自衛隊イラク派遣
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自衛隊イラク派遣(じえいたいイラクはけん)は、イラク戦争初期の2003年(平成15年)12月から2009年(平成21年)2月まで行なわれていた、日本自衛隊イラクへの派遣行為の総称である。その目的は、イラクの国家再建を支援するためである[1]イラク派遣時の様子 中東では髭のない男性は未成年または同性愛者なので全員が口髭を生やした

イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」(イラク特措法)に基づくもので、活動の柱は人道復興支援活動と安全確保支援活動である。活動は「非戦闘地域」に限定されていたが、自衛隊創設以来初めて、戦闘地域ではないかとの論議のある地区に陸上部隊を派遣した。

陸上自衛隊は「人道復興支援」のため、比較的治安が安定しているとされたイラク南部の都市サマーワの宿営地を中心に活動し、2006年(平成18年)7月に撤収した。航空自衛隊は陸自の撤収後も輸送活動を継続していたが、2008年(平成20年)12月に輸送活動を終了した。
派遣内容
規模
派遣期間


2003年(平成15年)12月15日?2004年(平成16年)12月14日まで(基本計画上)

2004年(平成16年)12月9日に基本計画の1年延長を決定。

2005年(平成17年)12月8日に基本計画の1年延長を決定。

2006年(平成18年)6月20日陸上自衛隊の撤収を命令。

2007年(平成19年)6月20日イラク特措法を改正。法の派遣期限を2年延長。

2008年(平成20年)
11月28日:安全保障会議において航空自衛隊の活動終結を決定。派遣輸送航空隊に対し撤収命令を発出。12月23日:空自派遣輸送航空隊の全隊員が帰国。

2009年(平成21年)
2月:空自イラク復興支援派遣撤収業務隊の任務が終了。7月:イラク特措法、2年の延長期限が切れ失効。
人数


陸上自衛隊:約550人(基本計画で600人以下と制約)

海上自衛隊:約330人

航空自衛隊:約200人

派遣機材


航空機 - C-130H(輸送機)
イラク派遣仕様のC-130Hイラク派遣仕様と同じ日の丸と国名の表記が施された96式装輪装甲車陸上自衛隊広報センター

艦艇 - 輸送艦おおすみ」、護衛艦むらさめ」 : (基本計画上艦艇2隻以内および護衛艦2隻以内)

車両 - 浄水セット野外手術システムドーザ掩体掘削機グレーダ、グレードローラ、トラッククレーン、各種施設機材、軽装甲機動車96式装輪装甲車高機動車など200両以内

携行火器 - 9mm自動拳銃9mm機関けん銃89式5.56mm小銃64式7.62mm小銃5.56mm機関銃MINIMI84mm無反動砲、M2ブローニング重機関銃(96式装輪装甲車に防弾プレートつきのM2を搭載))、110mm個人携帯対戦車弾

個人装備 - 防弾チョッキ2型88式鉄帽個人用暗視装置 JGVS-V8、防暑服4型、防暑靴4型など

宿営地


ムサンナー県サマーワ郊外(北緯31度16分・東経45度13分)、広さ約350ha

活動内容迷彩服2型戦闘服左腕に貼りつけられた日章旗ワッペン 井上3等陸佐
陸上自衛隊

陸自によるサマーワでの活動の3本柱は「給水」「医療支援」「学校・道路の補修」の人道復興支援活動であった。

給水
約5万3500トン(1日平均200トン、多い日で250トン以上を給水。延べ約1189万人分)自衛隊が供給していた浄水装置の10倍強の浄水装置6基の寄贈、設置。

医療支援
医官らがサマーワ総合病院を筆頭に医療機材の使用法などの医療技術の指導。(277回)

学校等の公共施設の復旧・整備
学校(36校)道路(31ヵ所、延べ約80km)診療所(66ヵ所)

現地住民の雇用
公共施設の復旧などで1日平均700人の現地住民を雇用。

復興関連物資の輸送

海上自衛隊

陸上自衛隊の派遣時に、車両約70両などの部隊輸送を艦艇で行った。(平成16年2月20日?4月8日)
航空自衛隊

空自は主にC-130輸送機による輸送活動が任務。拠点はクウェートのアリ・アルサレム空軍基地に置かれ、イラク南部ナシリヤ近郊のタリル飛行場との間を往復していたが、陸上自衛隊のイラク撤収に伴い多国籍軍・国連のための輸送活動が強化され、危険性が高く避けられてきたバグダッド国際空港やイラク北部のアルビルへも活動を広げている。国連の人員・物資輸送は平成18年(2006年6月20日の計画変更により任務となった。

人道復興支援活動
日本の人道復興支援関連物資や陸上自衛隊が使用する物資・隊員などを輸送。

安全確保支援活動
イラクの治安回復活動に関連した多国籍軍の物資・兵員などを輸送。

兵員輸送と武器・弾薬の取り扱い武器・弾薬の輸送は行わないとしており( ⇒平成15年12月9日小泉首相記者会見)、実施要項 の中でも同様に定められているが、兵員輸送などの際に兵士らが通常携行する小銃などの武器・弾薬は人員輸送の一環として輸送している(平成16年8月2日小泉首相答弁)。

輸送活動の実績(平成16年3月3日?平成20年12月12日)

輸送回数:821回(ここでいう回数とは輸送を行った日数)

輸送物資量:673トン

派遣部隊の交代
陸上自衛隊

イラク復興業務支援隊
派遣期間は各期約6ヶ月。隊長は
1等陸佐をもって充てられていた。

歴代のイラク復興業務支援隊期派遣期間隊長職種派遣主力方面隊
12004年1月9日?2004年8月1日佐藤正久化学科北部方面隊・約100名
22004年8月2日?2005年1月23日田浦正人機甲科東北方面隊・約90名
32005年1月24日?2005年7月18日岩村公史普通科中部方面隊・約110名
42005年7月19日?2006年1月22日斎藤剛航空科西部方面隊・約100名
52006年1月23日?2006年7月29日小瀬幹雄施設科東部方面隊・約100名


イラク復興業務支援群
実活動期間は各期約3ヶ月(表中の期間は編成命令受領から隊旗返還まで)。1等陸佐の群長以下各期500名前後が任務に従事した。

歴代のイラク復興業務支援群期派遣期間群長前職派遣主力部隊
12004年1月26日?2004年6月10日番匠幸一郎第3普通科連隊長北部方面隊第2師団
22004年4月27日?2004年9月15日今浦勇紀第11後方支援連隊長北部方面隊第11師団
32004年7月28日?2004年12月18日松村五郎第21普通科連隊長東北方面隊第9師団
42004年11月5日?2005年3月11日福田築第20普通科連隊長東北方面隊第6師団
52005年1月28日?2005年6月10日太田清彦第35普通科連隊長中部方面隊第10師団


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