自転周期(じてんしゅうき、Rotation period)とは、自転する天体(主として惑星)が自転軸の周りを一周するのに要する時間である。背景の恒星に対して一周する時間は恒星時と呼ばれ、太陽に対して一周する時間は太陽時と呼ばれる。 岩石惑星や小惑星のような固体でできた天体は、自転周期として定まった値を持つ。一方、恒星やガス惑星のような気体、液体でできた天体は、差動回転という現象によって、緯度によって異なった自転周期を持つが、一般的には磁場の自転周期で定義される。球面対称でない天体の場合は、重力や潮汐力の影響を考えなくても一般に定まらない。自転軸の回りの慣性モーメントが変化するため、自転周期が変動する。土星の衛星のヒペリオンはこのような現象を示し、その自転周期はカオス理論を使って表される。 太陽に対する地球の自転周期、すなわちLOD(Length of Day:一日の長さ)は、約86 400秒である。LODは、潮汐力による減速によって、19世紀と比べて顕著に長く(10-8程度であるが)なっており、2012年近辺では、86 400秒よりも1?2ミリ秒程度長くなっている。これが閏秒を挿入している理由である。詳細は閏秒、地球の自転を参照のこと。 1750年から1892年の平均太陽秒(ほぼ1820年時点での秒の長さ)が1895年にサイモン・ニューカムによってTables of the Sunとしてまとめられた。この表は1900年から1983年まで天体暦を計算するのに用いられ、暦表時として知られた。国際単位系の秒はこの暦表時を基にしている[1] ため、SI秒が定義された1967年の時点で既に86 400秒とLODとの顕著な差が発生することとなった。 国際地球回転・基準系事業(IERS)によって定められている、恒星に対する地球の自転周期は、86164.098 903 691秒(23時間56分4.098 903 691秒)である[2][3]。平均春分点の移動、即ち歳差運動に対する自転周期は恒星時と呼ばれ、86164.090 530 832 88秒(23時間56分4.090 530 832 88秒)である[2]。後者は前者よりも8.4ミリ秒程度短い[4]。 天体自転周期
周期の測定
地球
主な天体の自転周期
太陽25.379995 日 (赤道)[5]
35 日 (極)25日 9時間 7分 11.6秒
35日
水星58.6462 日[6]58日 15時間 30分 30秒
金星?243.0187 日[6][7]?243日 0時間 26分
地球0.99726968 日[6][8]0日 23時間 56分 4.100秒
月27.321661 日[9]27日 7時間 43分 11.5秒
火星1.02595675 日[6]1日 0時間 37分 22.663秒
ケレス0.37809 日[10]0日 9時間 4分 27.0秒
木星0.4135344 日 (内部)[11]
0.41007 日 (赤道)
0.41369942 日 (極)0日 9時間 55分 29.37秒[6]
0日 9時間 50分 30秒[6]
0日 9時間 55分 43.63秒[6]
土星0.44403 日 (内部)[11]
0.426 日 (赤道)
0.443 日 (極)0日 10時間 39分 24秒[6]
0日 10時間 14分[6]
0日 10時間 38分[6]
天王星?0.71833 日[6][7][11]?0日 17時間 14分 24秒
海王星0.67125 日[6][11]0日 16時間 6分 36秒
冥王星?6.38718 日[6][7]?6日 9時間 17分 32秒
ハウメア0.163145 日[12]0日 3時間 54分 56秒
関連項目
順行・逆行
脚注^ ⇒Leap seconds by USNO
^ a b ⇒IERS EOP Useful constants
^ Aoki, the ultimate source of these figures, uses the term "seconds of UT1" instead of "seconds of mean solar time". Aoki, et al., "The new definition of Universal Time
^ Explanatory Supplement to the Astronomical Almanac, ed. P. Kenneth Seidelmann, Mill Valley, Cal., University Science Books, 1992, p.48, ISBN 0-935702-68-7.
^ Rotation and pole position for the Sun and planets
^ a b c d e f g h i j k l m Clabon Walter Allen and Arthur N. Cox (2000).