腕時計
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シチズン プロマスター(針式腕時計)デジタル式の腕時計(カシオ 普及品)革製バンドの腕時計(タイメックスジラール・ペルゴがドイツ海軍将校用に製造した史上初の量産型腕時計布製バンドの腕時計(第一次世界大戦期の軍用保護カバー付き)クロノグラフ((もともと機械的に実現した)針表示によるストップウォッチ機能を搭載。シチズン製)NATOベルトに準じたベルトを装着した腕時計を横から見たところ、金具や二重のベルトが特徴分解した腕時計

腕時計(うでどけい)またはウォッチ(: watch)は、ベルトによって手首に巻くことで携帯できる時計である。
概説

ベルト(帯、バンド)に時計本体が結合・固定され、これを手首に巻いた状態で携帯でき、かつ視認できる小型の時計である。

英語では懐中時計 (: pocketwatch) も含んでウォッチ (: watch)、あるいは特に区別する場合はリストウォッチ (: wristwatch) と言う。日本語では「時計」で総称されているが、英語ではこれら以外の置時計や掛時計といった身につけない時計はクロック (: clock) であり、日本でも業界ではもっぱらこの英語における分類に準じて扱われている[1]

19世紀以降、携帯用の時計として一般的であった懐中時計は、時刻を読もうとするたびにわざわざポケットから取り出す(場合によっては風防ガラスを保護する金属製の蓋を開ける)操作が必要だったが、手首に巻いておけば視認の動作は一瞬であり、いつでも両手の手・指が全部使える。ただし、邪魔にならないためには時計を小型化する必要があり、懐中時計に代わって腕時計が普及したのは20世紀に入ってからである。

当初は懐中時計同様の機械式時計であったが、ベルトのために竜頭の操作が困難になるので、竜頭の位置を変更するために機械の配置を90度回転する必要があった。懐中時計では秒針(ダイヤル中央にある時針・分針とは別の位置に、秒針用として小型の針と文字盤が設けられた)は竜頭の反対側に位置するのが必要だったが、初期の腕時計では竜頭をダイヤル3時の位置に変更したために、ダイヤル9時の位置に秒針を持つものが多かった。クロノグラフなどで秒針が9時の位置にあるのは、懐中時計の名残りである。機械式腕時計は、懐中時計の生産で先行したスイスが世界的な市場を占有し、1970年代までの主流であった。

これに対し、1960年代に腕時計として実用化されたクォーツ式は高精度であり、日本のメーカーによって短期間で安価に量産が可能となったことから、圧倒的に普及することになった。現在でも、大衆向けの実用腕時計はクォーツ式が一般的である。ただし、旧来のぜんまい動力で動く機械式時計は、製造コストが高く「希少性」を感じさせるので、現在では主として高級価格帯の製品として用いられている。なお、開発途上国などでは電池入手が容易でないなどの理由からセイコー5などの機械式の腕時計も使われている。

最初は単に時刻を示す機能しかなかったが、さまざまな機能を付加させる試みが行われた。例えば、ストップウォッチ機能の付加(クロノグラフ)、月齢の満ち干を表示するものなどである。防水性を高める努力も行われ、潜水用の腕時計(ダイバーズウォッチ)も登場した。

使う人により、どのような意図で腕時計を用いるかは異なる。時刻や時間を知るために用いるのが基本ではあるが、たとえば登山家・ダイバー・スポーツマンなどのためのモデルは、単なる時刻・時間の表示機能の他に高度な耐候性・耐久性・付加機能の付いた実用品である。他人に見てもらうための高価なファッション服飾)アイテム、一種の装身具として用いる人も多い。

時代が進むにつれ腕時計の大衆化と必需品化が進行し、20世紀末期には誰しも腕時計をつけているような状況であったものの、2000年代以降は時計機能を内蔵した携帯電話スマートフォンが普及したことで、腕時計を着用しない人が増えており、全般としての販売数は減少傾向にある。
歴史
略式年表

1790年 - ジュネーブの時計商ジャケ・ドロー&ルショーのカタログに腕時計が記載される。どのような物かは不明[2]

19世紀初頭 - 小型の時計が取り付けられた装身具などが登場しはじめる。

1806年 - 現存する最古の腕時計(ジョセフィーヌの時計)が製作される。完成年は不明[2]

1810年 - ナポリの王妃がアブラアム=ルイ・ブレゲに腕に装着可能な時計を注文、2年後に完成。

1879年 - ジラール・ペルゴが軍用品として腕時計を製作。

1900年 - オメガが世界初の一般向け腕時計を発表[3]

1902年 - ベルヌーイ法による人造ルビー製造が実用化。それまで天然宝石(でも品位の低い屑石)の加工に頼っていた懐中時計・腕時計の軸受材が品質の安定した人造宝石に移行、コスト低減と品質向上の効果を得る。

1906年 - カルティエの『サントス』1号完成。1911年、男性用に販売され人気となる[4]

1913年 - 服部時計店(現・セイコーホールディングス)が日本初の純国産腕時計『ローレル』を発売[5]

1926年 - フォルティスが世界初の自動巻き腕時計を発表。イギリスのオイスター社の防水式「オイスターケース」がロレックスの時計に搭載され定番となる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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