腎盂腎炎
[Wikipedia|▼Menu]

腎盂腎炎(じんうじんえん、: pyelonephritis)は、細菌感染を原因とする腎盤(腎盂)ならびに腎実質の炎症。臨床症状として血尿、混濁尿、膿尿、細菌尿、発熱を特徴とする。病理学的には腎杯の炎症、壊死、変性が認められる。ウシではCorynebacterium属菌(特にCorynebacterium renale)による感染が重要である。
症状

発熱、腰背部痛、悪心、CVA叩打痛、白血球尿、細菌尿などを特徴とするが、この疾患の非常に恐ろしいところは容易に敗血症播種性血管内凝固症候群 (DIC)、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) を起こすことである。よく知られた経験則に「発熱が認められれば、腎盂腎炎のような上部尿路疾患であり、認められなければ、膀胱炎のような下部尿路疾患である」というものがある。発熱が認められない場合、基本的には下部尿路疾患を疑うが、感染が上行してきて腎盂腎炎になる場合もあるので、注意して経過観察をする必要がある。腎盂腎炎の半数は腰痛、腹痛を伴わない[1]
治療

多くの場合、先天性尿路異常、慢性尿路感染、結石・腫瘍等による尿路狭窄・閉塞など、基礎となる尿路系疾患を有しているため、原疾患の検索・治療がまず必要である。

悪寒・戦慄を伴う場合は敗血症に陥っている可能性が高く、緊急で血液培養、尿培養を採取し、経験に基づいた抗生剤投与を行う。一般に起炎菌として大腸菌が多いとされるが、近年耐性菌が増加していることから、確実性を求めて広域抗生剤(カルバペネム系ニューキノロン系)の投与を行う傾向にある。また、既に抗生剤治療を受けていた人が発症した場合にはバンコマイシンの投与も考慮される。腎臓は血液が豊富であるため菌血症、敗血症をきたしやすい。敗血症のマーカーとしてプロカルシトニンを測定する場合がある。

CTなどの画像診断によって水腎症が著明である場合は、緊急処置として腎瘻造設(経皮的に腎盂を穿刺して排膿)を行う事がある。

慢性腎盂腎炎に対してはST合剤などの内服療法がおこなわれるが、再燃・再発を来しやすく、長期的な経過で間質性腎炎から腎不全に至ることがある。

消化器症状が強い場合は内服不可能であるため入院が必要となる。腎盂腎炎は顕微鏡学的には小膿瘍の集合体とされており3日程解熱しないことが多い。培養を繰り返し行い、抗菌薬の使用が適正であるかを確認する。また腎実質膿瘍や腎周囲膿瘍の検索のためCTや超音波検査を行う。点滴ではセフトリアキソン1-2gの使用が多い。治療期間は基本的には2週間であり経口摂取が可能になったら内服薬に切り替える。再発例では4-6週間かかることもある。
関連項目

炎症

脚注^ Wington RS, et al. Arch Intern Med. 1985;145(12):2222-7.

参考文献

獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 
ISBN 4885006104

日本獣医病理学会編集 『動物病理学各論』 文永堂出版 2001年 ISBN 483003162X

外部リンク

健康の森 知って得する病気の知識 日本医師会

腎盂腎炎 メルクマニュアル医学百科家庭版










泌尿器系の疾患

 疾患

糸球体病変

急性糸球体腎炎

IgA腎症

急速進行性糸球体腎炎

慢性糸球体腎炎

ネフローゼ症候群

原発性

微小変化群

巣状糸球体硬化症

膜性腎症

膜性増殖性糸球体腎炎


遺伝性腎炎

アルポート症候群

良性家族性血尿

尿細管機能障害

ファンコーニ症候群

バーター症候群

ギッテルマン症候群

リドル症候群

尿細管性アシドーシス

腎性糖尿

尿細管間質性腎炎

続発性腎障害

膠原病

全身性エリテマトーデス

全身性強皮症

シェーグレン症候群



糖尿病性腎症

痛風腎

クリオグロブリン血症

アミロイドーシス

溶血性尿毒症症候群


腎循環障害



腎血管性高血圧症

腎梗塞

クルミ割り現象


泌尿器疾患

機能障害

膀胱尿管逆流

神経因性膀胱

水腎症

先天異常




多発性嚢胞腎

常染色体優性多発性嚢胞腎

常染色体劣性多発性嚢胞腎


尿管異所開口

重複腎盂尿管

ポッター症候群

感染症

腎盂腎炎

腎膿瘍

膀胱炎

腎結核

尿路結石

膀胱結石

腫瘍

腎細胞癌

腎盂腫瘍

尿管腫瘍

前立腺肥大症

前立腺癌

精巣腫瘍

陰茎癌

腎芽腫

性器の疾患

前立腺炎

停留精巣

精巣捻転

包茎

勃起不全




 病態・症状

腎不全

急性腎不全

急性尿細管壊死

慢性腎臓病

慢性腎不全

尿毒症


尿所見異常

乏尿

無尿

多尿

頻尿

血尿

タンパク尿

尿円柱

尿閉

陰嚢腫大



 検査

腎機能検査

糸球体濾過量

クレアチニンクリアランス

ナトリウムクリアランス

尿中ナトリウム排泄率

腎不全指数


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:17 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef