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臨床心理士
英名 Clinical Psychologist
Certified Clinical Psychologist
臨床心理士(りんしょうしんりし、英: Clinical Psychologist/Certified Clinical Psychologist)とは、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する公的資格[注 1]、およびその有資格者のことである[1]。活動領域に応じて学校臨床心理士、病院臨床心理士、産業臨床心理士などとも呼ばれる[2]。また、海外の "Clinical Psychologist などの訳語としても臨床心理士の名称が用いられる[3][4]。 臨床心理士は臨床心理学を学問的基盤とし、相談依頼者(クライエント)が抱える種々の精神疾患や心身症、精神心理的問題・不適応行動などの援助・改善・予防・研究、あるいは人々の精神的健康の回復・保持・増進・教育への寄与を職務内容とする心理職専門家である[1]。活動にあたって多くの臨床心理士は、一般社団法人日本臨床心理士会、居住地・勤務地の各都道府県臨床心理士会、および関連学術研究団体などに入会登録し連携を図っている[5]。 日本では、心理士、心理カウンセラー(相談員)、心理セラピスト(療法士)などの心理職には国家資格として公認心理師がある。一方、民間の心理学関連資格は多数存在する。その中で臨床心理士資格は、知名度・取得難易度ともにもっとも高いものとされ[6][7][8]、文部科学省の任用規程により全国のスクールカウンセラー(学校カウンセラー)の資格要件とされているほか[9][10]、国境なき医師団日本支部においてメディカルスタッフの資格要件として掲げられているなど[11]、医師職において医学系学会が認定する臨床専門医資格や看護職において日本看護協会が認定する専門看護師資格などの各業界内民間資格と同様の心理職業界内専門認定資格ながら、公的にも活用されている資格である[12][13]。また、国が高度専門職業人養成のため創設した専門職大学院には、法科大学院(ロースクール)、経営大学院(ビジネススクール・MBA大学院)などとともに、臨床心理分野に特化した臨床心理専門職大学院が開設されている[14]。 このように高度な養成課程に基づいた公的活用が行われる資格であることから、国公私立や小中高大などをすべて含む教育機関、医療機関(総合病院、精神科・心療内科、小児科など)、行政機関(保健関連機関、福祉関連機関など)、司法機関(裁判所、矯正施設、刑事施設、捜査機関など)、民間企業(健康管理部門、メンタルヘルス対策部門、ハラスメント対策部門など)、研究機関(大学院、シンクタンクなど)などさまざまな分野の各心理職においても資格要件とされているところが多く[12][13]、心理判定員などの公務員心理職採用試験においても資格要件もしくは優遇条件・重視条件などとされるほか[15][16][17]、教員採用試験においては、小学校教員・中学校教員・高等学校教員・特別支援学校教員・養護教諭・栄養教諭などの区分にかかわらず、採用試験の合計得点に、あらかじめ規定された加点上限の最大程度までの加点を可能とするなど、評価実績の該当資格として掲げる自治体がある[18][19]。また、臨床心理士は予備自衛官補(衛生職)の任用資格の一つになっている。 日本臨床心理士資格認定協会の設立とともに日本における臨床心理士の資格審査・資格認定が開始され、免許番号第1号が誕生したのは1988年である。以来、3万4,504名が臨床心理士として認定されている[1]。 1995年度からは、旧文部省が開始し現在は制度化されているスクールカウンセラー事業における心理職専門家として規定され、開始年度の全国154校を皮切りに、各都道府県の公立の小学校、中学校、高等学校への配置・派遣が行われてきた。同事業開始後のスクールカウンセラー配置・派遣校は全国で1万校を超え、特に2008年度からは全公立学校への配置・派遣が計画的に進められている[20]。詳細は「#支援活動」のセクションを参照 1996年度には、臨床心理士養成体制の充実のため臨床心理士資格審査規程が改正され、大学院指定審査委員会の設置と臨床心理士養成大学院指定制度の導入が始まり、臨床心理士養成におけるさらなる大学院教育の重点化と、その基盤となる全国の各臨床心理士指定大学院における教育水準の一定化が図られた[21]。
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歴史