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脳血管障害
概要
診療科循環器学, 神経学
分類および外部参照情報
ICD-10G45-G46, I60-I69
ICD-9-CM ⇒430- ⇒438
MeSHD002561
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世界の疾病負荷(WHO、2019年)[1]順位疾病DALYs
(万)DALYs
(%)DALYs
(10万人当たり)
1新生児疾患20,182.18.02,618
2虚血性心疾患18,084.77.12,346
3脳卒中13,942.95.51,809
4下気道感染症10,565.24.21,371
5下痢性疾患7,931.13.11,029
6交通事故7,911.63.11,026
7COPD7,398.12.9960
8糖尿病7,041.12.8913
9結核6,602.42.6857
10先天異常5,179.72.0672
11背中と首の痛み4,653.21.8604
12うつ病性障害4,635.91.8601
13肝硬変4,279.81.7555
14気管、気管支、肺がん4,137.81.6537
15腎臓病4,057.11.6526
16HIV / AIDS4,014.71.6521
17その他の難聴3,947.71.6512
18墜死3,821.61.5496
19マラリア3,339.81.3433
20裸眼の屈折異常3,198.11.3415
脳血管障害(のうけっかんしょうがい、cerebrovascular disease)とは、脳の血管が障害を受けることによって生じる疾患の総称。
脳血管障害は脳出血(出血性脳血管障害)と脳梗塞(虚血性脳血管障害)の2つに分類され、さらに脳出血は脳内出血とクモ膜下出血、脳梗塞は脳血栓および脳塞栓に分類される。うち急激に発症したものは、脳卒中(のうそっちゅう、stroke、apoplexy)、脳血管発作(cerebrovascular attack、CVA)、一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれる。俗にヨイヨイ、中風(ちゅうふう、ちゅうぶ)とも呼ぶ。 脳梗塞においては動脈硬化(アテローム)が最大の危険因子であり、動脈硬化の原因としては、高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、喫煙が挙げられる。一方の脳出血では、脳内出血では高血圧が、クモ膜下出血では脳動脈瘤 (Aneurysm
発症機序または虚血による脳組織の障害により発症することである。
危険因子
高血圧については、脳卒中の発症を予測するうえで、脈圧・拡張期血圧 (Diastolic Blood Pressure: DBP) などと比べ、収縮期血圧 (Systolic Blood Pressure: SBP) が性や人種に関係なく、最も重要な因子であるとする論文が American Journal of Hypertension の2007年3月号に掲載された。
高血圧、喫煙、ウエスト・ヒップ比の低値、不健康な食事、定期的な運動の欠如、糖尿病、中等度あるいは高度のアルコール摂取、ストレスまたは抑うつ、アポリポ蛋白B/A1比の高値という9つの因子は、さまざまな国での脳卒中のリスクの90%を占めていた。中でも高血圧は単独因子として、虚血性および出血性の両脳血管障害の52%と、出血性脳血管障害の74%に関与していた。[2]
慢性的な睡眠不足状態にある人は高血圧、糖尿病、高脂血症、心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患や脳血管障害といった生活習慣病に罹りやすい[3]。 脳血管障害が生じる場合、大抵は高血圧を伴っている。その治療方針は各疾患ごとに異なるので診断をせずに血圧を初めとしてうかつな治療をすることはできない。
外傷に起因する脳血管障害
急性硬膜外血腫 (AEDH)
予後良好な出血である。CT 上は凸レンズ型の高吸収域として写る。出血源は硬膜(中硬膜動脈、静脈洞)または骨(椎間静脈)である。したがってAEDHは基本的に頭蓋骨骨折の合併症であり、骨折側にみられる。側頭骨骨折で中硬脈動脈損傷、後頭骨骨折で横静脈洞損傷という例は非常に多い。開頭術で血腫除去ができる。
急性硬膜下血腫 (ASDH)
予後不良な出血である。CT 上は三日月状の高吸収域として写る。外傷では反対側にできることが多い。クモ膜の損傷によって発生するといわれている。クモ膜はそう簡単には損傷する膜ではないので強い外傷の時に発生する。治療は開頭術である。脳挫傷では脳内出血、軟膜損傷ではクモ膜下出血、クモ膜損傷では硬膜下血腫が発生すると考えておけばよい。
慢性硬膜下血腫
ASDH とは異なり予後良好である。CT 上は三日月状の等吸収域として写る。治療は穿頭による血腫除去である。
管理
脳梗塞
急性期の降圧は原則、禁忌である。脳血管障害で CT にて出血が認められなければ脳梗塞の可能性が高い。発症から4.5時間以内であれば血栓溶解療法で症状が改善しえるので適応の評価を行わなければならない。病歴からアテローム血栓性などの病型診断も行い、MRI または MRA にて発症時期も特定していく。血栓溶解療法は適応基準、慎重投与などが定められているため、かならず脳神経外科医にコンサルトしてから血栓溶解療法は行うべきである。この際、適応から外れる行為として観血的な処置があるためにNGチューブやフォーレーカテーテル
脳出血(脳溢血)
急性期は極端な高血圧を除き、降圧しない。慢性期は再発予防のために降圧する。救急室で行うべきこととしては、出血部位の同定を含めた診断とヘルニアや水頭症といった合併症の評価である。緊急手術の適応となる脳出血には被殻出血、小脳出血、皮質下出血、視床出血があげられる。被殻出血、小脳出血、皮質下出血では血腫除去術、視床出血では脳室ドレナージが標準的な術式である。手術適応は施設によっても異なるが、被殻出血の場合は血腫量が31ml以上の時や意識障害があるとき、脳の圧迫所見が強い時は緊急手術となる。小脳出血では血腫径が3cm以上のとき、意識障害(特にJCS III-100以上)があるとき緊急手術となる。