花巻電鉄
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花巻電鉄
種類株式会社
本社所在地 日本
岩手県花巻市駅前大通132
設立1926年(大正15年)9月20日
業種鉄軌道業
事業内容旅客鉄道事業、自動車運送業
代表者社長 川村栄一
資本金24,000,000円
発行済株式総数48,000株
特記事項:1970年3月31日現在(『私鉄要覧 昭和45年度版』 19頁)
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花巻電鉄(はなまきでんてつ)は、かつて岩手県花巻市国鉄東北本線花巻駅を中心に、花巻温泉郷へ向かう鉄道線、花巻南温泉郷へ向かう軌道線、路線バスを運営していた会社である。

同社は1971年に岩手中央バスへ統合され、1972年に鉄道・軌道線を全廃し、1976年の再統合で岩手県交通となった。長い歴史において、買収や企業統合、単なる商号変更などで、運営する企業名が再三にわたり変わっているが、一般には戦後長期に渡って継続した「花巻電鉄」の名称で知られている。現在はかつての関連会社であった電鉄タクシーにその名を残す。

本項では、同社が運営していた鉄道線・軌道線・バス事業についても記述する。これらの鉄軌道路線は宮沢賢治高村光太郎が利用したことでも知られる。
鉄軌道事業
路線データ

1965年当時

路線距離:総延長26.0km

鉄道線(花巻温泉線):西花巻 - 花巻温泉間7.4km

軌道線(鉛線):中央花巻 - 西鉛温泉間18.6km


駅数:総27駅

鉄道線:7駅(西花巻含む)

軌道線:21駅(西花巻含む)


軌間:762mm(特殊狭軌線

複線区間:なし(全区間単線

電化区間:全線(直流600V)

運行概要

1934年12月当時

鉄道線

運行本数:花巻 - 花巻温泉間13往復

所要時間:全区間22分


軌道線

運行本数:花巻 - 西鉛温泉間6往復半(他、朝の大沢温泉 - 花巻間と夜の西鉛温泉 - 大沢温泉間に上り各1本)

所要時間:全区間1時間34分 - 1時間36分

1969年3月当時

鉄道線

運行本数:花巻 - 花巻温泉間20往復

所要時間:全区間20分


軌道線

運行本数:花巻 - 西鉛温泉間11往復(内1往復は鉛温泉止まり、並行してバス9往復運行)

所要時間:全区間1時間 - 1時間2分(バス40分)

1両のデハ(電動車 M)が1-2両のサハ(付随車 T)や貨車を牽引する列車で運転され、場合によっては続行運転をしていたほか、続行運転の列車を併結したMTMTの4連などもあった。終点などでは機回し線などによりデハを先頭に付け替える。

軌道線沿線に鉱山があったこともあり、時期によっては貨物輸送もそれなりに需要があった。
沿革

軌道線は、花巻西郊の豊沢川に沿った温泉地を結ぶ電車路線としてスタートした。大沢温泉以西は馬車鉄道として開通したものをのちに電車化したものである。盛岡電気工業の運営となったあと、同社社長の金田一国士が新たなリゾートとして開発した花巻温泉との間を結ぶ鉄道線が1925年に開通した。

1913年(大正2年)

花巻電気軌道設立

8月30日 花巻川口町(西公園) - 湯口(松原)間特許[1][2]

9月11日 路線特許を花巻電気へ譲渡


1915年(大正4年)9月16日 花巻電気により、花巻川口町(西公園) - 湯口村(松原)間開業[1][3]東北地方初の電気鉄道であった[4]

1916年(大正5年)

6月9日 中央花巻-西公園、松原 - 大沢温泉間特許[1][5]

9月26日 松原 - 松倉間開業[1][6]


1917年(大正6年)3月29日 (小田良治:個人)大沢温泉 - 西鉛温泉間特許[7]

1918年(大正7年)1月1日 花巻(後の中央花巻) - 西公園間開業[1][8]

1919年(大正8年)

8月12日 台鉄道に対し西花巻 - 花巻温泉間地方鉄道免許(動力蒸気)[9]

9月27日 (温泉軌道)湯口(後の大沢温泉) - 鉛温泉間馬車軌道開業許可[1][10]


1920年(大正9年)4月27日 松倉 - 志戸平温泉間馬車軌道開業許可[11]

1921年(大正10年)

6月25日 (温泉軌道)鉛温泉 - 西鉛温泉間開業[1][12]

11月11日 台鉄道は盛岡電気工業へ譲渡認可[13]

12月25日 盛岡電気工業、花巻電気を合併


1922年(大正11年)6月30日 盛岡電気工業、温泉軌道を合併[14]

1923年(大正12年)5月4日 志戸平温泉 - 湯口(大沢温泉)開業[1][15]。松倉 - 志戸平温泉間電車運転開始

1925年(大正14年)

8月1日 西花巻 - 花巻温泉間開業[16][17]。ただし芝浦製作所に発注していた電気機関車の製造が労働争議により遅れ、蒸気機関車の牽引による運転となった[18]

10月3日 西花巻 - 花巻温泉間電車運転開始

11月1日 大沢温泉 - 西鉛温泉間電車運転開始


1926年(大正15年)10月1日 盛岡電気工業、新設会社の花巻温泉電気鉄道へ路線譲渡

1941年(昭和16年)10月29日 花巻電気鉄道へ社名を改称

1947年(昭和22年)6月5日 花巻温泉電鉄へ社名を改称

1953年(昭和28年)6月1日 温泉事業を分離し、花巻電鉄へ社名を改称

1965年(昭和40年)7月1日 中央花巻 - 西花巻間廃止

1969年(昭和44年)9月1日 花巻 - 西花巻 - 西鉛温泉間廃止

1971年(昭和46年)2月24日 花巻電鉄、岩手中央バスに合併して同社路線となる

1972年(昭和47年)2月16日 花巻 - 花巻温泉間を廃止して全廃

1976年(昭和51年)6月1日 岩手中央バス、岩手県交通に統合

(軌道線の開業年月については資料により異なる)
温泉軌道

温泉軌道は鶯沢鉱山(湯口村)の鉱物を輸送する目的で建設した専用馬車軌道を花巻電気が買収し子会社としたもの。

1916年に鶯沢鉱山を取得した小田良治は、1918年はじめころに西鉛 - 志戸平間に専用馬車軌道を完成した。だが不況により鉱山は閉山し、この軌道は放棄された。以前から西鉛延長を計画していた花巻電気はこの馬車軌道を買収することとし、1918年7月温泉軌道株式会社を設立(本社は花巻電気本社と同所、社長も花巻電気社長)。8月には軌道を買収し、馬車軌道による営業を開始する。乗客は志戸平で電車から馬車へのりかえていた。ただこれは公式の記録(鉄道統計資料等)よりも前の開業であり、鉄道監督局の喜安健次郎(のちに鉄道省次官、帝都高速度交通営団総裁)が岩手軽便鉄道を視察のおり、志戸平温泉に立ち寄った際、偶然馬車軌道を発見。


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