翔べ!_必殺うらごろし
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翔べ! 必殺うらごろし
ジャンル
時代劇
脚本野上龍雄
石川孝人
吉田剛
監督森崎東
松野宏軌
工藤栄一
出演者中村敦夫
和田アキ子
火野正平
鮎川いづみ
市原悦子
ナレーター藤田まこと(オープニング ナレーション)
野島一郎(第1話オープニング ナレーション<一部地域の放送分のみ>、劇中)
音楽比呂公一
オープニング作曲:比呂公一「この世のよどみを清めるために」「災い」
エンディング和田アキ子「愛して」
国・地域 日本
言語日本語
時代設定江戸時代
製作
プロデューサー山内久司朝日放送
仲川利久(朝日放送)
櫻井洋三(松竹
制作朝日放送
松竹

放送チャンネルテレビ朝日系列
音声形式モノラル放送
放送期間1978年12月8日 - 1979年5月11日
放送時間金曜日22:00 - 22:54
放送分54分
回数23
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『翔べ! 必殺うらごろし』(とべ ひっさつうらごろし)は1978年12月8日から1979年5月11日まで、テレビ朝日系で毎週金曜日22:00 - 22:54に放送された、朝日放送松竹(京都映画撮影所、現・松竹撮影所)共同製作のテレビ時代劇。全23話。主演は中村敦夫

必殺シリーズの第14作。
概要

本作は当時のオカルトブームに立脚した作品構成となっており、殺しの依頼やスタイルなど、必殺シリーズとしては異質な作品である(詳しくは作品内容を参照)。毎話ごとに怪奇現象(超常現象)が登場するが、これは不可思議な現象であって、何らかのトリックがあるわけではない。その回で取り扱った怪奇現象(オカルト)には、ナレーターによる解説[1]が入るのも特徴である。

本作は撮影中に、先生役の中村敦夫が負傷し、おばさん役の市原悦子や若役の和田アキ子が病気を患うなど、なぜかトラブルが相次いだ。特に和田の体調不良はシリーズ終盤の若の登場場面が著しく減少するなど、展開に多大な影響を与えた[2]

本作の音楽(挿入曲、劇伴)は、必殺シリーズでは唯一、比呂公一が担当している。通常必殺シリーズでは劇伴は流用されるが、前作までの劇伴が作中で使用されることはなく、以後のシリーズでも本作の楽曲(劇伴)が使用されることは無かったため、本作の音楽世界はシリーズ中で独立したものになっている[3]。ただし、提供スポンサーのテロップ曲だけは前作までと変わらず、森田公一作曲『江戸プロフェッショナル・必殺商売人』のBGMが使用された。

オープニング映像も他シリーズと比べて異質で、従来のフォーマットから逸脱している。炎の中で先生のアップと印を切る手のみが延々と映され、シリーズ通例のOP映像のように他の登場人物(おばさん、若、正十、おねむ)のカットが挿入される構成とはなっていない。この「一人しか登場しないOP」は「陽光の下の殺し」同様に本作のみの特徴である。また、第1話のみ、一部地方での放送時は映像の一部が異なり、ナレーションも通常の藤田まことではなく野島一郎によるものが使われた[3]
作品内容

摩訶不思議な力を持つ行者の通称「先生」を中心に、記憶喪失の元殺し屋で、生き別れの我が子捜しの「おばさん」。人並みはずれた体躯ゆえに女扱いされず、世をすねて男として生きてきた「若」。江戸で殺しの斡旋業をしていた「正十」らが、死者の恨みの声を聞き、その恨みを晴らしていく。

本作はオカルトを扱った異色作であり、また行われる裏稼業は他シリーズと大きく異なる。本作では主人公たちが稼業としての殺しは行っておらず、旅先で遭遇した怪奇現象を解決しようとする過程で、悪人に殺害されるなどで死亡した被害者の声を先生が聞き、その恨みを晴らすのが基本パターンである。原則として、依頼人である被害者から金を受け取ることはない。ただし、正十が何らかの方法や理由で金を手に入れていることは多く、それを分配するという形で金を手に入れることはある。

他のシリーズが夜に殺しを敢行することが多いのに対し、(先生が日の出の際に死者の声を聞くこともあって)昼間に敢行するというのも特徴的である。
登場人物

本作で殺しを行う、メインの登場人物の3人は一貫して、あだ名で呼ばれ、本名を名乗らない。
レギュラー
先生
演 -
中村敦夫太陽を信仰する行者。大日如来を示す梵字が書かれた旗竿を掲げ、修行の旅を続けている。寡黙で、時として冷徹にも見えるが、情に厚く、正義感が強い。死者が残した思念を「声」として聞くことが出来る霊視能力がある[4]。平常時でも優れた身体能力を誇るが、死者の無念と共に太陽の光を浴びることにより、刀を素手で叩き折る、人間の頭上を軽々と跳び越える、馬を走って追い抜くなど、超人的な身体能力を発揮する。旅先で遭遇する怪奇現象の解決のためには自分の身も顧みない。俗世間的な欲望は無く、正当な報酬であっても、金品などの受け取りは基本的に拒否している。一方で、一般常識には疎いため、周囲の人物を困らせることも多い。食事は草葉や木の皮など、自然で未調理のもののみで賄う[5]。常に自然食しか口にしないため、それ以外のものへの耐性が低く、酒を呑むと卒倒したり[6]、普通の人間にとっては直ちに影響のない微量の毒でも激しく苦しんだりする[7]。上記のように本作は頼み人は登場せず、先生が死者の声を聞くことによって、その恨みを晴らす。

演 - 和田アキ子[8]男装の女性。大柄な体格と人並み外れた怪力を持つばかりに女扱いをされず、世を拗ねて、男として生きることを決めている。旅の途中で出会った先生の力を目の当たりにし、彼に弟子入りする。粗野な言動が目立つが、実は心優しい人情家で涙もろい。料理や裁縫も得意で、下手な主婦さえ驚愕するほどの腕前を持つ。博打好きなようで、正十と一緒や単独で賭場に出入りする場面が多い。先生の弟子となっているが、あまり一緒に修行はさせてもらえていない。一人で山ごもりなどしている時もあるようだが、術の類は一切使えず、先生のように自然食だけで生きるということもできないため、普通に握り飯などを食べている。殺しもするが、正十と共に情報収集を任されることも多い。先生に倣い、報酬は受け取らない。終盤は登場機会が減少し、最終話も病気で寝込んだという設定で、冒頭と末尾に登場するのみである。これは演じた和田の体調不良により取られた措置(肺気腫を発症し最悪は歌手生命にかかわるほどの状況だった)だったことが後年に明かされている。最終話、一人あてもなく旅立つ様子がラストシーンとして使用された。演じた和田はオファーが来た当初は「時代劇に出られる」と聞いて、大奥のような優雅な役を想像して喜んでいたが、設定が男と間違われる大女で、さらに殺し方も相手をひたすら殴り殺すということを聞かされ、ショックを受けたという[9]。また「殺しのシーンを綺麗に撮影してくれたことは非常に嬉しかった」とも述べている[9]。また、本作がスタートした時点で和田がこの年(1978年)の3月までレギュラー出演していた『金曜10時!うわさのチャンネル!!』(日本テレビ)がまだ裏番組として放送中で、和田は本作のタイトルについて「(“裏”番組を“殺す”という意味にも取れて)明らかに嫌味というか、あてつけ」と後日話している[10]。用意された衣装(刺し子)のうち、未着用のものが、後番組の『必殺仕事人』の秀の初期衣装に転用されている[11]
おばさん
演 - 市原悦子[12]4年前、気が付いたら、道の真ん中に立っていたという中年女性。それ以前の記憶は無く、当ても無く、彷徨っていた。先生との出会いで生き別れの息子を探していたことなど記憶の一部を取り戻し、以後は先生と行動を共にする。自分自身のことは名前も覚えていないが、社会常識や歌などの「過去に関係ない情報」は覚えている[5]。その正体は殺し屋で、その頃の記憶は無いものの、熟練の感覚で標的を葬る。おっとりとした性格だが曲者揃いの一行のまとめ役であり、若や正十も掛け値なく、信頼を置いている。先生や若が受け取りを断った報酬は何かあった時のために、おばさんに預けられている。第14、16話は登場せず、若のセリフから、息子の手掛かりかもしれない情報を確認するために別行動を取っていることが分かる。第22話で記憶を取り戻し、記憶を失った原因が幼い息子に正体を知られたショックによるものと判明。最終話で、息子がそば屋を営む夫婦に拾われ、我が子の様に育てられていることを知る。しかし、夫婦のそば屋と土地のせいで夫婦の命が悪人らに狙われていることを察知し、息子を拾って育ててくれた恩人夫婦を守るためにおばさんは行動を起こす。そして、標的を葬った後、おばさんの身に悲劇が起きる。
正十
演 - 火野正平江戸で殺しの斡旋をしていた男性。「十年はこの稼業で生きており、自分に万事任せておけば上手くいく」と豪語している。


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