自動車電話(じどうしゃでんわ)とは、自動車搭載の電話機による移動体通信である。受話器と機械部が分離された通信機器で、陸上の基地局で公衆交換電話網と相互接続されるシステムとなっている。自動車電話は公衆交換電話網に接続する移動電話サービスの技術であり、のちに普及する携帯電話システムの元となった[1]。 初めての、公衆交換電話網と接続された自動車対象の移動無線電話システムは、1946年にアメリカミズーリ州のセントルイスでの、サウスウエスタン・ベル電話会社による手動交換接続式自動車電話だといわれている[1]。 このサウスウエスタン・ベル社による自動車電話は手動交換接続であったため電話交換手を必要とした[1]。周波数には150MHz帯に60kHz間隔で6chの割り当てしかなかった[1]。そのため同時通話可能数が少なかった。また、トランシーバーと同じく同時通話の出来ない単信式であり、1つの基地局が受け持つ範囲も半径20 - 30km前後の非常に広い範囲でカバーする大ゾーン方式で、移動に応じて通信を途切れさせること無く基地局を変更するハンドオーバー機能が無かった[1]。 1961年に400MHz帯が割り当てられて同時通話可能数が増えた[1]。さらに1967年に自動交換式のサービスが開始された[1]。 なお、カナダでは1947年に手動交換式のサービスが開始された。 スイスでAutophon
欧米の自動車電話
北米
ヨーロッパ
ドイツ(旧西ドイツ)で1950年に手動交換式のサービスが開始された。
スウェーデンで1951年に手動交換式のサービスが開始された。
フランスで1969年に手動交換式のサービスが開始された。
日本の自動車電話業務用に「移動警察電話」「移動消防電話」「防災行政無線電話」のシステムが存在した。多くは本部長・部長など幹部職員が本部や関係機関と連絡を取る為の専用回線として使用されていた。これらは、複信方式の無線機を単に有線網に接続しただけであり、日本において現在の携帯電話に続いていく方式は後述のNTT方式となる。
民生用としてサービスインしてからは、自動車(乗用車)内で連絡を取る必要性が高いビジネスマンや新聞記者、政治家・官僚らが使うハイヤー・社用車、個人タクシーの連絡用途に設置されることが多かった。希にタクシーで乗客が使用できる通話料金度数制の自動車電話が設置されている事もあるが、2000年代前半以降はかなり稀少になった。
1980年代に規制緩和に伴う新規事業者参入により、競争が発生し料金が低下し、土木建築現場やイベント会場などの遠隔地での通信手段確保の用途に広がり、現在の携帯電話の下地を作った。携帯電話の技術進展により、自動車電話と遜色なく通話等利用できるものになったため、規模は10万契約を割っている。
NTTドコモ・au(旧日本移動通信)が展開していたPDC方式(第二世代携帯電話)の自動車電話は「デジタルカーホン」の製品名となっている。移動中でも高品質で安定した通信が可能な第三世代携帯電話の進展に伴い、2002年以降新規展開を大幅に縮小した。
2000年代には携帯電話が大きく成長したことで自動車電話を取り巻く状況は大きく変化し、2000年代後期になると新規顧客や利用者がほぼいない状態となった[3]。 1954年に日本電信電話公社電気通信研究所によってアナログ携帯電話の系譜につながる移動電話システムの研究が開始された[1]。
NTT