船長
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この項目では、船舶について説明しています。スペースシャトルについては「船長 (スペースシャトル)」をご覧ください。
船長の肩章の一例

船長(せんちょう。英語では Captain[1][注釈 1])とは、船舶の乗員の中で、当該船舶の最高責任者、かつ船主の代理人として、法定の権限を有する者[2]

軍艦自衛艦)の長は、艦長(かんちょう。英語では Captain[注釈 2]、Commanding Officer〈略称:CO〉、Skipper[3])と呼称する[注釈 3]
概説しらせ (2代)の艦橋にある艦長席。同艦の艦長は1佐が務めるので、赤いカバーが取り付けられている (長が2佐までの艦艇は座席のカバーの左半分が青のツートーン)。

船長は船舶の運航指揮者という航行組織上の地位、海上企業主体の代理人という企業取引組織上の地位の二面性を有する[2]

船長が着用する、商船士官[4](職員、Officer[5])としての船長の地位(階級かつ職位)を示す階級章は「金筋4本」である[6][7]。一方、艦長が着用する階級章は、あくまで海軍士官としての階級を示すものであるため、艦長の階級により異なる(例:海軍大佐は金筋4本、海軍中佐は金筋3本、など)。

船長の席は通常ブリッジの右寄りにある[8]が、航空母艦ではアイランド(ブリッジ等の構造物)を右舷に寄せた設計となっているため、飛行甲板が見渡せる左側に寄せている。一目で分かるように席の色を変えている船もある。
日本の法令上の船長.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

船長の選任と解任

船長は海上企業主体(船主もしくは船舶賃借人)によって選任される[9]。船舶共有の場合は船舶管理人が選任を行う(旧商法700条・改正698条)[9]。船長には航行区域と船舶の大きさに従って船舶職員及び小型船舶操縦者法に定める有資格者のうちから選任しなければならない[9]

船長がやむを得ない事由により自ら船舶を指揮することができないときは法令に別段の定めがある場合を除いて他人を選任して自己の職務を行わせることができ(旧商法707条・改正709条前段)、これを代船長という[9]。この場合においては船長はその選任につき船舶所有者に対して責任を負う(旧商法707条・改正709条後段)。

また、船長が死亡したとき、船舶を去ったとき、又はこれを指揮することができない場合において他人を選任しないときは、運航に従事する海員は、その職掌の順位に従って船長の職務を行う(船舶法20条)。これを代行船長というが、代行船長は厳密な意味での船長ではない[9]

船長は雇用契約の終了事由によりその地位を失うほか、船舶所有者は何時でも船長を解任することができる(旧商法721条1項本文・改正715条1項)[9]。ただし、正当な理由なく解任したときは船長は船舶所有者に対し解任によって生じた損害の賠償を請求することができる(旧商法721条1項但書・改正715条2項)。
船長の権限
私法上の権限

船長の代理権

船長には船主からの代理権授与契約に基づく代理権が認められている
[10]。船長の代理権に加えた制限は善意第三者に対抗することができない(旧商法714条・改正708条2項)。

船籍港外においては船長は、船舶について抵当権を設定することや、借財をすることを除いて、航海のために必要な一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限を有する (旧商法713条1項・改正708条1項)。



積荷の供用

船長は航海を継続するため必要なときは積荷を航海の用に供することができる(旧商法719条・改正712条)。


公法上の権限

船舶指揮権

船長は船舶の運行責任者として船舶指揮権を有する
[11]。船舶指揮権は船主から授権されたものではなく船舶共同体の安全確保のために法律によって国から授権された権限である[11]

船舶指揮権の内容は以下参照。


指揮命令権

船長は指揮命令権を有し、海員を指揮監督し、かつ、船内にある者に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる(船員法第7条)。


懲戒権

船長は、海員が船員法21条の事項を守らないときは、これを懲戒することができる(船員法22条-24条)。


危険に対する処置

船長は、海員が凶器、爆発又は発火しやすい物、劇薬その他の危険物を所持するときは、その物につき保管、放棄その他の処置をすることができる(船員法25条)。

船長は、船内にある者の生命若しくは身体又は船舶に危害を及ぼすような行為をしようとする海員に対し、その危害を避けるのに必要な処置をすることができる(船員法26条)。

船長は、必要があると認めるときは、旅客その他船内にある者に対しても、前二条に規定する処置をすることができる(船員法27条)。


強制下船

船長は、雇入契約の終了の届出をした後当該届出に係る海員が船舶を去らないときは、その海員を強制して船舶から去らせることができる(船員法28条)。


行政庁に対する援助の請求

船長は、海員その他船内にある者の行為が人命又は船舶に危害を及ぼしその他船内の秩序を著しくみだす場合において、必要があると認めるときは、行政庁に援助を請求することができる(船員法29条)。


水葬

船長は、船舶の航行中船内にある者が死亡したときは、国土交通省令の定めるところにより、これを水葬に付することができる(船員法15条)。


司法警察権

遠洋区域、近海区域又は沿海区域を航行する総トン数20トン以上の船舶の船長は、他の一定の海員と共に特別司法警察職員に指定されている(司法警察職員等指定応急措置法(昭和23年法律第234号)第1条及び司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ關スル件 (大正12年勅令第528号))。


船長の義務

善管注意義務

旧商法では、船長は善管注意義務を負い、船長はその職務を行うにつき注意を怠たらなかったことを証明しなければ船舶所有者、傭船者、荷送人その他の利害関係人に対して損害賠償責任を免れることができないとされ(旧商法705条1項)、また、船長は船舶所有者の指図に従ったときであっても船舶所有者以外の者に対しては前項に定めた責任を免れることができないとされていたが(旧商法705条2項)、この規定は改正商法では削除された。ただし、当該規定が削除されても、傭船者や荷送人は、運送人に対し契約上の債務不履行責任を追及できる(商法575条)。 


商法上の書類備置義務

船長は属具目録及び運送契約に関する書類を船中に備え置くことを要する(旧商法709条1項・改正710条)。


発航前の検査

船長は、発航前に次に掲げる事項を検査しなければならない。ただし、当該発航の前12時間以内に1.に掲げる事項のうち操舵設備に係る事項について発航前の検査をしたとき並びに当該発航の前24時間以内に1.(操舵設備に係る事項を除く。)、4.及び5.に掲げる事項について発航前の検査をしたときは、当該事項については、検査を行わないことができる(船員法8条、同施行規則2条の2)。


船体、機関及び排水設備、操舵設備、係船設備、揚錨設備、救命設備、無線設備その他の設備が整備されていること。

積載物の積付けが船舶の安定性をそこなう状況にないこと。

喫水の状況から判断して船舶の安全性が保たれていること。

燃料、食料、清水、医薬品、船用品その他の航海に必要な物品が積み込まれていること。

水路図誌その他の航海に必要な図誌が整備されていること。

気象通報、水路通報その他の航海に必要な情報が収集されており、それらの情報から判断して航海に支障がないこと。

航海に必要な員数の乗組員が乗り組んでおり、かつ、それらの乗組員の健康状態が良好であること。

前各号に掲げるもののほか、航海を支障なく成就するため必要な準備が整っていること。


航海の成就


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