肺癌
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肺癌

がんに冒された肺。白い部分が癌であり、黒い部分は喫煙により変色したものである。
概要
診療科腫瘍学呼吸器学
分類および外部参照情報
ICD-10C33-C34
ICD-9-CM162
DiseasesDB7616
MedlinePlus007194
eMedicinemed/1333 med/1336 emerg/335 radio/807 radio/405 radio/406
Patient UK肺癌
MeSHD002283
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右肺S2-3の小細胞癌

肺癌(はいがん、英語: Lung cancer)は、に発生する上皮細胞由来の悪性腫瘍。90%以上が気管支原性癌 (bronchogenic carcinoma)、つまり気管支、細気管支あるいは末梢肺由来の癌である。

国際肺癌学会によれば、肺癌は世界的に最も致死的なであるが、その理由の1つは、多くの場合発見が遅すぎて効果的な治療を行うことができないことであり、早期に発見された場合は手術放射線治療でその多くを治癒することができる[1]

全世界での死亡患者数は159万人に上り(2012年)、主な原因としてたばこが挙げられる[2]
臨床像

一般的な症状は、血痰、慢性的な激しい、喘鳴(ぜんめい)、胸痛、体重減少、食欲不振、息切れなどであるが、進行するまでは無症状であることが多い。合併症である肥大性肺性骨関節症に伴いばち指関節炎を伴う事がある[3]

肺内の気道粘膜上皮は、たばこの成分などの、発癌性物質に曝露されると速やかに、小さいながらも変異を生じる。このような曝露が長期間繰り返し起こると、小さな変異が積み重なって大きな傷害となり、遂には組織ががん化するに至る。腫瘍が気管支腔内へ向かって成長すれば気道は閉塞・狭窄(きょうさく)し、場所と程度によってはそれだけで呼吸困難を起こす。気道が完全に閉塞すれば、そこより末梢が無気肺となり、細菌の排出が阻害されることにより肺炎を生じやすくなる(閉塞性肺炎)。また、腫瘍の血管はもろく出血しやすいため、血痰を喀出するようになる。一方、気管支の外側への腫瘍の成長は、他の臓器に転移するまでは、それ自体による身体的症状を起こしにくい。
要因肺癌の発生率は喫煙率と高い相関がある。左の縦軸(緑色のグラフ)が男性1人が1年間に煙草を喫煙する本数の推移、右の縦軸(赤色のグラフ)が男性10万人当たりの肺癌での死亡者数の推移。
喫煙と肺がん

最大の原因は喫煙である[4]。喫煙を開始する年齢が低ければ罹患する可能性が増し、また自分が喫煙しなくとも周りの人が喫煙すれば肺がんになる可能性が20%から30%高くなると言われている[4]。1日あたりの喫煙するタバコの本数と喫煙している年数をかけ合せた数字(喫煙指数)が600以上の人は肺がんの高危険群である[5]。概して喫煙者の肺がん死亡リスクは非喫煙者の4倍から5倍、それも喫煙量が1日あたり20本以上なら10倍以上であり、喫煙開始年齢が低いとさらに増加することは前述の通りである[5]
PM2.5

非喫煙者に多い肺腺がんでは、大気汚染物質であるPM2.5濃度との正の相関があることが判明した。PM2.5は、肺の細胞の遺伝子変異を持つ細胞集団を増やして、さらに炎症を引き起こすことで元々あった「がんの芽」からがんに変化させるというシナリオが明らかになったことが『Nature』に報告された[6]
ラドン

ラドンは多くの国で喫煙に次ぐ第2位の肺がんの原因であり、全ての肺がんの3%から14%がラドンに起因すると推測されている。ラドンの肺がんリスクは、ラドンの濃度が高いほど大きい。しかし、多数の人々が家庭内で低濃度の屋内ラドンにさらされているため、実際にラドンによって誘発される肺がんは、高濃度のラドンではなく、むしろ低から中濃度のラドンによるものの方が多いとされる[7]

特殊な職業に携わる人はアスベスト[4][5]クロム[5]による肺がんに罹患することがある[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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