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自由反動またはフリーリコイルとは、後ろから支えられていない状態の小火器に生じる反動エネルギーのことで、小火器の発射時に射手に伝わる並進運動エネルギー (Et)をジュール (J)、国際単位系以外ではフィート重量ポンド力 (ft・lbf)で表される。一般的に、頑丈に固定されたり、壁などに取り付けられた小火器とは対照的に、固定されていない小火器の反動(=リコイル)を指す言葉。
自由反動と反動は別物で、自由反動は小火器から射手に伝わる並進運動エネルギーのことを、反動は日常的なあらゆる場面で生じる運動量保存の法則の物理現象を表している。この物理現象は、小火器内で発射薬が燃焼し、発射薬が持つ化学エネルギーが熱力学エネルギーに変換される際に生じる。その後このエネルギーは弾丸の基部と、薬莢の後部またはライフルの後端に伝わり、弾丸がバレルを通って加速しながら銃口に向かって推進すると同時に、小火器を射手側に推進する。この時小火器の後方への推進に加担したエネルギーが自由反動で、前方への推進に加担したものがマズルエネルギーである。
自由反動の概念は反動エネルギーの総量に対する耐性から生まれた。マズルブレーキ、ショートリコイル方式、ガス圧作動方式、水銀式駐退機、反動抑制パッド、グリップなどで減少した反動エネルギーを計算できたとしても人的要因は計算できないため、実質的な反動(体感反動)を把握することは不可能である。
そのため自由反動は、部屋の気温と外の気温を測定するのと同様、科学的な測定値として存在する。自由反動にどれほど耐えられるかというのは射手によって異なるもので、室温、外気温を快適と思うかどうかは人によって異なるの同じこと。
小火器から受ける自由反動を射手がどのように知覚するかを決定する要素は、体重、体格、経験、射撃姿勢、反動抑制装置、小火器との相性、環境要因など様々である。
なお、ライフリングのある火器の場合、弾の推進運動とは別に回転運動の反作用(カウンタートルク)も生じる。通常は銃砲身側の質量(慣性)で抑え込まれて有意な影響として表れないが、砲身が軽量な無反動砲では表出する。 自由反動を算出する方法は複数存在するが、運動量を算出する2つの式が最も一般的。 どちらの公式も同じ値を得られるが、短式は1つ、長式は2つの方程式を必要とする。長式ではまず小火器の速度が必要となる。小火器のvelocityが判明していれば、その自由反動は並進運動エネルギーの方程式で計算できる。 値には: Etgu ジュール(j)で表す、小火器の並進運動エネルギー。 mgu キログラム(kg)で表す小火器の質量。 mp グラム(g)で表す弾丸の質量。 mc グラムで表す発射薬の質量。 vgu メートル毎秒(m/s)で表す小火器の速度。
自由反動の算出
運動量の短式: E t g u = 0.5 ⋅ [ ( m p ⋅ v p ) + ( m c ⋅ v c ) 1000 ] 2 / m g u {\displaystyle E_{tgu}=0.5\cdot [{\tfrac {(m_{p}\cdot v_{p})+(m_{c}\cdot v_{c})}{1000}}]^{2}/m_{gu}}
運動量の長式: v g u = ( m p ⋅ v p ) + ( m c ⋅ v c ) 1000 ⋅ m g u {\displaystyle v_{gu}={\tfrac {(m_{p}\cdot v_{p})+(m_{c}\cdot v_{c})}{1000\cdot m_{gu}}}} → E t g u = 0.5 ⋅ m g u ⋅ v g u 2 {\displaystyle E_{tgu}=0.5\cdot m_{gu}\cdot v_{gu}^{2}\,}