自殺念慮
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希死念慮
別称自殺念慮

Sappho(Ernst Stuckelberg、1897年)
概要
分類および外部参照情報
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希死念慮(きしねんりょ、英語: Suicidal ideation)または自殺念慮(じさつねんりょ)は、自らの命を絶つことについての考えや反芻のこと[1]。これは診断名ではないが、一部の精神障害の症状であり、精神障害がなくとも辛い出来事や有害事象に反応して発生することがある[2]
概要[ソースを編集]

希死念慮は、生きたくないと考えたり、死ぬことを想像したりすることである[3][4]。自殺念慮はより積極的なものを指し、自殺の準備や計画の策定が含まれる[3][4]。本項では便宜上、希死念慮を自殺念慮も含む語とする。

希死念慮を持っているほとんどの人は自殺企図に至らないが、希死念慮は自殺のリスクファクターと考えられている[5]。2008年から2009年にかけて、アメリカでは18歳以上の成人のうち推定830万人が前年に自殺を考え、推定220万人が前年に自殺計画を立てたと報告されている[6]。2019年には、アメリカの成人1,200万人が真剣に自殺を考え、350万人が自殺を計画し、140万人が自殺を試み、47,500人以上が自殺で死亡した[7][8]。希死念慮は、10代の若者でよく見られる[9]

希死念慮は、うつ病やその他の気分障害とも関連している。ただし、他の多くの精神障害、ライフイベント、家族の出来事が希死念慮のリスクを高める可能性がある。メンタルヘルスの研究者は、自殺行為や希死念慮に関連する問題を繰り返すリスクがあるため、医療制度は診断に関係なく希死念慮のある個人に治療を提供する必要があると指摘している[10][11]。希死念慮には、さまざまな治療の選択肢がある。
定義[ソースを編集]

ICD-11では、希死念慮を「自身の人生を終わらせる可能性についての考え、アイデア、反芻。死んだほうがましだという考えから綿密な計画の策定まで及ぶ[12]」と説明している[1]

DSM-5では、「自傷行為について考え、自身を死に至らしめる可能性のある手法を意図的に検討または計画すること[13]」と定義している[14]

アメリカ疾病予防管理センターは、希死念慮を「自殺について考え、検討、または計画すること[15]」と定義している[16]
用語[ソースを編集]

希死念慮の既往がない人が必然的に自身の死につながる行為を行おうとする考えが突然明白に現れるようなことを、侵入思考と呼ぶ。一般的に経験される例としては、ボイドの呼び声[17]とも呼ばれる高所などで発生する現象がある[18]
リスクファクター[ソースを編集]「自殺#リスクファクター」も参照

希死念慮のリスクファクターは、大きく分けて精神障害、ライフイベント、家族の3つがある。
精神障害[ソースを編集]

希死念慮は、多くの精神障害の症状であり、精神障害がなくとも、辛い出来事に反応して起こることがある[2]

希死念慮を併発するように見える、あるいは希死念慮のリスクを大幅に増加させると思われる精神障害がいくつかある[19]。例えば、境界性パーソナリティ障害の患者の多くは自殺関連行動や希死念慮を繰り返す。ある研究によると、境界性パーソナリティ障害の患者の73%が自殺を試みており、患者は平均して3.4回自殺を試みている[20]。以下のリストには、希死念慮の強い予測因子であることが示されている障害が含まれている。なお、希死念慮のリスクを高める障害はこれら以外にもある。リスクが高まる障害には、以下のものがある[21]

不安障害

自閉症スペクトラム障害 (ASD)[22]

大うつ病性障害[23]:162

気分変調症

双極性障害

注意欠陥・多動性障害 (ADHD)

月経前不快気分障害 (PMDD)

心的外傷後ストレス障害 (PTSD)と複雑性PTSD (C-PTSD)[23]:278

パーソナリティ障害


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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