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船体(せんたい、英: hull ハル)とは、船舶の主たる構造体のことで、船底(せんてい。船体底面、下面)、舷、舷側(船体側面。船側=せんそく、船端=ふなばたとも)、甲板(かんぱん。船体や船室上の平らな面)のこと[1]。甲板の上のさまざまな物(たとえば、マスト(帆柱)や さまざまな艤装)、また原動機などは船体に含めない[1]。 船体というのは船の主な構造体のことであり、容器状の構造体のことである。櫓・帆・帆柱・エンジン・蒸気機関などの動力部分や、軍艦での銃砲などの装備は「船体」には含まない。別の角度から言うと「これだけあれば水に浮くことができる、という部分」あるいは「浮力を担っている容器状の構造体」のこと。 船体は水を押しのけることでアルキメデスの原理が働き、浮力を得る。 船が静止している状態では、船体には重力と浮力の二つの力が加わる。船体が静止しているならば(あくまで、静止している場合だけで、実際に航行している時には起きにくい、あくまで理論上の状態だが)重力と浮力が等しい状態である。このとき、重力の中心である重心と浮力の中心は同一鉛直上にあるものの、位置は異なっている。 船体を設計する上では、さまざまな機能や要求が考慮される。船体設計は(他の様々な設計同様に)「ただひとつの究極の設計」というのは無く、ひとつの機能面での性能を高めれば、代わりに他の機能が犠牲になりその性能が低くなる、というトレードオフの関係がしばしば成り立っているので、船舶の用途や将来の使用者の希望に応じて、機能間のバランスが調整されつつ 船体設計が行われる。 船体は復原性や操縦性能も考慮して設計する。舵を切って旋回している最中は、船体は遠心力を受け、外側に傾こうとする力が働くが、同時に船首、船側、船底付近の「斜めの面」に水の抵抗を受け、船の傾きを水平に戻そうとする力も働く[2]。船底や船側の多数の面の設計次第で、各速度での旋回時の船体の傾き具合が変わる。 (直進時)船首は水面を掻き分けて(切り裂いて)おり、波を発生させており、それによって抵抗が生じていると考えられており、それを造波抵抗と言う。造波抵抗が大きいような船体形状では燃費が悪くなる(原動機が同じ場合は最大速度が低くなる)。19世紀までは船首を細長く作る方向で工夫が重ねられたが、20世紀になりバルバス・バウが開発された。 船体の主たる材料は、代表的なものとしては、木材、鋼板、アルミニウム、FRPなどがある。 人類が数万年前に用いたと想定されている 素朴な筏やカヌーでは、たとえば葦(アシ)を大量に束ねて船体としたり、丸太(ログ)を平らに何本も並べて蔓で縛って筏にしたり、あるいはかなり太い丸太の中をノミでくりぬいてカヌー状の船体としたり、あるいは木製や竹製の枠をまず作っておいてそこに大きな動物の皮革を張って船体を作ったと考えられている。(なお、葦や木材は、一般に、水より比重が小さいので、容器状にしなくても一応は水に浮く。) 船体の材料に主に木材を用いた船を木造船(もくぞうせん)と言う。古代から近代まで、船体の材料としては、主に木材が用いられてきた歴史がある。古代エジプトの船の船体も、15?17世紀ころの大航海時代の帆船の船体も木製であった。現代でも、東南アジア、中国、朝鮮半島などで建造される小型?中型船の船体の材料は、材木が主流である。欧米などでも、現在でも、セーリングクルーザー乗りやモーターボート乗りなどの中には、伝統的な木造船の材質感(風合い)を好む人も相当数おり、(趣味人や、富裕層などで)材料に木材をあえて選んで船を建造させる人々もいる。欧米では現在でも材木でセーリングクルーザーや釣り船などを(日曜大工 感覚で)自作することを趣味にしている人々もいる。 木材で船体を作る方法はいくつかあるが、欧州式の木造船の場合は例えば、一例としては以下のような手順で組み立てる方法がある。 上甲板(デッキ)がある船では以下の作業も行う。 近代になり船舶の大型化とともに船体の材料として鋼板も用いられるようになった。なお鋼自体は強度があるが、巨大な船体を建造するためには鋼板を多数つなぎあわさなければならず、20世紀半ばすぎまで、鋼板どうしの接合方法としてリベットが用いられていたので、船体に巨大な力が働くと、リベットだけが ちぎれ飛んで(吹き飛んで)しまい、鋼板どうしの接合が無くなりバラバラになってしまい、船体がポキリと折れてしまったり、一部の鋼板がハガレて大量浸水してしまう、という事故が起きた。例えば巨大波に巻き込まれたり、艦船が魚雷攻撃などを受ける、などという場合に、リベット接合が原因であっけなく鋼板製の船体が破壊されてしまう、ということが起きたのである。リベット接合という弱点が解消されたのは20世紀後半になってのことであり、溶接技術が実用化し造船の現場に普及したことで、ようやく鋼板の本来の強度が十分に活きた船体の建造が可能になった。現代では大型船(「本船(ほんせん)」とも)は ほぼ全て、鋼板製である。 20世紀後半には繊維強化プラスチック(FRP)製の船体も増えた。特に日本では1966年(昭和41年)ころから漁船のFRP化が推進された[3]。プレジャーボートの類も1970年代にFRP化が進んだ。しかし、FRP船の普及に伴い、特有の問題も露見した。ひとつは、使用過程でFRPの樹脂部分に細かな亀裂が生ずることがあり、その亀裂から内部の繊維部分にまで水(海水、河川の水など)が浸入し、繊維部分が水を含んだことで膨張し、樹脂部分の亀裂がさらに増えるという悪循環が起き、(FRP船体であっても、表面塗装をしっかり施し続けないと、細かい亀裂から次々と水が侵入し)繊維が水を含んだせいで船体の重量が増して浮力が減ってしまったり、(重くなって)操船性能や燃費が落ちたり、次々と増え続ける亀裂によって強度が相当に落ち、想定していた耐用年数よりもはるかに短い期間で廃船せざるを得なくなる場合もある。また、建造は容易なのだが、廃船時に、船体の解体や処分が容易では無いことも後になって判明した。 構造上、一つの船体のみをもつ通常の船舶のことを単胴船(たんどうせん)といい、船体を複数個平行に繋いだ船を多胴船(たどうせん)といい、以下のものが挙げられる。 多胴船の長所としては、同じ幅の単胴船に比べて喫水線が浅くても船体間のバランスが取れていれば船体が小型でも安定することが挙げられ、短所としては横幅がありすぎ停泊時に場所(水面)を占有しすぎることや、一般的に、運動性能が劣ることである。 セーリングクルーザーの双胴船の場合、ある程度の風や波までは単胴のものより復元力が大きくマスト(帆柱)が垂直に保たれがちなおかげで、風を推力に変える上でロスが少ないが、ひとたび風や波の力による傾きが復原点を超えてしまって転覆してしまうと、マストとセイルが水中、船体の真下に沈んだままになり、二度と自力では起こすことができなくなる、という難点もある。
概説
設計と機能間のバランス
材料、材質
木材
船首から船尾までの竜骨(キール)(人体に喩えると、背骨に当たる部分)を作る。
「船側フレーム」や「肋骨」と呼ばれる、竜骨に対して垂直方向に伸び曲線を描きつつ上方向に伸びる材木を組む(人体に喩えると、肋骨に当たるような部分の材木を組む)。
「船側フレーム」の表面に、プランク(plank)と呼ばれる、船首-船尾 方向に長い横板を多数貼り付ける(プランキング)。
甲板を支えることになる水平の構造材を組む。(建物の梁や屋根の構造体に当たるような材木を組む。)
甲板のプランキングを行う。
木造船の竜骨(キール)と肋骨(船側フレーム)を組んだところ。
木造船のプランク(横板)を船側から船底にかけて張る工程(プランキング)
鋼板
FRP
単胴と多胴「トリマラン」も参照
双胴船(カタマラン)
三胴船(トリマラン)