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無誘導爆弾(むゆうどうばくだん、Gravity bomb)または自由落下爆弾(じゆうらっかばくだん)は、航空機搭載爆弾の一種。単に航空機から投下する爆弾を示す。最も古くからあるタイプの航空機搭載爆弾。 無誘導爆弾は、航空機から無線などによる操縦・誘導をともなわず、自由落下によって目標物へと投下される兵器である。爆弾本体の構造は、弾殻・信管・炸薬と安定翼で構成される。各国が用いた初期の航空爆弾や大戦中の爆弾には、衝撃による弾体の変形や破壊による不発を少なくするため、信管が複数取り付けられることが多かった[1]。 無誘導爆弾は、航空機の爆弾倉または機体下面や主翼下面に設けられた懸架装置に取り付けられる。航空機は無誘導爆弾を懸架して飛行し、目標の上空へ達すると照準器によって目標を確認し、投弾(切り離し)する。第二次世界大戦の中盤に無線、赤外線で誘導される誘導爆弾が開発されるまでは、航空機搭載爆弾には無誘導爆弾しかなかった。
概要
誘導装置を用いない爆弾は単価が安く、大量生産に適する。無誘導方式の爆弾は、誘導爆弾やミサイルが開発された後も、航空機における主力地上攻撃武装として使用されている。また、初期の核爆弾は、航空機から投下するのみの無誘導爆弾であった。湾岸戦争においても、投下量自体は誘導兵器よりも無誘導爆弾の方が多い。1990年代のユーゴ紛争より、急激に誘導爆弾使用割合が増加し、無誘導爆弾の使用が減少した。 最も原始的な投下方法である水平爆撃では、目標へ向かって水平飛行しながら爆弾を投下する。投下の際は、目標と運搬する航空機の位置関係、投下時の航空機の速度、目標の速度、投下後の爆弾に働く重力や空気抵抗、風向きなどから適切な投下位置を計算せねばならないが、第二次世界大戦までは目算がほとんどで命中精度は低かった。そこで降下爆撃といったより精度の高い投下方法が使用された他ノルデン爆撃照準器に代表される機械式の自動照準器が開発され、現代においては機上コンピュータにより投下タイミングが自動計算される。 精密爆撃の手法である急降下爆撃は第一次世界大戦末期に開発されたもので、目標に向かって(正確には目標より少し先に向かって)急降下しながら爆弾を投下する。手法上投下誤差が小さくなり、一般に水平爆撃よりも投下高度が低いため命中精度は高くなるが、防空システムの発達で危険度が増したことや誘導弾の出現により優位が小さくなったことで現代までにほぼ廃れた。 主に対艦攻撃に用いられた手法として反跳爆撃がある。これは海上を超低空で目標に向かって直進しながら大遅延信管(アメリカ陸軍の場合5秒)を装着した爆弾を投下するもので、爆弾は海面を飛び跳ねながら目標の側面に激突、起爆する。特別な機材がなくとも敵艦船に対して効果的な打撃を加えることができるが、反撃を受けやすい上に難易度は高かった。 トス爆撃は自機の速度を利用して爆弾を投げ上げる(トス)投下方法で、最も一般的な手順では投下機が目標に接近せずに爆撃を行える利点があるが爆弾を投げ上げる都合命中精度は低い。爆弾の滞空時間が長い、低空飛行で投下目標に接近できるなど核爆弾の使用とも相性がいい。 一般的な無誘導爆弾は大きく弾体、信管、安定翼からなる。弾体は主に鉄で作られ、内部には炸薬が充填される。信管は炸薬を起爆させ、目的に応じて瞬発、遅発、近接等の機能が使い分けられる。安定翼は投下された爆弾の姿勢を整え、命中精度や起爆率を向上させる。 無誘導爆弾の中には空気抵抗板やパラシュート、バリュートが取り付けられたものが存在する[3]。これは、航空機が低空から爆弾を投下すると、爆弾炸裂の影響(衝撃波や四散する破片)が投下母機におよぶため、空気抵抗により爆弾の落下速度を下げ、母機の退避時間を稼ぐというものである。
投下方法
種類大日本帝国海軍が使用した、九八式25番陸用爆弾の構造図。日本海軍における無誘導爆弾の基本的な構造を示す。弾頭および弾底に信管を装着し、弾体は鋲接で接合された。炸薬量96.6kg。400mmのコンクリートを貫通した