船舶模型
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船舶模型

船舶模型(せんぱくもけい)とは船舶の形状を模した模型である。
概要

鑑賞用の物やRC装置で運転を楽しむ趣味用の他、造船会社が完成品を見せるプレゼンテーション用、水槽実験用、ミニチュア撮影に使用する物などがある。

帆船を対象とした帆船模型ボトルシップは一つのジャンルを形成している。

日本では教育の観点から普及が進められたため、模型航空機模型航空教育)と船舶模型は学習教材とみなされていた[1]
歴史50門艦の内部構造を再現

古代から船の模型は作られており、古代エジプトやメソポタミア、古代ギリシア[2]などの副葬品や奉納、家庭のインテリアや水差しのモデルに用いられた[3]

紀元前4000年ごろのメソポタミアからは粘土の船が見つかっている。また古代ギリシアでは軍船を模した物も発見されており、当時の軍船がどのようなものであったかを示すサンプルとされている。

14世紀になると、貴族の間でテーブルに置く置物として、幸運と順風満帆であることの象徴としてシュリュッセルフェルト・シッフ(ドイツ語版)がドイツ・フランス・イギリスなどで流行した。シュリュッセルフェルトの名は、神聖ローマ帝国の中心都市ニュルンベルクを拠点とする豪商 Wilhelm Schlusselfeld (1483-1549)から来たもので、製造もニュルンベルクで行われていた[4]

大航海時代が始まる15世紀になると、旅の安全を祈願して教会に奉納船や船の絵が奉納されるようになった。16世紀になると、イギリスやデンマークでは設計を確認するための見本として作られるようになった[5]

古代エジプトの墓の副葬品。紀元前2000年ごろ

古代エジプトの高官メケトラー(英語版)の墓の副葬品の一つ。数種の船の模型が見つかっている。

古代エジプト。ツタンカーメンの墓の副葬品

14世紀から貴族に流行したシュリュッセルフェルト・シッフ(ドイツ語版)

教会に展示される奉納船

RC以前の模型ヨット守護神 (映画)の撮影に使われた船舶の模型。背景にブルーバックを使用している

模型ヨットの起源は、帆船時代に造船所が製作・売却した当該帆船の模型を注文主に贈呈したことに始まると言われるので、数百年前になる。模型ヨットの競技が始まったのも、RCの登場よりも100年以前である。模型ヨットの性能は船型と帆装で決まるが、ともに流体力学の範疇であり、造船工学や空気力学の分野で長年研究されてきた。
船体の工作

抵抗が少なく早く航走できる船型に付いては長年研究され、優秀と言われる設計図が発表されている。その船型を正確に再現するために、以下のような製作法がある。
木製削りだし

伝統的な製作法。よく枯らした節の無いパイン (pine)、ホワイト・パイン (white・pine)、ホワイト・シーダー (white・ceder)、マホガニー (mahogany) を使う。
大きなブロックから一木(いちぼく)つくりで削りだして、中をくりぬく。削る分量が多く、失敗したときに修正が困難。

他の一法は、俗に「ブレッド・アンド・バター」法と呼ばれ、食パンのような薄板を垂直に重ねて接着した粗材から削りだす。船体の水平断面を囲むように糸鋸で切り抜いた形の板を重ねるので、段差を均すように削ればよく、削る分量は少ない。

両方とも、各前後位置の断面ゲージを当てながら削っていき、中をくりぬく。
木製組み立て式

実物と同じようにキール(竜骨)とフレーム(肋骨)骨組みを作り、それに外板を貼り付ける方法で、熟練者向き。
プラスティック製

熱可塑性、あるいはグラスファイバー補強型のプラスティックを使い、粘土または石膏のオス型の外側に貼り付けて作る。また、既製の船体をオス型としてメス型を作り、その内側に貼り付けると、コピーが出来る。

模型船がカッター型で無い場合は、上記の船型下側に実物ヨットと同様に下部に鉛の重錘を入れたフィン・キールを取り付ける。
帆装

任意であるが、スクーナー型とスループ型が多い。競走用の場合は単純なスループが好まれる。
機械的な帆走の操縦

RC以前には、風向きや船体の傾きを感知して操舵する、自動操舵システムが使われていた。模型ヨットは、舵を固定して操舵を行なわないと、風に正対してしまう傾向がある。風上に向かう帆走では、比較的進路を保つが、追い風になると蛇行が止まらないので操舵が不可欠で、以下の方法が使われる。これらはRC以前に100年くらい使われていたが、適当なセットを行なうことはきわめて微妙な技術である。
舵に重錘をつける方法

風圧で船体が傾くのを利用して、舵本体または舵の柄に付いている錘が傾きの下側方向に動き、舵を切る方法。錘の分量や取り付け位置(モーメントアームの大きさ)によって適当な効き方に調整する。イギリス圏に多く、風上方向コースに向く。
メインシート連動法

メインシートとは、主帆の角度を調整するロープで、引くとブームを引き寄せて、主帆の向きを船体の前後方向に近づける。

風圧が強くなると、ブームは外側に押し出され、メインシートは引き出されて、船体は風上に向けられる。このメインシートの引きを使って、舵を風下に切れば、船体の向きを修正できる。このメカニズムは、風の変化に応答しやすいように、リターン・スプリングを備えている。

アメリカ圏で多用され、追い風のときの保針性がよい。
風見(ヴェーン)と舵を連動させる方法

主帆の代わりに、独立した風見(ヴェーン)を取り付け、そのなびき方と舵を連動させると、より正確な操舵が出来る。風見はバルサ材のような軽い木材で作る。この方式は風上に向かうコースの場合と風下に向かうコースの場合と2種類の基本セットがある。

実物ヨットでも長距離直線航走の場合の自動操縦にヴェーン式を利用することがある。

上記の各方法は、併用・補完される。
艦船模型呉市海事歴史科学館大和の模型詳細は「艦船模型」を参照


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