背広(せびろ)は男性の衣服の一種。
男性用の上着で、折襟やテーラードカラーと呼ばれる襟を持ち、着丈が腰丈のもの。
上述の上着と共布のスラックスからなる一揃いのスーツのこと。スーツの場合は、ウェストコートやベストなどと呼ばれる共布のチョッキを加えるものもある[1][2][3]。
なお、日本語の「背広」は衰退傾向にあり、2015年(平成27年)の文化庁の『国語に関する世論調査』ではすでに「背広」を主に使うという人は19.8%にとどまり、「スーツ」を主に使うという人が68.2%であった。死語になりつつあると指摘されている[4]。 単品の上着でもスーツの上着でも、単に背広やジャケットと呼ばれる。現在では様々なジャケットがあるため、テーラードジャケットやスポーツジャケットと呼ばれることもある。単品の上着のうち、金属ボタンなどの特徴を持つものはブレザーとも呼ばれる。乗馬用のハッキングジャケットや、狩猟用のシューティングジャケットなど、用途に応じた作りと呼び名のものもある。また背広の源流の1つとしてノーフォークジャケットが挙げられる。 上下揃いあるいは三つ揃いなど一組あるいは一連の服の揃いは、ラウンジスーツやサックスーツと呼ばれたが、現在では単にスーツと呼ばれる[1][5][6][7]。本来は、特に同じ生地で上下(ジャケットとスラックス)を仕立てたものをスーツと称した[8] 「背広」の語源については諸説ある。 1967年刊の日本国語大辞典では、漢字の「背広」は外国語の音を表すための当て字であるという説と、意味に由来する命名とする説があるが、前者の説が有力である[9]、と説明された。幕末から明治初期にかけて「セビロ」というカタカナ表記が見られるようになり、一般には明治20年(1887年)頃から用いられたとされる[9]。 語源については など複数ある。 背広の上着のボタンは、立つときは閉じ、椅子に座るときは開けてもよい[注釈 1](国会審議でも答弁者は答弁に出向く時に前を閉じる)。近年はシングルブレストの場合、ピークドラペルは礼装用でビジネスでは着ない[19]ことが多い。1940年代以前は逆にピークドラペルも日常的に用いられていた。また、ダブルブレストの場合は礼装・普段着を問わずピークドラペルで作られることが一般的である。 上着がシングルブレスト2つボタンの場合は、上のボタンのみを掛け下のボタンを掛けず[注釈 2]、シングルブレスト3つボタンの場合は、真ん中のボタンのみを掛けることが推奨されており[注釈 3]、1番下のボタンは閉めることを前提としていない設計のものが多い。1930年代以前はボタン数によらずすべてのボタンが閉じることが可能なように設計されており[注釈 4]、近年でも同様の仕立てを行うテーラーもある。
概説
名称の使い分け
日本語の「背広」の語源
英国ロンドンの高級紳士服店街「サヴィル・ロウ」(セビルロー)から変化したとする説[10][8][11][12][13]。
市民服を意味する「civil clothes」から変化したとする説[8][11][12]。
市民服を意味する「civil wear」から変化したとする説[14]。
「背部(背の布パーツ)が広い服」の意[8][11][14]。(紳士服の裁断された布パーツ群の中の背中部分の面積の大きさによる呼び分けだ、とする説については下の節で続きを説明。)
『背筋に縫い目がない[15]ところから「背広」と呼ばれた』と主張する説[12]。
「sack coat」の訳語で「ゆったりした上衣」の意。
紳士服に用いられる良質の羊毛・服地を意味する「シェビオット(Cheviot)」から変化したとする説。
『増訂華英通語』に「ベスト(上着)」の意で「背心」、「new waistcoat」として「新背心」など、紳士服の訳語に「背」の字が使用される(ただし、sack coatの訳にはみえない)ことに注目し、中国語に由来するとの説[16][17][18]。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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