、先端部に光学顕微鏡では暗色に見える先端小体(Spitzenkroper)があり、先端成長と強く結びついていることが知られる。これは多数の小胞やその他の構造が集まったもので、その働きについてはまだ十分にはわかっていない。多細胞の菌糸では、菌糸先端がある程度成長した後に、その後方で核分裂を生じて新たな隔壁が作られる。

菌糸の成長は、温度によって大きく変わるが、菌群によっても異なる。

分枝が生じる場合、菌糸先端のやや後方から新たな先端を生じて枝分かれができるものが多い。先端部が2叉分枝をする例は少なく、ツボカビ門のカワリミズカビなどに見られる程度である。また、同種の菌糸が接触した場合にそこで融合が起こることも知られている。寒天培地上のカビのコロニー・白い綿状の菌糸が見える
菌糸体の形

寒天培地のような均質な基質上では、当初の菌糸の成長は各方向に一様であるが、次第に中心から外へ向かう方向に向きが定まる傾向がある。結果として、菌糸体は円形(立体的には球形)の形を取り、先端から一定距離に胞子形成を生じて同心円の形になることが多い。


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