腸炎ビブリオ
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2011年8月)

腸炎ビブリオ
走査型電子顕微鏡写真
分類

ドメイン:細菌 Bacteria
:プロテオバクテリア門
Proteobacteria
:ガンマプロテオバクテリア綱
Gammaproteobacteria
:ビブリオ目 Vibrionales
:ビブリオ科 Vibrionaceae
:ビブリオ属 Vibrio
:腸炎ビブリオ
V. parahaemolyticus

学名
Vibrio parahaemolyticus
(Fujino et al. 1951)
Sakazaki et al. 1963

腸炎ビブリオ(ちょうえんビブリオ)とは、ビブリオ属に属する好塩性グラム陰性桿菌の一種。学名はVibrio parahaemolyticus(ビブリオ・パラヘモリティカス)。主に海水中に生息する細菌であり、本菌で汚染された魚介類を生食することで、ヒトに感染して腸炎ビブリオ食中毒を発症させる。
疫学

1950年大阪府で発生し、272名の患者と20名の死者を出した白子干し(シラス干し)を原因とする集団食中毒(シラス食中毒事件)の原因として、同年に大阪大学藤野恒三郎によって発見された。日本において腸炎ビブリオ食中毒は、サルモネラと並んで発生件数の最も多い食中毒のひとつである。日本以外では東南アジアなどでも発生が見られるが、近年まで魚を生食する習慣のないヨーロッパアメリカ合衆国などではあまり見られない疾患であった。ただし寿司刺身の世界的な普及に伴い、地域偏在的な特徴は低下しつつある。
歴史

1950年、泉州地方を中心とした大阪府下で、激しい腹痛を伴う原因不明の下痢の患者が集団発生した。最終的な患者数は272名、死者はうち20名にのぼり、第二次世界大戦後の日本で最大規模の集団食中毒事件となった。発症者がいずれも、大阪府下で行商販売されていた白子干し(シラス干し)を食べていたことから、これが原因食品であることは早期に特定されたものの、当初考えられた既知の食中毒菌は分離されなかったことから毒物混入事件として疑われ、刑事事件として立件された。このような疑いがかけられた背景には、事件発生の前年にあたる1949年下山事件三鷹事件松川事件という怪事件が発生していたことから、これに関連した何者かが社会混乱を目的に毒物をばらまいたのではないかという見方がされたことを指摘する声もある。しかし、ヒ素亜硝酸塩など、さまざまな化学物質についての検査が行われたものの、毒物は検出されず、原因は特定できなかった。

これに対して、藤野恒三郎は未知の細菌による感染症ではないかという観点から分析を行った。そして実験動物血液寒天培地を用いた分離実験によって、新種の病原菌を分離し、本菌が集団食中毒の原因であることを証明した。新しい病原菌が日本人研究者の手によって発見されたことは、日本の医学関係者に大きな驚きをもって受け止められた。当時の日本の多くの医学関係者は、ほとんどの病原細菌はすでに19世紀末のルイ・パスツールロベルト・コッホの時代に発見しつくされたものと考えていたためである。藤野が「ふとっちょで真っ直ぐで、よく動き回る」と形容したこの病原菌は、当時知られていたビブリオ属の代表であるコレラ菌とは大きく異なる形態であったため、藤野はパスツレラ属の一種と考え、1951年にPasteurella parahaemolyticaと命名、発表した。

1955年国立横浜病院の医師であった滝川巌は、自らが発見した漬け物による食中毒の原因菌が、本菌と同じものであることを明らかにし、この結果から本菌が好塩性であることが判明した。これを機に、本菌は「病原性好塩菌」という通称で呼ばれるようになった。

1960年東京都千葉県を中心に頻発したアジによる食中毒の原因として本菌が分離され、その医学的な重要性が注目を集めた。これを受けて厚生省は、1961年に病原性好塩菌を食中毒の主要な病原体と位置づけ、対応を強化した。

1963年国立予防衛生研究所の福見秀雄と坂崎利一が、本菌がビブリオ属であることを証明して、学名をVibrio parahaemolyticusに改めた。また福見は、それまでの病原性好塩菌に代わって、「腸炎ビブリオ」という和名を提唱し、これが受け入れられた。
性状ビブリオの形態比較
左:コレラ菌の模式図。典型的なビブリオの特徴であるコンマ状の桿菌で太い単毛性鞭毛(極鞭毛)を持つ。
右:腸炎ビブリオの模式図。形状は真っ直ぐで極鞭毛の他に細い周毛性鞭毛を持つ。

腸炎ビブリオはコレラ菌と同様、ビブリオ科ビブリオ属に属するが、いくつかの点でコレラ菌に見られるような、いわば古典的なビブリオの細菌学的な特徴とは異なった点を持つ。腸炎ビブリオは0.3×2µm程度の大きさで、菌体はコレラ菌に見られるような湾曲(全体としてコンマ状に見える)を示さず、真っ直ぐな形態の桿菌である。またビブリオ科の細菌は腸内細菌科と同様、通性嫌気性でブドウ糖発酵するグラム陰性菌で、菌体の一端に一本の鞭毛(極鞭毛)を持つ点で腸内細菌科とは区別されるが、腸炎ビブリオにはこの極鞭毛の他に、これよりも細くて菌体の周囲全体に生えている周毛性の鞭毛を持つ点でコレラ菌などと異なる。ただしこの周毛性鞭毛は培養条件などによって失われることがある。この他、ショ糖を分解しない性質などから他のビブリオ属の細菌と鑑別される。ちなみに、ビブリオ(Vibrio)とは、バイブレーション(To vibrate)を意味するラテン語で、鞭毛が激しく振動する性状から名づけられた。

増殖に至適なpHは約7.5-8で、比較的アルカリ性を好む点ではコレラ菌と同様である。ただし、塩化ナトリウムを含まない培地でも増殖可能なコレラ菌とは異なり、増殖には1-8%の塩化ナトリウムを必要とする(ただし血液寒天培地には、塩化ナトリウムがなくても増殖可能)。海水中では、水温が20℃以上のときに活発に増殖するが、15℃以下のときには増殖が抑制される。このことは本菌による食中毒が主に水温の高い夏期に集中することと符合する。低温、高温、真水、酸による処理に弱い。

腸炎ビブリオは大小二つ(3.2×106と1.9×106塩基対)の染色体を持つが、これは細菌が複数の染色体を持っている最初の例として発見された。それまで細菌は一つの染色体のみを持つと考えられていたが、この発見以降、腸炎ビブリオやコレラ菌など、ビブリオ属の細菌は例外的に二つの染色体を持つことが明らかになった。

腸炎ビブリオは増殖の早い細菌の一つとしても知られ、至適な培養条件下ではおよそ10分間に1回の割合で分裂する。これに対して、例えば大腸菌は20-30分間に1回の割合で分裂するが、細菌はn回の分裂で2n個に増殖するため、同じ4時間後には1個の大腸菌が約4000個になるのに対して、1個の腸炎ビブリオは1000万個以上に増殖する計算になる。
病原性

腸炎ビブリオ感染症
概要
診療科感染症消化器科
症状腹痛下痢嘔吐
原因腸炎ビブリオ
合併症敗血症心不全など
治療輸液による全身状態の改善
抗生物質の投与
予後早期に適切な治療を行えば致死率は1%以下
分類および外部参照情報
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