英霊の聲
作者三島由紀夫
国 日本
言語日本語
ジャンル短編小説
発表形態雑誌掲載
初出『文藝』1966年6月号
刊行河出書房新社 1966年6月30日
装幀:榛地和
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『英霊の聲』(えいれいのこえ)は、三島由紀夫の短編小説。二・二六事件で銃殺刑に処せられた青年将校と、神風たらんと死んだ特攻隊員の霊が、天皇の人間宣言に憤り、呪詛する様を描いた作品である。〈などてすめろぎは人間(ひと)となりたまひし〉という哀切なリフレインが、能の修羅物の2場6段の構成で綴られている[1]。
二・二六事件で処刑された青年将校・磯部浅一の獄中の手記(獄中日記、行動記)や、河野壽の兄・河野司著『二・二六事件』から影響を受けて執筆された『英霊の聲』は[1][2]、1960年代の三島の一つの転換点となり[3]、その後に書かれる『文化防衛論』などの評論への前駆的な役割を担っていた作品である[4][注釈 1]。
なお、『英霊の聲』の挿入歌の先行試作と見られる、7篇の歌からなる『悪臣の歌』という草稿が[5]、1999年(平成11年)に三島由紀夫文学館で見つかり、記念展図録で公開された[6]。 1966年(昭和41年)、文芸雑誌『文藝』6月号に掲載され、同年6月30日に河出書房新社より、作品集『英霊の聲』として単行本刊行された[7][8][9]。この本には、『憂国』と戯曲『十日の菊』も収録され、「二・二六事件三部作」として纏められた[1]。 オリジナル版の文庫本は2005年(平成17年)10月20日に河出文庫より刊行されている。翻訳版はイタリア語(伊題:La voce degli spiriti eroici)で行われている。 木村先生の主宰する「帰神の会」に列席した「私」が、そこで見聞したことを〈能ふかぎり忠実に〉記録していくという体裁をとって、二・二六事件の蹶起将校と、大東亜戦争の神風特攻隊の兵士たちの霊が次々と、霊媒師の青年・川崎重男に憑依し、呪詛する模様が綴られてゆく。
目次
1 発表経過
2 内容
3 構成
4 作品背景
5 文壇の反響・同時代評価
6 作品研究・解釈
7 エピソード
8 おもな刊行本
9 全集収録
10 肉声・音声化
11 舞台化
11.1 注釈
11.2 出典
12 参考文献
13 関連項目
発表経過
内容