翻訳後修飾(ほんやくごしゅうしょく、Post-translational modification、PTM)は、翻訳後のタンパク質の化学的な修飾である。これは多くのタンパク質の生合成の後方のステップの1つである。
翻訳後、アミノ酸は、酢酸、リン酸、様々な脂質、炭水化物のような他の生化学官能基と結合し、化学的特性の変換(例えばシトルリン)、またはジスルフィド結合の形成のような構造変換などを受け、タンパク質の反応の幅を広げる。
また、酵素がタンパク質のN末端からアミノ酸を輸送するか、中央からペプチド結合を切断することもある。例えば、ペプチドホルモンであるインスリンはジスルフィド結合が形成された後に2つに切断され、C-ペプチド(右図の桃色のポリペプチド鎖部分)は結合から切り離される(最終的にジスルフィド結合で2つのポリペプチド鎖が結合したタンパク質が生じる)。
この他の修飾にリン酸化がある。この修飾はタンパク質酵素の作用の活発化と非活発化の調節機構においてよく起こる。目次
1 官能基付加
2 タンパク質またはペプチドの付加
3 アミノ酸の化学的性質の変換
4 構造の変換
5 修飾の例
6 出典
7 参照項目
官能基付加 コドンと修飾の付加の一覧。[1]
アシル化
アシル基の付加で、通常、タンパク質のN末端に起こる。
アセチル化
アセチル基の付加で、リシンとアルギニン残基に起こる。エタノイル化というともいう。ヒストンが良く知られる例である。アセチル化、またその逆反応の脱アセチル化はリシンとアルギニンの持つ陽電荷を中和しDNAとの結合状態に影響を与える事で、クロマチン構造を変化させ、遺伝子発現の変化を引き起こす。
アルキル化
メチル基の付加はメチル化と呼ばれ、リシンとアルギニン残基に起こる。
ジメチル化
アミド化はC末端で起こる
ビオチニル化
ビオチンを付加させてリシン残基を保護する
ホルミル化
γカルボキシル化
ビタミンKに依存する[2]。
グルタミル化
たんぱく質のグルタミン酸残基の共有結合によるチューブリンと他のタンパク質との結合[3]。
グリコシル化
アスパラギン、ヒドロキシリシン、セリン、トレオニンにグリコシル基が付加し、糖タンパク質ができる。メイラード反応では糖の付加は酵素無しで行われる。
グリシル化
チューブリンのC末端尾の40以上のグリシン残基の1つの共有結合
ヘム
共有結合の付加
ヒドロキシル化
ヨウ素化
甲状腺ホルモン
イソプレニル化
イソプレノイドの付加(ファルネソール、ゲラニルゲラニオールなど)
リポイル化
プレニル化
GPIアンカー形成
ミリストイル化
ファルネシル化
ゲラニルゲラニル化
ヌクレオチドまたは誘導体への共有結合の付加
ADPリボシル化
FAD結合
アデニリル化
酸化還元反応
ポリエチレングリコール化