航空事故
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山中に墜落したグライダー(2017年)ヘリコプターの事故(2011年、スイス)大型旅客機の事故は、ひとたび起きると死傷者の人数が大きくなりがちである。これはテネリフェ空港ジャンボ機衝突事故の再現画像。濃霧の中、離陸中の航空機が滑走路上で別の機と衝突。乗員乗客583人が死亡し、航空事故史に残る大惨事となった。日本航空123便墜落事故。死亡者数520名、生存者は4名。墜落したトルコ航空1951便の機体エル・アル航空1862便の墜落現場トロントのピアソン空港の滑走路先に横たわる事故機の焼けただれた残骸(「エールフランス358便事故」)

航空事故(こうくうじこ、: aviation accident)は、航空機の運航中に起きる事故である。
概要

航空事故についての定義は様々であるが、日本の航空法では「航空機の墜落、衝突又は火災」、「航空機による人の死傷又は物件の損壊」、「航空機内にある者の死亡(自然死等を除く)又は行方不明」、「他の航空機との接触」「航行中の航空機が損傷(発動機等のみの損傷を除く)を受けた事態」と定義されている[1]。この定義に基づいた場合、単純に不時着をしただけで機体に大きな損傷がないときはいずれの要件にも該当しないため、重大インシデント扱いとなり航空事故扱いにならない[2]場合や、通常の着陸の衝撃で骨折しただけでも「航空機による負傷」の要件を満たすために航空事故となる[3]場合がある。
発生確率

航空事故を引き起こすリスク、事故確率の多寡は、航空会社や、その運航地域によって異なる。また(大雑把な傾向としては)先進国では低く、経済的な余裕のない発展途上国では高い傾向が見られる[4]。だが国によって決まるのではなく、各航空会社、一社一社ごとに大きく異なる。

アメリカ国家運輸安全委員会 (NTSB) の行った調査では、航空機に乗って死亡事故に遭遇する確率は0.0009%である[5]。米国内で自動車に乗って死亡事故に遭遇する確率は0.03%なので、その33分の1以下の確率となる[5]

NTSBによる1983年から2000年にかけての航空事故データ集計によれば、航空事故における死亡率が最も低いのは1998年の飛行距離100万マイルあたりの死亡率0.0001%である[6]。下記に見るように、飛行時間、飛行距離、出発回数(departure、便数)ごとに割合は異なる。

NTSBによる航空事故調査(1983?2000年)[6]10万飛行時間あたりの事故発生率0.146%(1992年)?0.315%(1983年)
10万飛行時間あたりの死亡率0.006%(1998年)?0.098%(1989年)
飛行距離100万マイルあたりの事故発生率0.0036%(1992年)?0.0076%(2000年)
飛行距離100万マイルあたりの死亡率0.0001%(1998年)?0.0024%(1989年)
10万出発回あたりの事故発生率0.228%(1992年)?0.475%(1997年)
10万出発回あたりの死亡率0.009%(1998年)?0.144%(1989年)

日本の文部科学省による1983年~2002年の国内事故統計に基づく推計では、今後30年以内に航空機事故で死亡する確率は0.002%で、交通事故で死亡する確率(0.2%)の100分の1以下となった[5]

航空事故における輸送実績1億人キロあたりの死亡乗客数は0.04人である[7]。これは東京─ニューヨーク間約1万キロを12万5,000回往復して死亡事故に遭う確率となり、週に1度往復したとすると2,404年に1度という計算になる[7]。また、10万飛行時間あたりの死亡事故件数は0.07件であり、これは飛行時間10時間のホノルル─福岡間を14万3,000回往復して事故に遭う確率となり、週に1度往復したとすると2,750年に1度という計算になる[7]

航空事故の死者数と自動車事故による死者数を比較すると、自動車事故が航空事故を遥かに上回る。1998年の全世界での航空事故による死亡者数は909人であった[7]。これに対して米国の自動車事故による死亡者数は41,967人(1997年)、日本の自動車事故死は10,805人(1998年)、ドイツの自動車事故死は8,547人(1997年)、フランスの自動車事故死は7,989人(1997年)であり、国際航空運送協会広報部長I・グラードは「米国1国の車による1年間だけの死者の数でも、ライト兄弟が初飛行に成功して以来の航空機事故の死者よりも多い」と述べている[7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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