茎葉体
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茎葉体(けいようたい、: leafy plant[1], leafy gametophyte[2], phyllid gametophore[3])は、コケ植物配偶体の本体で、がはっきり分化した形態のものを指す[2][1]。この茎と葉を持つ性質を茎葉性(けいようせい)という[4]。「葉」および「茎」は単相(n)である配偶体にできるため、被子植物の持つ複相(2n)の胞子体にできる茎や葉とは根本的に異なっている[5]。茎葉体の葉は被子植物の葉と区別し、特に phyllid(あるいは phyllidium) と呼び分けられる[6][注釈 1]

茎葉体 (cormus) という語自体は1836年シュテファン・エンドリヒャーが提唱した概念で、当初はコケ植物と維管束植物両方に適用されたものである[1]。コケ植物は蘚類苔類ツノゴケ類の大きく3つの系統に分かれているが、そのうち蘚類と苔類の多くが茎葉体を持つ[7]。残りの苔類とツノゴケ類の配偶体の本体は葉状体からなる[7]

コケの胞子が発芽すると、まず原糸体と呼ばれる配偶体を形成する[8][注釈 2]。蘚類の原糸体はクロロネマとカウロネマの2型がある[10]。この原糸体(カウロネマ)が分枝して、茎葉体が形成される[11][3]。茎葉体は茎葉を形成し、先端に配偶子を内包する造卵器と造精器を形成する[3]。また、茎葉体からは原糸体に似た糸状の組織である仮根(かこん、rhizoid[2])が伸びる[12]。造卵器や造精器を囲む葉は普通の葉と形態が異なり、苞葉(ほうよう、bract)と呼ばれる[13]
蘚類
蘚類の茎葉体の横断面。A ハイドロイド、 B レプトイド、C 皮層、D, E 葉に入る通導組織、F 葉、G 表皮。スケールバーは 0.2 mm。

蘚類の茎は3層の組織分化が見られ、最外層を表皮、その内側を皮層(ひそう、cortex)、中心に中心束(ちゅうしんそく、central strand[14][15];導束、conducting bundle[16])がある[11]。ただし、中心束は発達しない種もある[11]。中心束は水通導組織であり、ハイドローム(hydrome)とも呼ばれる[17]。このハイドロームを構成する細胞は周辺よりも細胞壁が薄く、死細胞となっており、ハイドロイド(hydroid)と呼ばれる[18][17]。スギゴケ類では水通導細胞は周囲の細胞より細胞壁が厚くなる[17]

茎の横断面は円形または楕円形である[11]。表皮細胞のサイズは分類形質となる[11]

スギゴケ属 Polytrichum やニワスギゴケ属 Pogonatum などスギゴケ類の茎の構造はコケ植物の中で最も複雑である[11]。ウマスギゴケ Polytrichum commune などの茎には水の通導を担う中央の中心束のほかに、有機物の通導を担うレプトーム(leptome)と呼ばれる栄養輸送組織がある[18][19]。レプトームはレプトイド(leptoid)と呼ばれる栄養輸送細胞からなる[18][19]
ヒメツリガネゴケ Physcomitrium patens の茎葉体から切り離した葉。中肋がある。トサカホウオウゴケ Fissidens dubius の葉の断面。中肋はハイドロイド細胞などに分化し、葉身は1細胞層からなる。

蘚類の葉は被子植物とは異なる発生機構によって形成されている[20]。葉の形態は多様であるが、長さ10 mm以下で左右相称のものが多い[18]。しかし、葉を左右に展開する対生や3列縦生のものでは明瞭に非相称な葉を持つ[18]ホウオウゴケ属 Fissidens の葉は特殊で、基部の茎に接する部分が2枚の腹翼(ふくよく、vaginant lamina[13])となり、アヤメの葉のように抱茎する[18]

葉の先端の形状も多様で、尖るものが多いが、円形のもの、切形のものがある[4][18]

蘚類の葉の中央には基部から葉先の方向に多細胞性の葉脈状構造である中肋(ちゅうろく、costa, nerve, midrib[14][15])を持つものも多い[4][18][注釈 3]。中肋の長さは種によって異なり、頂端付近まで伸びるものや基部のみにあるもの、先端から芒状に突出するもの、二叉するものなどがある[22]。一般に、中肋は多層の細胞からなり、背腹の外側に表皮細胞、中央に大きな数個のガイドセル(guide cell[2]、ハイドロイド)と、その上下にある小型で厚壁のステライド(stereid[15])の2種類の組織から構成される[22][21]


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