自己回帰移動平均モデル
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自己回帰移動平均モデル(じこかいきいどうへいきんモデル、: autoregressive moving average model、ARMAモデル)は自己回帰モデルによる線形フィードバックと移動平均モデルによる線形フィードフォワードによりシステムを表現するモデルである[1]。George Box と G. M. Jenkins の名をとって "ボックス・ジェンキンスモデル" とも呼ばれる。

ARMAモデルは時系列データの将来値を予測するツールとして機能する。
定義

p {\displaystyle p} 次の自己回帰 (AR) および q {\displaystyle q} 次の移動平均 (MA) からなる自己回帰移動平均モデル ARMA(p, q) {\displaystyle {\text{ARMA(p, q)}}} は以下のように定義される[2]。 X t = c + ∑ i = 1 p φ i X t − i + ∑ i = 0 q θ i ε t − i {\displaystyle X_{t}=c+\sum _{i=1}^{p}\varphi _{i}X_{t-i}+\sum _{i=0}^{q}\theta _{i}\varepsilon _{t-i}}

ここで c {\displaystyle c} は定数、 φ k {\displaystyle \varphi _{k}} は自己回帰パラメータ、 θ k {\displaystyle \theta _{k}} は移動平均パラメータ ( θ 0 = 1 {\displaystyle \theta _{0}=1} )、 ε t {\displaystyle \varepsilon _{t}} は時刻 t {\displaystyle t} におけるホワイトノイズである。

すなわちARMAモデルでは、各時刻でサンプリングされたホワイトノイズが過去時刻 q {\displaystyle q} まで重み付け和でフィードフォワードされ、また過去時刻 p {\displaystyle p} まで出力が線形フィードバックされ、定数に足しこまれることで現在値が得られる。
自己回帰モデル詳細は「自己回帰モデル」を参照

AR(p) という表記は次数 p の自己回帰モデルを表す。AR(p)モデルは次の式で表される。

X t = c + ∑ i = 1 p φ i X t − i + ε t . {\displaystyle X_{t}=c+\sum _{i=1}^{p}\varphi _{i}X_{t-i}+\varepsilon _{t}.\,}

ここで φ 1 , … , φ p {\displaystyle \varphi _{1},\ldots ,\varphi _{p}} はモデルのパラメータ、 c {\displaystyle c} は定数項、 ε t {\displaystyle \varepsilon _{t}} は誤差項(後述)である。定数項は単純化するために省かれることが多い。

自己回帰モデルは基本的に無限インパルス応答フィルタに一種の変形を加えたものである。

モデルとして定常的であるために、パラメータの値には何らかの制約が必要である。例えば、|φ1。> 1 となる AR(1)モデルは定常的ではない。
例: AR(1)過程

AR(1)過程は次の式で表される。

X t = c + φ X t − 1 + ε t , {\displaystyle X_{t}=c+\varphi X_{t-1}+\varepsilon _{t},\,}

ここで、 ε t {\displaystyle \varepsilon _{t}} は、 σ 2 {\displaystyle \sigma ^{2}} の分散に従うホワイトノイズである( φ 1 {\displaystyle \varphi _{1}} のような添え字は省いてある)。この過程は 。 φ 。 < 1 {\displaystyle |\varphi |<1} であれば、共分散定常性を有する。 φ = 1 {\displaystyle \varphi =1} であれば、 X t {\displaystyle X_{t}} は単位根を表し、ランダムウォークと見なされ、共分散定常性を有しない。そうでない場合、 X t {\displaystyle X_{t}} の期待値の計算は単純である。ここで共分散定常性を以下のように定式化する。

E ( X t ) = E ( c ) + φ E ( X t − 1 ) + E ( ε t ) ⇒ μ = c + φ μ + 0. {\displaystyle {\mbox{E}}(X_{t})={\mbox{E}}(c)+\varphi {\mbox{E}}(X_{t-1})+{\mbox{E}}(\varepsilon _{t})\Rightarrow \mu =c+\varphi \mu +0.}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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