聖枝祭
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イエスのエルサレム入場(北マケドニアフレスコ画

エルサレム入城の日(エルサレムにゅうじょうのひ、英語: The Lord's Entry into Jerusalem)または英語でパームサンデー(英語: Palm Sunday)とも呼ばれている日は、イエス・キリスト十字架にかかり亡くなって三日後に復活したキリスト教徒が信じる出来事の一週間前に、エルサレムへ入城した記念日を指す。日本では教派により、枝の主日(日曜日)、棕櫚の主日、聖枝祭などと違った名称なので、この記事名を使う。
聖書での記述

キリスト教の聖書には、『新約聖書』の四福音書のうち三福音書に、それぞれ多少違った形で載っている。

マタイによる福音書」21章 の一部は
6節 弟子たちは出て行って、イエスがお命じになったとおりにし、7 ろばと子ろばとを引いてきた。そしてその上に自分たちの上着をかけると、イエスはそれにお乗りになった。8 群衆のうち多くの者は自分たちの上着を道に敷き、また、ほかの者たちは木の枝を切ってきて道に敷いた。 ? (口語訳聖書 マタイ 21:6-8)

マルコによる福音書」11章の一部は
7節 そこで、弟子たちは、そのろばの子をイエスのところに引いてきて、自分たちの上着をそれに投げかけると、イエスはその上にお乗りになった。8 すると多くの人々は自分たちの上着を道に敷き、また他の人々は葉のついた枝を野原から切ってきて敷いた。 ? (口語訳聖書 マルコ 11:7-8)

ヨハネによる福音書」12章の一部は
12節 その翌日、祭にきていた大ぜいの群衆は、イエスがエルサレムにこられると聞いて、13 しゅろの枝を手にとり、迎えに出て行った。そして叫んだ、「ホサナ、主の御名によってきたる者に祝福あれ、イスラエルの王に」。14 イエスは、ろばの子を見つけて、その上に乗られた。それは 15 「シオンの娘よ、恐れるな。見よ、あなたの王がろばの子に乗っておいでになる」と書いてあるとおりであった。 ? (口語訳聖書 ヨハネ 12:12-15)

要約すると、イエスは聖地エルサレムを囲む城壁にいくつかある門に達して、弟子たちが近くで調達した小ロバに乗って、弟子たちを含む大勢が脱いだ服や植物の枝が敷かれた地面を通って、城内へ入ったということである。
習慣

「エルサレム入城の日」は、キリスト教徒が一番大切にする聖金曜日、復活日を含む「聖週」(受難週)の開始日になるので、世界各地で様々な習慣を産み、教会でロバは登場しないが、小枝を持って礼拝ミサ奉神礼)に参加することが行われてきた。

このため、日本では世界の各国から来た宣教師が故国にある植物に関連したそうした習慣に基づいた言葉、

「小枝の日曜日」(フランス語: Dimanche des Rameaux=小枝の日曜日)

「聖枝祭」(ロシア語: Вход Господень в Иерусалим=主のエルサレム入場)

「棕櫚の日曜日」(英語: Palm Sunday・ドイツ語: Palmsonntag=棕櫚の日曜日)

などを伝えた。

このため、日本ではエルサレム入城の日の名称が教派により呼び方が違うが、現在どういった植物を使うか、使った習慣があったかは、大切ではあるが、最重要ではない。
西方教会イエスの入城(ジョット画)。ナツメヤシが描かれている。ナツメヤシ(聖書の本来の記述は同種)

西方教会カトリックでは、枝の主日(えだのしゅじつ)という言葉が日本では定着した。キリスト教の移動祝日で、復活祭の一週間前の日曜日にあたる。聖週間の初日となる。「枝の主日」はルーテル教会での呼び名であるが[1]正教会でもこの名称を用いることがある[2]

教派によって呼び方が異なる。正教会での聖枝祭(花の主日)プロテスタントでの棕櫚の主日に相当する。日本聖公会では「復活前主日」に同様の記念がなされており、これを「棕櫚の主日」と呼ぶこともある。

復活祭に連動して日付が決まるため、復活祭の日付の計算方法が異なる東方教会と西方教会の間で、日付が異なることもあれば、同日になることもある。西方教会では、グレゴリオ暦3月中旬から4月中旬に来ることとなる。東方教会のうち、エパクト計算上ユリウス暦を用いる諸教会では、グレゴリオ暦にすると、西方教会より約1ヶ月(朔望月1回分)遅れる場合(と遅れない場合)があって、3月末から5月上旬となる。

この祝日は、イエス・キリストがロバに跨り、エルサレムに入城したときを記念するものである。ヨハネ福音書では、エルサレムに来たイエスを、群衆がナツメヤシの枝を手に持ち「ホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように、イスラエルの王に。」(ヨハネ12:13、新共同訳)と叫んで迎えた(フランシスコ会訳では「ホザンナ。ほめ賛えられるように、主の名によって来られる方、イスラエルの王。」)。

そこでこの祝日では、ナツメヤシなどのヤシ科の植物の(植物学的には)が祝別(聖別)される。しかし、キリスト教会は、ナツメヤシの生育地をはるかに超えて世界的に広がっているため、地方ごとに、ふさわしいとされる、さまざまな樹種の枝葉が用いられている。アルプス以北の西ヨーロッパでは、自生する数少ない常緑樹であるツゲが用いられることが多く、更に寒冷な北ヨーロッパ東ヨーロッパでは、早春に真っ先に芽吹くネコヤナギが用いられる地域が多い。日本でも、温暖な西南日本のカトリック教会では、葉の形状がナツメヤシと似ており、かつよく生育するソテツの葉を用いるところが多い。


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