自衛官
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1986年、迎賓館赤坂離宮にて中曽根康弘首相と訪日中のロナルド・レーガン米国大統領に対して儀仗する陸上自衛隊保安中隊

自衛官(じえいかん、: Self-Defense Official[注 1])は、日本防衛省特別の機関である自衛隊の任務を行う自衛隊員かつ防衛省職員であり、常勤特別職国家公務員および非常勤特別職国家公務員である。

諸外国の軍隊における軍人下士官士官)に相当する。自衛隊は志願制であるため全員が武官である。自衛隊法により「命を受けて、自衛隊の任務を行う」と規定されており、個別の機関である陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊のいずれかに所属する。階級制服が指定され、武装して戦闘に従事する要員となる。

最高指揮官内閣総理大臣である。
概要戦闘訓練を行う陸上自衛官整列する海上自衛官F-15Jの整備を行う航空自衛官
着用しているのはサングラスではなく作業用の保護眼鏡

陸上自衛隊の自衛官を「陸上自衛官」(りくじょうじえいかん)と、海上自衛隊の自衛官を「海上自衛官」(かいじょうじえいかん)と、航空自衛隊の自衛官を「航空自衛官」(こうくうじえいかん)と表記され、防衛省や各自衛隊内部でもそのように呼称されている。

陸海空の自衛官は個別の教育隊幹部候補生学校などに入隊し、各自衛隊に任用された自衛官は任用期間や技術教育の違いなどもあり、通常入隊した各自衛隊の中で任期を終了するか定年(階級により異なる)まで、その自衛隊で過ごすことになる[注 2]

「自衛官」という言葉は、狭義には常勤の自衛官のみ指すが、広義では非常勤の自衛官(予備自衛官即応予備自衛官予備自衛官補)を含める場合がある。総計は約20万人超えで推移しており(内女性は概ね約1万人超え)、国家公務員の四割以上を占めている。

自衛官は、自衛官を官名とし、階級の呼称の別に従い、陸海空又は統合幕僚監部等に「定員上所属」するものとされている(事務次官通達[1]

政府は、1990年(平成2年)10月18日衆議院本会議における外務大臣答弁において、「自衛隊は、憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の厳しい制約を課せられております。通常の観念で考えられます軍隊ではありませんが、国際法上は軍隊として取り扱われておりまして、自衛官は軍隊の構成員に該当いたします。」としている(時の内閣は第2次海部内閣、大臣は中山太郎)。このため通常の政府見解によると、現に自衛官たる者は文民ではなく武官とされ、日本国憲法第66条第2項の文民統制の規定に従って、内閣総理大臣及び防衛大臣を含む国務大臣となる資格がない。

元自衛官の永野茂門法務大臣に就任したり、元自衛官の中谷元森本敏が防衛閣僚(防衛庁長官・防衛大臣)に在任した例があるが、自衛官の地位を失った後で閣僚に就任したため、問題ないとされた。また、公職選挙法第89条により常勤の自衛官の身分のまま選挙に立候補することはできず、公職選挙法第90条により立候補した場合は自動失職となる。例として佐藤正久は退官後に参議院議員選挙に出馬し当選した。

なお、公職選挙法第89条と公職選挙法施行令第90条により、予備自衛官、即応予備自衛官、予備自衛官補は在職したまま選挙に立候補することは可能である。国会法等の法規定では国会議員は原則として公務員との兼任を禁止しており、同時に特別職以外の全ての公務員も職務専念義務が課されているため、予備自衛官等が国政選挙(衆議院議員総選挙参議院議員通常選挙)に立候補をして当選したとしても、国会議員と予備自衛官等を兼任し続けると憲法第55条の資格訴訟の対象となり国会議員失職となる可能性もある。地方自治法等の規定には予備自衛官等が地方公職(地方首長や地方議会議員)と兼任を禁止する規定がないため[注 3]、予備自衛官等が地方選挙に当選して予備自衛官等と地方公職(地方首長や地方議会議員)と兼任することは法律上は問題ない。ただし、予備自衛官、即応予備自衛官、予備自衛官補は自衛隊法第75条・第75条の8・第75条の13で訓練招集命令により招集されている期間は政治的活動をしてはならないと規定されており、訓練招集命令により招集されている期間は政治活動は制限される。

旧軍大日本帝国陸軍大日本帝国海軍)の現役軍人は選挙権被選挙権を共に持たなかった[注 4]が、自衛官は選挙権に関しては民間人等と同様で、住所(駐屯地の隊舎(寮)を含む)の属する一般の選挙区で投票することが可能である。

勤務中は規定された制服(≒軍服)を着用していることから、区別して俗に『制服組』(せいふくぐみ)と呼ばれる。対して文官である事務官は基本的に背広服スーツネクタイ姿で勤務するため、特にキャリア組(キャリアぐみ)が『背広組』(せびろぐみ)と呼ばれる。この用語は自衛隊関係者の間でも使われている[2]他、海外の武官に対しても使われている[3]
自衛官の採用

人事院が試験機関となる一般職国家公務員の採用試験とは別に防衛省が試験を実施し採用を行う。
自衛官採用試験

「自衛官」の採用試験には以下の種類がある。

自衛隊
幹部候補生採用試験

医科・歯科幹部自衛官採用試験

キャリア採用幹部(旧・公募幹部)採用試験

技術海曹技術空曹採用試験

航空学生採用試験

一般曹候補生採用試験

自衛官候補生採用試験

学生採用試験

「自衛官」の前の「学生(生徒)」の採用試験には以下の種類がある。

防衛大学校学生[4]

防衛医科大学校医学科学生[5]

防衛医科大学校看護学科学生(自衛官候補看護学生)[6]

陸上自衛隊高等工科学校生徒[7]

その他採用試験

その他の試験には以下の種類がある。

貸費学生応募試験

予備自衛官補採用試験

採用区分に応じた能力をみるために、作文、選択式一般教養や記述式の筆記試験面接試験身体検査[注 5][9]があり、採用試験前後[注 6]に本人の希望の職種選択の能力をみるために適性検査『身体検査及び経歴評定「既往歴」「手術歴」等』[10]がある。


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