アセト亜ヒ酸銅(II)
別称C.I. Pigment Green 21, Paris Green, Emerald Green, Schweinfurt Green, Imperial Green, Vienna Green, Mitis Green, Veronese green
識別情報
CAS登録番号12002-03-8
>345 °C
沸点
分解
水への溶解度不溶
危険性
安全データシート(外部リンク)GHSモデル MSDS情報
EU分類 T N
RフレーズR23/25 R50/53
SフレーズS(1/2) S20/21 S28 S45 S60 S61
半数致死量 LD5022 mg/kg
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
花緑青(はなろくしょう)とは、19世紀初頭にドイツで工業的に生産され始めた緑色の人工顔料である。化合物としての実体は、 Cu(C2H3O2)2·3Cu(AsO2)2、すなわち、酢酸銅と亜ヒ酸銅(II)の複塩である[1]。パリスグリーン、エメラルドグリーン、シュヴァインフルトグリーンなどとも呼ばれる。ヒ素に由来する強い毒性を持ち、過去には殺鼠剤、殺虫剤、農薬としても盛んに用いられた。 オーストリアの技術者Ignaz Edler von Mitis (1771?1842)が1805年に見出し、キルヒベルク・アム・ヴェクセル
歴史
1844年カール・アドルフ・フォン・バセドウが、壁紙の彩色に用いられた花緑青をカビの一種Scopulariopsis brevicaulis(当時の学名はPenicillium brevicaule)が代謝して有機ヒ素化合物を放出し、それにより住人がヒ素中毒を起こすことを示した。 酢酸銅(II)と三酸化二ヒ素から作られる[2]。 かつては絵具や建築用塗料として利用されていた。19世紀初頭にはヨーロッパでは壁の、アメリカでは窓の鎧戸の塗料として流行したが、硫黄と反応して黒化する性質があり、大気汚染による空気中の硫化物の増加により黒ずんでしまう。 1868年アメリカ合衆国でジャガイモの害虫であるコロラドハムシに対する農薬としての利用法が発見された[3]。以後様々な害虫に対する殺虫剤として盛んに利用された。イタリアでは第二次世界大戦中にマラリア対策として大規模な航空散布が行われた[4]。 急性毒性は22 mg/kg(LD50・ラット経口)で、それ以外にもヒ素に由来する発がん性(IARCグループ1)その他の健康有害性を持つと考えられている[5]。 GHSにおける急性毒性(経口)の区分2ほか各種の毒性を有し、各国で貯蔵や運搬に規制がある(国連番号1585)。日本では船舶安全法や航空法によってGHSに基づく規制があり、また毒劇法に基づく毒物として製造・販売・貯蔵に規制がある[5]。
製法
用途
顔料
殺虫剤
毒性
法規制
脚注[脚注の使い方]^ 伝統色のいろは -花緑青
^ H.Wayne Richardson, "Copper Compounds" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 2005, Wiley-VCH, Weinheim. doi:10.1002/14356007.a07_567
^ 米国特許 ⇒第82,468号
^ Justin M. Andrews, Sc. D. (1963年). “ ⇒Preventive Medicine in World War II, Chapter V. North Africa, Italy, and the Islands of the Mediterranean”. Washington, D.C. USA: Office of the Surgeon General, Department of the Army. pp. 281. 2008年9月30日閲覧。
^ a b “GHSモデル MSDS情報
関連項目
シェーレ緑 - 同様に銅とヒ素を含む、より単純な組成の人工顔料。