自己免疫性溶血性貧血
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自己免疫性溶血性貧血
概要
診療科血液学
分類および外部参照情報
ICD-10D59.0-D59.1
ICD-9-CM283.0
MeSHD000744
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免疫介在性溶血性貧血 > 自己免疫性溶血性貧血

狭義の自己免疫性溶血性貧血(じこめんえきせいひんけつ、autoimmune hemolytic anemia; AIHA)とは、温式抗体に属する自己抗体により赤血球感作され、溶血をきたす疾患である[1][2]。広義には寒冷凝集素が関与する寒冷凝集素症やドナース・ランドスタイナー抗体(Donath-Landsteiner antibody)に伴う発作性寒冷ヘモグロビン尿症などの比較的稀な病態も含めることもある[2]。さらに各種薬剤に起因する薬剤起因性免疫性溶血性貧血を合わせて免疫介在性溶血性貧血と称することもある。

本項では特にことわりのない限り、ヒトにおける狭義の自己免疫性溶血性貧血について解説する。
疫学

日本の統計では、溶血性貧血の約3分の1を自己免疫性溶血性貧血が占める[3]。好発年齢は二峰性に分布しており、10?30歳の若年者層と60歳以降の高齢者層にピークがある[3]。若年者層の男女比は1対1.6とやや女性に多いとされる。高齢者層では男女差はみられない[3]

なお自己免疫性溶血性貧血は、2005年1月1日から医療費助成対象疾病(指定難病)となっている[3]
病態

この疾患は、何らかの原因で産生された自己抗体が関与する自己免疫疾患である[2]。この自己抗体は、多くの症例で免疫グロブリンG(IgG)型の不完全抗体を主体とし、摂氏37度付近を至適温度とすることから「温式抗体」と呼ばれる[4]。至適温度が体温に近いため、周囲環境が増悪因子とならず、この点で寒冷刺激で誘発される寒冷凝集素症や発作性寒冷ヘモグロビン尿症と対照的である[2]

自己の赤血球膜上の抗原に対する反応により、赤血球膜が変化を受け、細網内皮系補体貪食細胞等により赤血球融解を来すことから、一般的にII型アレルギーに分類される[2]。この疾患における自己抗体は赤血球膜上に存在する膜輸送蛋白であるバンド3や、Rh因子の実態であるRhポリペプチドなどを標的とする。他の多くの自己免疫疾患と同様、自己抗体が産生される機序は解明されていない[2]

自己抗体により感作された赤血球は、補体結合能が弱いため血管内では溶血せず、細網内皮系を通過する際に貪食細胞(特にマクロファージ)により捕捉される[2]。捕捉された赤血球はマクロファージのFc受容体に認知され貪食されるか、の一部が損傷し球状赤血球となる[5]。球状赤血球は脾臓の髄索を通過できないため、結局マクロファージに貪食され溶血に至る[5]。この細網内皮系での過程を血管外溶血と呼ぶ[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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